Monthly Archives: 2月 2023

本の紹介1363 世界最強の商人#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

名著です。

何度も読む価値のある本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

今日は、私は自分の価値を100倍にする。
私は低すぎる目標を設定するという恐ろしい過ちを犯さない。
私は失敗者が試みようとしない仕事をする。
私は常に自分の手の届く範囲以上を目指してがんばる。
私は市場での自分の業績に絶対に満足しない。
私は目標が達成されたら、すぐにより高い目標を設定する。」(148頁)

現状に満足したらそこで成長は止まります。

現状を受け入れ、諦めたらそこで終わり。

いつだって選択をしてきたのは自分自身です。

他人に勧められたかもしれませんが、最終的に選択したのは自分。

戻るも進むも止まるも、すべては自分次第。

解雇381 通勤手当不正受給等を理由とした懲戒解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、通勤手当不正受給等を理由とした懲戒解雇の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

学校法人帝京大学事件(東京地裁令和3年3月18日・労判1270号78頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で労働契約を締結し、Y社が設置する大学において准教授の地位にあったXが、通勤手当を不正に請求したなどとして、Y社から平成30年10月9日付けで免職処分とされ、同月22日までに退職願を提出しなかったため、同月31日付けで懲戒解雇されたことについて、Y社に対し、同処分は懲戒権を濫用したものであり無効であるとして、労働契約上の地位の確認を求めるとともに、同懲戒解雇後である同年11月から毎月22日限り月額賃金48万6045円及び平成30年12月分の賞与額113万2888円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件通勤手当受給及び本件無届通勤は、採用当初より、支給される通勤手当と実際に通勤に係る費用との間の差額を利得する目的で、かつ、届け出た公共交通機関ではなくバイク通勤をする意図でありながら、その目的、意図及び実際にバイク通勤を継続した事実をY社に秘匿するため、あえてY大学の構内の職員用無料駐車場ではなく、本件店舗に駐輪し、しかも、公共交通機関による通勤手当とバイク通勤による実費との差額を利得するにとどまらず、あえて遠回りの通勤経路を届け出ることにより、公共交通機関による通勤手当を受給していた場合に本来得られる金額より更に高額の通勤手当を6年以上の長期にわたり受給し続けたものであり、Y社に採用後一度も通勤定期券を購入したことがないことも踏まえると、受給額全額について詐欺と評価し得る悪質な行為であって、その経緯や動機には酌むべき事情は見当たらない。
本件通勤手当受給によってY社が被った損害は、合計約200万円と多額であり、仮にXがバイク通勤ではなくY社指摘経路によって通勤していた場合であっても、X届出経路との差額が100万円以上生じることとなり、生じた結果は重大である。

2 Xは、本人尋問において反省している旨供述するものの、本件懲戒処分の前に行われたY社調査委員会及びY社懲罰委員会においては、具体的な反省の弁を述べることがないばかりか、大学の玄関においてバイク、タクシー、自家用車で通勤している者をそれぞれ確認して通勤届出と照合して指導するのがY社の事務職員の職責であるのに、自分は注意されたことはなく、Y社の方で注意すべきであったなどとY社に責任を転嫁する言動に及んだ上、不正受給の金額を明示されたにもかかわらず、本件懲戒処分以前に自主的に受給した通勤手当を返還もすることなく、本件懲戒処分後にY社からの訴訟提起を受けてこれを返還したにすぎないことも踏まえると、本件懲戒処分時において本件通勤手当受給及び本件無届通勤につき真摯に反省していたものとは到底認められない。
以上に判示した本件通勤手当受給の悪質性、これに係る経緯及び動機に酌むべき事情が見当たらないこと、結果の重大性、真摯な反省が見られないことに加え、Y社において他の教職員が同様の不正受給を行うことを抑止する現実的な必要性が高いことも踏まえると、上記懲戒事由該当行為のみでも、戒告やけん責にとどまらず、免職を含む重い懲戒処分が相当である。

事案によっては、民事上の責任のみならず、刑事上の責任についても追及されることもあります。「魔が差した」では済まなくなりますので注意しましょう。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

 

本の紹介1362 誰でもできるのに9割の人が気づいていない、お金の生み出し方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

まあ、なんというか、そんなに驚くような内容ではありません。

メンタルブロックをいかに外すかがポイントになってくると思います。

すでに外れている人にとっては、当たり前のことしか書かれていません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

自分を認められる、自分を好きになるということは、すべての人間の人生のゴールです。しかし、多くの人はそれに気づかずに、誰かに認められようとして苦しんでしまうのです。努力をして何かを達成しよう、何かを得ようとします。また、何者かになろうとします。そして、挫折して苦しむのです。」(182頁)

みなさんはいかがですか?

