Author Archives: 栗田 勇

本の紹介458 速さは全てを解決する 『ゼロ秒思考』の仕事術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
速さは全てを解決する---『ゼロ秒思考』の仕事術

著者は、マッキンゼーで14年間活躍された方です。

タイトルのとおり、「スピード」を重視した仕事法や勉強法を紹介してくれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

仕事を速く進めるうえで重要な点は、できることは全部前倒しすることだ。・・・早めにやるほうが精神的には楽で余裕があるので、落ち着いて広い視点から取り組むことができる。心に余裕があるので頭もよく働く。・・・『ぎりぎり』だと、目先のことにあくせくし、先手を打つこともできず、想定がはずれたときに挽回のチャンスもなく、好循環など起こりようもない。人の協力も得にくい。ストレスが強くなり、体も心も疲れ果てる。」(57頁)

いまさら言うまでもないことですが、仕事が速い人は、着手が早いのです。

とっかかりが遅いと、それだけで出遅れているわけです。

ぎりぎりになって着手することだけは避けなければなりません。

とにかく着手することが大切です。

特にヘビーな仕事の場合には、「できるところから手をつける」という発想を持ち、少しずつ攻略するのです。

すべては習慣の問題です。

賃金97(全駐留軍労働組合事件)

おはようございます。

今日は、ストライキ支援のための年休取得と未払賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。

全駐留軍労働組合事件(那覇地裁平成26年5月21日・労判1113号90頁)

【事案の概要】

本件は、沖縄県内のアメリカ合衆国軍隊基地に勤務するXらが、年次有給休暇の時季指定権を行使したにもかかわらず、年次休暇時間分の賃金の支払いを受けていないとして、雇用者であるY国に対し、各自、未払賃金及び遅延損害金、付加金の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y国はXらに対し、各自、別紙未払賃金一覧表の各未払賃金額欄記載の金員及び遅延損害金を支払え。

Y国はXらに対し、同額の付加金+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 本件年休申請は、Xらの有する有給休暇の範囲内でされたものであり、その有給休暇の取得に違法はない。そして、Y国は、何ら時季変更権の行使等の主張をしないから、帰するところ、Xらに対し、未払となっている本件各未払賃金を支払う義務を負うものというべきである
したがって、Xらの請求のうち、Y社に対して本件各未払賃金及びその遅延損害金の支払いを求める部分は理由がある。

2 Y国は、全駐労による交渉や申入れ等を受け、本件年休申請につき在日米軍が適法な時季変更権を行使しないことへの懸念を有していたものであるところ、本件各未払賃金が現実化した後もその支払をせず、本件訴訟において、一旦は時季変更権の主張をしたもののこれを撤回し、その後に至っても未だ各未払賃金を支払っていないのであるから、このようなY社による本件各未払賃金の不払の状況や、これによるXらの不利益は軽視することはできない
そうであれば、Y社に対し、本件各未払賃金と同額の付加金の支払を命ずるのが相当である。

3 付加金の支払による制裁の対象は、当該労働者の雇用主であると解されるところ、Y社と在日米軍は、いわば雇用主の権利義務を分掌しているものと見ることができるから、両者を併せて制裁の対象ととらえることができる。しかるに、付加金の支払を命ずることによって、Y国がその制裁を受けることはいうまでもないが、在日米軍についても、Y国は、命ぜられた付加金の支払をした後に、在日米軍に対してその求償をすることができるのであるから、その意味において、在日米軍も制裁を受けるということができるのである(仮に、在日米軍がその償還を拒んだとしても、制裁が無意味であるとまでいうことはできないし、いずれにしても、本件と同様の事態を招かないという意味において、制裁の効用を認めることできると考えられる。)。

国の方はあまり強く争う気持ちが見られませんね。

付加金のことを考えると控訴をして有給分を支払って終わりにしたいところです。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介457 「最高の結果」はすべてを「捨てた」後にやってくる(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
「最高の結果」はすべてを 「捨てた」後にやってくる

