配転・出向・転籍52 配転命令拒否を理由とする解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、配転命令拒否を理由とする解雇の有効性を見ていきましょう。

メガカリオン事件(東京地裁令和4年7月5日・労判ジャーナル133号40頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社による配転命令及び解雇がいずれも無効であるなどと主張して、労働契約上の権利を有する地位の確認を求めるとともに、未払賃金及び未払交通手当等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

配転命令、解雇無効

【判例のポイント】

1 本件配転命令の効力について、Y社の就業規則には、Y社は従業員に異動を命じることができるとの定めがある上、Xは、本件労働契約の締結に際し、「業務、職務、業務形態の変更、転勤等を命ぜられた場合はこれに従います」との条項のある誓約書を作成してY社に提出したものと認められるから、本件労働契約上、Y社は、Xに対して配転命令権を有するものと認められるところ、Y社は、配置転換の必要性として、Kセンターの廃止後、Y社の研究部門では、Xの就労を前提としない組織運営が定着していることを主張するが、Kセンターの廃止といっても、同センターで行われていた事業自体は継続され、XがKセンター長として担っていた本件業務を各事業部門の部門長らに分掌させたにすぎず、Xの就労を前提としない組織運営が長期化したのは、Y社がKセンターの廃止を理由にXの退職を一方的に推し進めた結果、前訴判決により退職合意の存在及び解雇の効力を否定されたことによるものであって、当該事由は配置転換の必要性として正当なものとはいい難いこと等から、本件配転命令はY社が使用者としての権利を濫用したものとして無効というべきである。

配転命令の必要性が認められなかった事案です。

この要件と表裏の関係になりますが、配転命令が不当な動機目的によってなされた場合も無効と判断されますのでご注意ください。

微妙な事案において、配転命令を行う場合には、事前に顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。