解雇383 採用内定取消に基づく損害賠償請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、採用内定取消に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見ていきましょう。

日本振興事件(大阪地裁令和4年6月17日・労判ジャーナル130号38頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y社に対し、XはY社から採用内定を得たものの、その後、Y社から違法な内定の取消しをされたと主張して、不法行為に基づき、損害金合計約230万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、Y社のD支店の業務課長であったEがXに対して本件業務に係る労働条件を提示して労働契約締結の申入れを行い、Xがこれを承諾したことによって、XとY社との間に労働契約が締結され、Y社による採用内定が成立した旨主張するところ、確かに、Eは、Xに対し、本件業務の大まかな業務内容及び労働条件を説明して本件業務を紹介し、その後もXとのやり取りを続け、Xが博多行の新幹線乗車券を購入することを許可し、かつ、Xが業務を開始することができるように、Y社の九州支店との間で調整を行っていたことが認められるが、XとY社との間で本件業務に係る労働契約を締結することを目的とする契約書が取り交わされたとの事実を認めることはできず、Y社がXに対して本件業務に係る労働条件を明示した書面を交付したとの事実を認めることもできず、また、Y社がXに対してXを採用する旨をメールで通知したとの事実を認めることもできないこと等から、XとY社との間において、本件業務に係る労働契約を締結する旨の確定的な意思表示の合致があり、Y社による採用内定が成立していたとの事実を認めることはできない。

「確定的な意思表示の合致」がキーワードになります。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。