おはようございます。
今日は、休職期間満了を理由とする退職扱いの有効性に関する裁判例を見ていきましょう。
B WORLD PATENT&TRADEMARK事件(大阪地裁令和7年9月18日・労判ジャーナル165号20頁)
【事案の概要】
本件は、Y社と雇用契約を締結して勤務し、その後精神疾患を発症して休職していた元従業員Xが、休職期間満了を理由とする退職扱いは無効であると主張して、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、並びに未払賃金等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
退職扱い無効
【判例のポイント】
1 休職期間の終用に関する問い合わせを受けた使用者は、休職中の労働者に対し、雇用契約に付随する義務として、その終期を教示すべき義務を負うというべきであるところ、Y社が、休職期間の終期を教示すべき義務を怠ったことは明白であり、ひいては、同義務に違反したことにより、Xの復職の機会を不当に制限し、あるいは事実上失わせたというべきであるから、本件において、Y社が、休職期間の終期までに復職可能である旨の診断書の提出がなかったこと等を理由に、Xを退職扱いとすることは、信義則違反あるいは権利の濫用として許されないというべきである。
2 Y社は、Xは就労の意思を喪失したと主張するところ、確かにXが、令和5年5月15日、G看護師に対し、会社に戻るつもりはないと述べたこと、その後ハローワークを通じて就職活動を行うなどしていたことが認められるが、G看護師に対する上記発言は、D病院を受診した際のものであり、Xの確定的な意思を示すものとは直ちに認め難く、加えて、Xは、組合を通じてY社に対し、同年6月13日付け「要求」をもって、休職期間満了による退職扱いを撤回するよう求め、その後も復職を前提とする協議を求め続けていたことなどからすれば、Y社が指摘する各事情を考慮しても、Xは、現時点でも、Y社において就労する意思を有していると認めるのが相当である。
使用者としていかに対応すべきかについては、顧問弁護士の助言の下に判断するのが賢明です。