おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。
今日は、交渉ルールおよび労使慣行を理由に、労組支部の指定する者が出席する支部との団交に応じなかったことが団交応諾義務に違反するかが争われた事例を見てみましょう。
NHK(全受堺支部)事件(中労委平成27年11月4日・労判1126号86頁)
【事案の概要】
本件は、交渉ルールおよび労使慣行を理由に、労組支部の指定する者が出席する支部との団交に応じなかったことが団交応諾義務に違反し不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる。
【命令のポイント】
1 本件出席ルールについてY社とX組合との間で合意があったと認めることはできず、本件出席ルールがY社とX組合との間で拘束力を有していたものとはいえず、事前了解や本件出席ルールを根拠にY社の団交拒否に正当な理由があったと認めることはできない。
2 労働組合の交渉担当者の選任は労働組合の自主的判断に委ねられるものであるところ、X組合側の出席者はA特別執行委員一人ではなく、従前から交渉していたX組合の者もいるのであり、基本的にY社側で前提事項の説明等を繰り返す必要が生ずるなどして交渉に顕著な混乱が生じるおそれがあるとはいえず、A特別執行委員自身に交渉を行う上で不適切とされるような問題があるとの証拠もない。仮にY社が交渉に混乱が生じるおそれがあると懸念するとしても、それは交渉の具体的方法の問題として、X組合との間の事務折衝等において具体的に懸念を表明し、混乱するような事態が生じないように進行を打ち合わせたり、X組合が事前にA特別執行委員との間で入念な準備等をしたりするなど自主的な取組によって解決することが可能な事柄であり、このような手順を踏むことなく、一律に出席を拒否する正当な理由とはならない。
上記命令のポイント2は押さえておきましょう。
安易に団交を拒否することは避けましょう。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。