これまでにも何冊か紹介をしてきました早川勝さんの本です。

「捨てる」ことにフォーカスした本です。

著者の本を読むと、日常生活における弱さや甘えが吹っ飛ぶので、とても好きです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私の人生においても、誰に相談することなく、捨てて、捨てて、捨てまくってきた。安定を捨て、積み上げた実績も捨て、ときには地位や名誉も捨ててきた。『逃げることなく、チャレンジしてきた』のだ。
人生における重要な決断をするとき、最も相談してはいけない『不幸のメッセンジャー』は”両親”である。両親は反対するのが仕事だ。親の願いは、子供の成功や成長ではない。実の子供には、『ぬるま湯』で苦労することなくヌクヌクと育ってほしいのだ。それが親の愛なのである。『いつまでも子供でいてくれること』それが親の願いなのだ。親のいうことを聞いていたら、成功を手に入れることはできない。両親へは、100%事後報告にすること。人生の重要な決断を下すときには、絶対に不幸のメッセンジャーに相談してはならない。」(37~38頁)

本当にやりたいことについて、事前に誰かに相談するという感覚が僕にはよくわかりません。

相談して、「やめておきなさい」と言われたらやめるのでしょうか。

その程度の気持ちならば、やらないほうがいいでしょう。

きっと少し挫折したら、すぐにやめてしまうでしょうから。

多くの場合、事前の相談をする人は、「相談」ではなく、単に「背中を押して欲しい」だけなのです。

甘えん坊さんなのです。

安定を捨てて、次のステップに進むことこそが、成長だと考える人には、この本に書かれていることがわかるのでしょうね。

解雇180(アメックス(休職期間満了)事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

さて、今日は、就業規則の変更に伴う復職拒否・退職扱いの有効性に関する裁判例を見てみましょう。

アメックス(休職期間満了)事件(東京地裁平成26年11月26日・労判1112号47頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と雇用契約(労働契約)を締結した後、業務外傷病(うつ状態)により傷病休暇及び療養休職を取得したXが、療養休職期間満了時に休職事由が消滅したから、X・Y社間の雇用契約がY社の就業規則により終了するものではないなどと主張して、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位の確認を求めるとともに、雇用契約に基づく賃金支払請求権に基づき、休職期間満了日(雇用契約終了日)の翌日である平成24年12月21日以降の賃金及び遅延損害金の支払いを求める事案である。

【裁判所の判断】

Xが、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

賃金+遅延損害金の支払いを命じる

【判例のポイント】

1 Y社は、労働契約法10条により、本件就業規則24条3項がXを拘束する旨主張する。
しかし、本件就業規則24条3項は、従来規定されていない「健康時と同様」の業務遂行が可能であることを、療養休職した業務外傷病者の復職の条件として追加するものであって、労働条件の不利益変更に当たることは明らかであるY社において、従前から上記復職条件が業務外傷病者の復職条件として労使間の共通認識となっていたことや、本件変更前から本件内規の本件判定基準9項目により、上記の復職条件を満たすか否かを判断する運用をしていたことを認めるに足りる証拠はない
そして、業務外傷病のうち特に精神疾患は、一般に再発の危険性が高く、完治も容易なものではないことからすれば、「健康時と同様」の業務遂行が可能であることを復職の条件とする本件変更は、業務外傷病者の復職を著しく困難にするものであって、その不利益の程度は大きいものである一方で、本件変更の必要性及びその内容の相当性を認めるに足りる事情は見当たらないことからすれば、本件変更が合理的なものということはできない
したがって、本件変更は、労働契約法10条の要件を満たしているということはできず、本件就業規則24条3項がXを拘束する旨のY社の主張を採用することはできない。

2 業務外傷病により休職した労働者について、休職事由が消滅した(治癒した)というためには、原則として、休職期間満了時に、休職前の職務について労務の提供が十分にできる程度に回復することを要し、このことは、業務外傷病により休職した労働者が主張・立証すべきものと解される。

3 休職制度が、一般的に業務外の傷病により債務の本旨に従った労務の提供ができない労働者に対し、使用者が労働契約関係は存続させながら、労務への従事を禁止又は免除することにより、休職期間満了までの間、解雇を猶予するという性格を有していることからすれば、使用者が休職制度を設けるか否かやその制度設計については、基本的に使用者の合理的な裁量に委ねられているものであるとしても、厚生労働省が公表している「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」から、本件内規中に掲げた本件判定基準9項目を全て満たした場合にのみ復職を可能であるとする運用を導くことは困難である。
また、本件内規は、平成23年7月頃、Y社人事部において、業務外傷病により傷病休暇及び療養休職を取得した従業員の復職判断のための内部資料として作成されたものにすぎず、従業員には開示されていないから、上記の運用が本件雇用契約の内容として、Xの復職可否の判断を無条件に拘束するものではない