これ、特に日本人の多くが苦しめられている(否、正確には自ら苦しんでいる)要因ではないでしょうか。

他人に評価されたい、認められたいというのは、1つのモチベーションにはなりますが、それが行き過ぎると、すべての判断基準が他人に評価されるか否か、嫌われないか否かになってしまいがちです。

これでは、もはや誰の人生を生きているのがわからなくなってしまいます。

何をやってもどうせ100人のうち100人から好かれ、評価されるなんてありえないのですから、そんなことを気にしてもしかたありません。

みんなから好かれたい、誰からも嫌われたくないという気持ちが強すぎるのです。

人生なんて、みんなから、ではなく、自分が認めてほしい大切な人から認められたら、もうそれでいいのではないでしょうか。

解雇380 従業員が退職の意思表示をしていないにもかかわらず、会社が退職扱いにした事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、従業員が退職の意思表示をしていないにもかかわらず、会社が退職扱いにした事案を見ていきましょう。

PASS-I-ONE事件(東京地裁令和4年4月22日・労判ジャーナル128号18頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されていたXが、Y社に対し、XはY社に対して退職の意思表示をしていないにもかかわらず、Y社はXが退職したものとしてXの労務の提供を拒絶していると主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、未払賃金等の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

地位確認請求認容

【判例のポイント】

1 XとY社代表者との間で令和3年2月21日に大声による口論が発生し、Xは翌日以降会社に出勤していないが、同日にY社に対して退職の意思表示をしたことを認めるに足りる証拠はない

2 Xは、令和3年2月21日、Y社代表者から、「明日から来なくてよい」、「クビだ」と言われた旨を陳述及び供述するところ、当該陳述及び供述については、①同日、XがY社代表者に対して1か月分の給与の支払を求め、その後、両者の間で大声による口論が発生したこと、②同日の勤務終了後、XがY社の店舗に置いていた私物の全部又は大部分を持ち帰ったこと、③その後、Y社がXに対して本件解雇予告通知書を送付したこと、④更にその後、Y社代理人弁護士がXに対して解雇は正当である旨を記載した通知書を送付したことと整合し、信用することができるから、Xは、同日、Y社代表者から前記の発言をされ、同月22日以降の労務の提供を拒絶されたというべきところ、XがY社に対して退職の意思表示をしたと認めることはできず、ほかに本件労働契約の終了原因の主張はないから、Xは、同日以降Y社の責めに帰すべき事由により就労不能となったと認めるのが相当であり、Y社は、Xに対し、民法536条2項により令和3年2月22日以降の賃金支払義務を負担する。

これはよくあるケースですが、感情的になって上記のような発言をしないことが肝要です。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

本の紹介1361 神はテーブルクロス#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

今から10年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

須藤元気さんの本は、どれも本当にいい本です。

この本も例外ではありません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

もちろんお金は人を幸せにしてくれるツールである。しかし、それに執着すると幸せから遠ざかる。お金に限らず、何かの物や人に執着しすぎると、人生は楽しくなくなるのだろう。
『何を手に入れるかより何を手放すか、それが大切なことなんだよ』」(135~136頁)

幸せの定義は、人それぞれですから、何かを手に入れることに幸せを感じる人はそれでいいです。

私のようにモノを所有することに何のこだわりも興味もない人は、いかにモノを持たないでいられるかが幸せと密接に関連しています。

概して、モノが増えれば増えるほど、管理コストがかかり、いらぬトラブルや不安が付きまといます。

できるだけモノを持たず、また、何事にも執着せず、依存せず、ありのままで生きていくことが、自由を謳歌するための必要条件なのだと思っています。

不当労働行為298 使用者による便宜供与にかかる確認書(労働協約)の解約が不当労働行為とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、使用者による便宜供与にかかる確認書(労働協約)の解約が不当労働行為とされた事案を見ていきましょう。

