労働時間98 事業場外みなし労働時間制の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、事業場外みなし労働時間制の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

東京精密事件(東京地裁令和4年11月30日・労判ジャーナル138号38頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で労働契約を締結していたXが、Y社に対し、A営業所の主任であり、Xの上司であったBからパワーハラスメントを受けており、Y社に安全配慮義務違反があったとして、債務不履行に基づく損害賠償金等の支払を求めるとともに、時間外労働をしたとして、労働契約に基づき、未払割増賃金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

損害賠償請求棄却

未払割増賃金等支払請求一部認容

【判例のポイント】

1 Xは営業職であったが、原則としてA営業所に出社して営業に出た後、一旦帰社して退勤していた上、営業先においてもY社から貸与を受けたパソコン、スマートフォンを携帯して上司からの指示を受け、営業先、営業先での滞在時間、営業先に関する報告事項、移動時間等を記載した販売員週報を1週間ごとにY社に提出していたのであるから、Y社がXの出勤時刻、退勤時刻、営業先での行動等を把握することに支障があったとは認められず、また、Xが勤怠月報に出勤時刻及び退勤時刻を手動で入力したところ、Cは毎日ではなく月単位で入力時刻の承認を行っていたのであって、Y社が労基法上の労働時間把握義務を尽くしていたとはいい難く、Xが従事する営業業務は、「労働時間を算定し難いとき」に該当するとはいえないから、事業場外みなし労働時間制の適用があるとはいえない。

このような事情が認められる限り、事業場外みなし労働時間制の適用は認められません。

営業職に対して安易に同制度を導入している会社が散見されますのでご注意ください。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。