4 そして、本件情報提供書は「軽度日中の眠気が出現する以外は気分、意欲とも改善している」、「当初は時間外勤務は避ける必要がある。又、質量ともに負担の軽い業務からスタートして徐々にステップアップすることが望ましい。」との所見の趣旨はD医師が述べるとおりであり、Y社としては、本件診断書及び本件情報提供書の内容について矛盾点や不自然な点があると考えるならば、本件療養休職間満了前のXの復職可否の判断の際にD医師に照会し、Xの承諾を得て、同医師が作成した診療録の提供を受けて、Y社の指定医の診断も踏まえて、本件診断書及び本件情報提供書の内容を吟味することが可能であったということができる
Y社は、そのような措置を一切とることなく、何らの医学的知見を用いることなくして、D医師の診断を排斥し、本件判定基準9項目のうち、・・・を満たしていないと判断しているところ、そのようなY社の判断は、Xの復職を著しく困難にする不合理なものであり、その裁量の範囲を逸脱又は濫用したものというべきである

非常に重要な裁判例です。

休職期間に関連する問題は、会社としても対応がとても難しいですね。

「正解」がよくわからない中で、できる限りの対応をするという姿勢が求められます。

顧問弁護士や顧問社労士とともに対応していくことが強く求められます。

本の紹介456 限界はあなたの頭の中にしかない(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
限界はあなたの頭の中にしかない

ジェイ・エイブラハムさんの本です。

著者の本をたくさん読んできましたが、どの本もとても勉強になります。

今回の本もおすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

凡庸で終わる人々が決して本気でやろうとしないことがあります。目指すゴールに近い人々や、違う背景や違う発想をして成功している人々と話をすることです。わざわざ会いに出向くことです。彼らの話を真剣に聴いてみることです。…しかし、多くの人はそれをやりません。自分の居心地の良い世界から出ようとしません。ゴールの設定もしません。メンターも持ちません。成長も決意をしません。それで現状から抜け出せるはずがないのです。…ゴールのビジョンを明確に持つことは大切です。しかし、願っているだけでは何も変わりません。…目標を紙に書いているだけでは何も変化しません。」(198~199頁)

いかがですか。

ここまではっきり言われると気持ちがいいですね(笑)

本気で変わろうとしていないから、変わらないのだと。

願っているだけでは何も変わらない。 目標を紙に書いているだけでは何も変わらないのです。

目標を明確に持ち、それに向かって、毎日、怠けることなく、やるべきことをやり続けることです。

とても地道で気が遠くなることかもしれません。

でも、この方法が、目標を達成するための最も確実な方法だと確信しています。

解雇179(コンチネンタル・オートモーティブ事件)

おはようございます。

今日は、休職期間満了時に復職可能であったと判断できないとして賃金の仮払いが認められなかった裁判例を見てみましょう。

コンチネンタル・オートモーティブ事件(横浜地裁平成27年1月14日・労経速2244号3頁)

【事案の概要】

本件は、XがY社に対し、休職事由が消滅したにもかかわらず、休職事由が消滅していないとして休職期間満了による退職の扱いをしているのは不当として、未だXはY社との間で労働契約が継続していることを前提に、賃金の仮払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

申立て却下

【判例のポイント】

1 Y社は、復職が可能という主治医の診断書は、Xの強い意向に従って作成されたものであるから全く信用できないと主張している。
確かに主治医の平成26年10月27日から通常勤務に問題がない旨の診断書は、Y社からXに対し、休職期間満了の通知が届き、「焦って目が覚めたと言ってきて、会社に戻りたい、頑張ろうと思う」との話があったため、希望どおりに書いたというものである。これは、医学的に軽快したということが理由になっているのではなく、Xの強い意向によることが理由と考えざるを得ない。そうすると、Y社からXに宛てて出された平成26年10月10日付けで送付された休職期間が満了して退職となる旨の通知をXが受領する以前に示された診断書が、前記認定した主治医がY社代理人に述べたXに関する病状とも整合しており、医学的にみたXの病状を示しているといえる
すると、Xについては、平成26年10月29日の休職期間満了時に復職可能であったと判断することはできず、就業規則第49条第1項に該当するとは認められない。したがって、被保全権利の存在は疎明されていない。

2 Xは、平成26年10月末の時点で預金を26万ほどしか有していなかったとしても、その後、Xは、1年6か月は受給できる傷病手当金の受給申請を行い、月25万円を超える傷病手当金を受給し、今後も受給できる状況である。・・・Xについて、賃金の仮払いを受けなければ生活が困窮し、回復し難い損害を被るおそれがあるとは疎明されないので、保全の必要性は疎明されていない

