不当労働行為307 金融機関における人事部附への配置転換の不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、金融機関における人事部附への配置転換の不当労働行為該当性について見ていきましょう。

あおぞら銀行事件(東京都労委令和5年1月24日・労判1291号95頁)

【事案の概要】

本件は、組合員Aに対する人事部附への配置転換が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 以上のとおり、Y社がAを人事部附に配属したことについての業務上の必要性は疑問であり、同人を人事部附に配属したことは不自然であるといわざるを得ない。そして、本件懲戒処分をめぐって労使が鋭く対立していた中で、Y社は、組合を軽視し、退職勧奨について組合が交渉を求めていたにもかかわらず、組合を通さずにAと直接話をしようとするなど組合との更なる交渉を忌避しようとしていたことが認められる。
また、本件懲戒処分に納得せず、Y社からの始末書提出の指示に素直に従わず、組合の力を得て団体交渉でY社を追及しようとするAをY社は疎ましく思い、同人をY社から退職させようとしていたことが認められる
そうすると、本件配置転換は、組合の存在を嫌悪していたY社が、組合員として自身の懲戒処分撤回等の活動を行っていたAを退職誘導して職場から排除し、ひいてはY社から排除することを企図して組合を弱体化させるために行ったものであったといわざるを得ない。
したがって、本件配置転換は、Aが組合員であること及び組合活動を行ったことを理由とする不利益取扱いに当たり、また、組合の運営に対する支配介入にも当たる。

気持ちは理解できますが、やはり上記事情からすると、不当労働行為と判断されてしまいます。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。