社会福祉法人ハートフル記念会事件(神奈川県労委令和4年4月8日・労判1271号94頁)

【事案の概要】

本件は、①使用者による便宜供与にかかる確認書(労働協約)の解約が不当労働行為にあたるか、また、②組合掲示板不設置が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

①は不当労働行為にあたる

②は不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 Y社は、本件協約に基づく便宜供与について業務上に支障がなく、ただちに本件協約を解約すべき必要性及び緊急性といった合理的な理由がないにもかかわらず、組合と一切労使協議を経ることなく、一方的に解約するに至っているのである。
したがって、Y社が確認書を一方的に解約したことは、組合組織の弱体化の意図のもとに行われた労組法7条3号の支配介入に当たると解される。

2 組合が掲示板を設置するよう要求したことに対し、Y社は、本件協約に基づく便宜供与について実情に即した内容になるよう組合とリモート方式により協議したい旨述べている。
新型コロナウイルス感染症の感染状況、Y社が老人福祉施設を運営していること等を勘案すると、施設内での感染拡大を危惧したY社が、リモート方式での団体交渉を希望したことに一定の合理的な理由があることは否定できない。しかしながら、組合は、結審日まで、リモート方式の団体交渉に消極的であった。このことが、老人ホームCの掲示板設置問題が解決しなかった一因であることは否定できない。
したがって、老人ホームCに掲示板が設置されず、組合が掲示板を利用できなかったことが、ただちにY社の組合の運営に対する支配介入によるものということはできない。

上記命令のポイント1は特に争いがないと思います。

上記命令のポイント2は、昨今の状況を踏まえた判断ですね。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介1360 仕事の技法#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度読み返してみました。

帯には、「相手からの『言葉以外のメッセージ』を感じ取る この一つの技法を身につけるだけで『仕事力』は、圧倒的に高まる」と書かれています。

いかなる仕事においても、うまくいっている人は、観察力、洞察力、想像力に長けています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

このように、『話を聞く』という立場の人から、むしろ様々な『無言のメッセージ』が伝わってくるということを理解するならば、逆に、我々が『話を聞く』という立場に立ったときには、そうした状況だからこそ、自分の『無言のメッセージ』が相手に伝わっていくということを、自覚しておく必要がある。」(185頁)

人は、他人のことには敏感ですが、自分のことになると途端に鈍感になります。

Look who’s talking.

それはさておき、話の聞き方の巧拙は、その人の印象にそのまま直結するように思います。

いわゆる「できる人」の聞き方は、話し手の邪魔になるような相槌や大袈裟な反応とは無縁です。

例の「はい、はい、はい、はい」なんていう相槌をしたり、話をかぶせたり、途中で遮ったりするのはまさに下手な聞き手の特徴です。

これでは話し手は鬱陶しくて話す気が失せてしまいます。

会話を支配しているのは、いつだって、話し手ではなく、聞き手なのです。

セクハラ・パワハラ72 分限免職処分の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、分限免職処分の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

長門市・長門消防局事件(最高裁令和4年9月13日・労判128号2頁)

【事案の概要】

本件は、普通地方公共団体であるY市の消防職員であったXが、任命権者であるY市消防長から、地方公務員法28条1項3号等の規定に該当するとして分限免職処分を受けたのを不服として、Y市を相手に、その取消しを求める事案である。

原審(広島高裁令和9月30日)は、上記事実関係等の下において、要旨次のとおり判断し、本件処分の取消請求を認容すべきものとした。
Y市の消防吏員としての素質、性格等には問題があるが、上告人の消防組織においては、公私にわたり職員間に濃密な人間関係が形成され、ある意味で開放的な雰囲気が従前から醸成されていたほか、職務柄、上司が部下に対して厳しく接する傾向にあり、本件各行為も、こうした独特な職場環境を背景として行われたものというべきである。Xには、本件処分に至るまで、自身の行為を改める機会がなかったことにも鑑みると、本件各行為は、単にX個人の簡単に矯正することのできない持続性を有する素質、性格等にのみ基因して行われたものとはいい難いから、Xを分限免職とするのは重きに失するというべきであり、本件処分は違法である。