3 以上からすると、被保全権利の存在及び保全の必要性いずれについても疎明がされているとはいえないから、本件申立ては却下することとする。

休職期間満了時の対応は、簡単ではありません。

労使ともに、留意すべき点が多々あります。

複数の裁判例から実務におけるヒントを拾い出し、応用することが求められます。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介455 最高の営業デビュー(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
日本一のセールスコンサルタント直伝 最高の営業デビュー

セールスコンサルタントの本です。

テクニックというよりは、心構えが書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

今、日本人が使わなくなりつつある言葉で、『惻隠のこころ』という言葉があります。これは、誰かが困っているのを見たら、自分のことのように心を痛めるような、そういった心のことです。それを『惻隠のこころ』といいます。平たくいえば『思いやりのこころ』になるのですが、『思いやり』という言葉だけでは、十分に言い表せない、もっと深い情愛を感じさせる言葉です。…お客さんを気遣い、心配し、目を配って、親切にする。相手の心をくみ、降らぬ先の傘をさしてあげようとする。そうした優しさを大事にしてほしいと願っています。」(186~187頁)

姿勢・考え方とテクニックを分けるとして、テクニックが効果を発揮するのは、姿勢や考え方がセットされていることが大前提です。

どれだけ自己犠牲を払えるか。

そして、そのことを自己実現として捉えることができるか。

嫌々やるのでは、とても続きません。

特に私たち弁護士は、このような気持ちを持ちあわせているかどうかで、仕事に対する幸福感が天と地ほど変わってきます。

賃金96(ハンナシステム事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、元従業員による割増賃金請求に関する裁判例を見てみましょう。

ハンナシステム事件(大阪地裁平成26年10月16日・労判1112号76頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、Y社に対し、①平成22年5月21日から24年2月16日までの間の労働契約に基づく未払いの時間外割増賃金、休日割増賃金および深夜割増賃金の合計613万2756円ならびに遅延損害金を求めるとともに、②22年11月21日から24年2月16日までの間の割増賃金等に対する付加金及び遅延損害金の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、合計568万8723円+遅延損害金、付加金352万657円の支払え。

【判例のポイント】

1 Y社は、原告との間で、基本給には月20時間分の割増賃金等が含まれる旨の合意があり、割増賃金等として月額4万2000円は支払済みであると主張する。しかし、Xは、Y社在職中にこのような説明を受けたことやこのような合意をしたことは一切ないと供述し、他にY社主張の合意を認めるに足りる証拠もない。そして、基本給に割増賃金等が含まれる合意については、割増賃金等に当たる部分とそれ以外の部分とを明確に区分することができる場合に限り、その有効性を認めることができると解されるところ(最高裁昭和63年7月14日判決)、Y社がXに交付していた給与支給明細書には、支給項目として基本給と交通費としか記載がなく、そのような明確な区分がされているものとは認められず、その計算方法をY社がXに周知していたことを認めるに足りる証拠もないことからすれば、仮に、Y社主張のような合意があったとしても、有効な合意とは認められない。よって、Y社の主張はいずれにしても理由がない

2 Y社の就業規則及び賃金規程では、法定外休日についても割増率1.35とし、労働基準法37条を超える定めをしているから、この部分に対応する付加金の請求をすることはできないというべきである。

3 Y社は、平成22年以降、多額の欠損金が生じ、給与の遅配等が生じており、平成24年6月には一度、手形の不渡りを出していること、Y社では、X以外の従業員に対しても割増賃金等が支払われていないことが認められるが、付加金は、労働基準法114条所定の同法違反行為に対する制裁としての性質を有するものであることを考慮すれば、付加金の支払を命じることの可否及びその額を検討するに当たり、これを減免の事情として斟酌することはできず、この点に関するY社の主張は理由がない。

固定残業制度を中途半端に導入するとこうなります。

会社の経営状況は付加金の減免理由にならないので注意しましょう。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介454 「一流の存在感」がある人の振る舞いのルール(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
「一流の存在感」がある人の振る舞いのルール

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

社会的信用を重視する大手企業や大手事務所では、プロフェッショナルな印象の服装を選べないような人間は上に行くチャンスをつかめません。特に欧米の競争社会では、中身に自信があるなら、それとわかる外見を持っているはず、という考え方が一般的で、自分の外見さえマネジメントできない人間には何もできないと評価されます。」(139頁)

内面こそが大切だという方からすれば異論のあるところでしょう。

しかし、内面が大切だというきれいごとを貫くとしても、外見を軽視してよい理由にはなっていません。

両方大切なのでしょう。

実際、外見からその人の人となりを推察する以上、外見そっちのけ、というわけにはいかないでしょう。

服装、時計、車などから、その人を評価されることを理解し、マネジメントするという意識を持つだけで身につけるものが変わってくると思います。

セクハラ・パワハラ12(Y事件)

おはようございます。

今日は、性的発言等のセクハラ等を理由とする懲戒処分等が有効とされた最高裁判例を見てみましょう。

Y事件(最高裁平成27年2月26日・労経速2243号3頁)

【事案の概要】

本件は、男性従業員であるXらが、それぞれ複数の女性従業員に対して性的な発言等のセクシュアル・ハラスメント(以下「セクハラ」)等をしたことを懲戒事由としてY社から出勤停止の懲戒処分を受けるとともに、これらを受けたことを理由に下位の等級に降格されたことから、Y社に対し、上記各出勤停止処分は懲戒事由の事実を欠き又は懲戒権を濫用したものとして無効であり、上記各降格もまた無効であるなどと主張して、上記各出勤停止処分の無効確認や上記各降格前の等級を有する地位にあることの確認等を求めている事案である。

【裁判所の判断】

懲戒処分は有効

【判例のポイント】

1 X1は、営業部サービスチームの責任者の立場にありながら、従業員Aが精算室において1人で勤務している際に、同人に対し、自らの不貞相手に関する性的な事柄や自らの性器、性欲等について殊更に具体的な話をするなど、極めて露骨で卑わいな発言等を繰り返すなどしたものであり、また、X2は、上司から女性従業員に対する言動に気を付けるよう注意されていたにもかかわらず、従業員Aの年齢や従業員Aらがいまだ結婚をしていないことなどを殊更に取り上げて著しく侮辱的ないし下品な言辞で同人らを侮辱し又は困惑させる発言を繰り返し、派遣社員である従業員Aの給与が少なく夜間の副業が必要であるなどとやゆする発言をするなどしたものである。このように、同一部署内において勤務していた従業員Aらに対し、Xらが職場において1年余にわたり繰り返した上記の発言等の内容は、いずれも女性従業員に対して強い不快感や嫌悪感ないし屈辱感等を与えるもので、職場における女性従業員に対する言動として極めて不適切なものであって、その執務環境を著しく害するものであったというべきであり、当該従業員らの就業意欲の低下や能力発揮の阻害を招来するものといえる

2 しかも、Y社においては、職場におけるセクハラの防止を重要課題と位置付け、セクハラ禁止文書を作成してこれを従業員らに周知させるとともに、セクハラに関する研修への毎年の参加を全従業員に義務付けるなど、セクハラの防止のために種々の研修を受けていただけでなく、Y社の管理職として上記のようなY社の方針や取組を十分に理解し、セクハラの防止のために部下職員を指導すべき立場にあったにもかかわらず、派遣労働者等の立場にある女性従業員らに対し、職場内において1年余にわたり上記のような多数回のセクハラ行為等を繰り返したものであって、その職責や立場に照らしても著しく不適切なものといわなければならない

3 そして、従業員Aは、Xらのこのような本件各行為が一因となって、本件水族館での勤務を辞めることを余儀なくされているのであり、管理職であるXらが女性従業員らに対して反復継続的に行った上記のような極めて不適切なセクハラ行為等がY社の企業秩序や職場規律に及ぼした有害な影響は看過し難いものというべきである。

4 原審は、Xらが従業員Aから明白な拒否の姿勢を示されておらず、本件各行為のような言動も同人から許されていると誤信していたなどとして、これらをXらに有利な事情としてしんしゃくするが、職場におけるセクハラ行為については、被害者が内心でこれに著しい不快感や嫌悪感等を抱きながらも、職場の人間関係の悪化等を懸念して、加害者に対する抗議や抵抗ないし会社に対する被害の申告を差し控えたりちゅうちょしたりすることが少なくないと考えられることや、本件各行為の内容等に照らせば、仮に上記のような事情があったとしても、そのことをもってXらに有利にしんしゃくすることは相当ではないというべきである

非常に重要な判例です。

セクハラ事案では、原告から上記判例のポイント4のような主張がなされますが、この最高裁判例を前提とするかぎり、採用される可能性は低いと思われます。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。