【裁判所の判断】

原判決を破棄し、第1審判決を取り消す。

Xの請求を棄却する。

【判例のポイント】

1 本件各行為は、5年を超えて繰り返され、約80件に上るものである。その対象となった消防職員も、約30人と多数であるばかりか、Y市の消防職員全体の人数の半数近くを占める。そして、その内容は、現に刑事罰を科されたものを含む暴行、暴言、極めて卑わいな言動、プライバシーを侵害した上に相手を不安に陥れる言動等、多岐にわたる
こうした長期間にわたる悪質で社会常識を欠く一連の行為に表れたXの粗野な性格につき、公務員である消防職員として要求される一般的な適格性を欠くとみることが不合理であるとはいえない。
また、本件各行為の頻度等も考慮すると、上記性格を簡単に矯正することはできず、指導の機会を設けるなどしても改善の余地がないとみることにも不合理な点は見当たらない。
さらに、本件各行為により上告人の消防組織の職場環境が悪化するといった影響は、公務の能率の維持の観点から看過し難いものであり、特に消防組織においては、職員間で緊密な意思疎通を図ることが、消防職員や住民の生命や身体の安全を確保するために重要であることにも鑑みれば、上記のような影響を重視することも合理的であるといえる。

2 そして、本件各行為の中には、Xの行為を上司等に報告する者への報復を示唆する発言等も含まれており、現に報復を懸念する消防職員が相当数に上ること等からしても、Xを消防組織内に配置しつつ、その組織としての適正な運営を確保することは困難であるといえる。
以上の事情を総合考慮すると、免職の場合には特に厳密、慎重な判断が要求されることを考慮しても、Xに対し分限免職処分をした消防長の判断が合理性を持つものとして許容される限度を超えたものであるとはいえず、本件処分が裁量権の行使を誤った違法なものであるということはできない。そして、このことは、Y市の消防組織において上司が部下に対して厳しく接する傾向等があったとしても何ら変わるものではない

ちなみに、Xの本件各行為の主な内容は以下のとおりです。

①訓練中に蹴ったり叩いたりする、羽交い絞めにして太ももを強く膝で蹴る、顔面を手拳で10回程度殴打する、約2㎏の重りを放り投げて頭で受け止めさせるなどの暴行
②「殺すぞ」、「お前が辞めたほうが市民のためや」、「クズが遺伝子を残すな」、「殴り殺してやる」などの暴言
③トレーニング中に陰部を見せるよう申し向けるなどの卑わいな言動
④携帯電話に保存されていたプライバシーに関わる情報を強いて閲覧した上で「お前の弱みを握った」と発言したり、プライバシーに関わる事項を無理に聞き出したりする行為
⑤Xを恐れる趣旨の発言等をした者らに対し、土下座を強要したり、被上告人の行為を上司等に報告する者がいた場合を念頭に「そいつの人生を潰してやる」と発言したり、「同じ班になったら覚えちょけよ」などと発言したりする報復の示唆等

第一審、控訴審ともに分限免職処分は無効と判断しましたが、最高裁は有効と判断しました。

第一審、控訴審判決によれば、消防職員になると、上記のような滅茶苦茶な状況でも解雇は重すぎると。私、こんな職場、絶対やだ。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

本の紹介1359 いい言葉を喰らう!(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

今から15年前の本ですが、再度、読み返してみました。

いわゆる名言集です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人は生まれて学ばざる者は、生まれざると同じ。学んで道を知らざるは、学ばざると同じ。知って行なうことあたわざるは、知らざると同じ-貝原益軒」(116頁)

学び続けて、動き続ける。

「もうこれでいい」なんて諦めたら、本当にそこで終わってしまいます。

日々勉強。

日々行動。

忙しい毎日の中でいかに「自分への投資」のための努力を続けるか。

やっている人は息を吸うがごとくやっていることです。