Daily Archives: 2011年8月9日

有期労働契約23(マイルストーン事件)

おはようございます。

さて、今日は、派遣社員の雇止めに関する裁判例を見てみましょう。

マイルストーン事件(東京地裁平成22年8月27日・労経速2085号25頁)

【事案の概要】

Y社は、労働者派遣事業事業等を営む会社である。

Xは、Y社との間で登録型有期雇用契約を締結し、約2年9か月にわたり契約を反復更新して、同一の派遣先に就労していた。

平成21年2月、Y社の責任者は、本件派遣先責任者から、本件派遣契約の期間満了による終了の申出を受け、そのことをXに伝えた。

Y社は、Xとの雇用契約を、期間満了により平成21年3月、終了させた。

Xは、Y社に対し、違法・不当な雇止めにより契約を終了したと主張し、損害賠償を請求した。

【裁判所の判断】

雇止めは有効→請求棄却

【判例のポイント】

1 Xが平成18年7月以降、Y社との間で締結した雇用契約は、いずれも「登録型」有期雇用契約であるところ、Xは、Y社との間において、かかる雇用契約を5回更新した上、平成20年10月、本件雇用契約の締結に至ったこと、いずれの更新時においてもY社担当者(派遣元責任者)とXとの面談が行われ、その際、他の従業員とのトラブルが問題とされた経緯はあるものの、更新の可否それ自体については特に大きな問題が生じたことはなく更新手続が繰り返されていたこと、またXは、本件派遣先の前身であるA社を紹介してもらった人物から本件派遣先の正社員に登用される可能性が十分にあるとの説明を受けており、本件派遣先の専務理事や本部長等もXの仕事ぶりを一応評価し、Xに対し、正社員への登用の可能性をほのめかしていたこと、そして、Y社の派遣元責任者も、平成21年2月初めに本件派遣先の責任者から連絡が入るまでは、本件雇用契約の更新について特に問題はないものと認識していたことなどの事情が認められる。
これらの事情によると雇止めとなった平成21年3月当時、Xは、本件派遣先幹部らの発言から、将来本件派遣先の正社員に登用される可能性が十分にあるものと考え、本件雇用契約が更新継続されることに、かなり強い期待を抱いていたことが認められる

2 しかし、登録型有期労働契約の場合、派遣期間と雇用契約期間が直結しているため、労働者派遣が終了すれば雇用契約も当然に終了する。そうすると本件雇用契約は、本件派遣先との本件派遣契約を前提としていることになり、本件派遣先幹部らの発言のとおりXが本件派遣先の正社員に登用されると、本件派遣契約は終了し、その結果として本件雇用契約も当然終了することになるのであるから、Xの上記期待は自己矛盾を含むものといわざるを得ない

3 そもそも労働者派遣法は、派遣労働者の雇用の安定だけでなく、常用代替防止、すなわち派遣先の常用労働者の雇用の安定をも目的としているものと解されるのであるから、この解釈の下では同一労働者の同一事業所への派遣を長期間継続することによって派遣労働者の雇用の安定を図ることは、常用代替防止の観点から労働者派遣法の予定するところではないものというべきである。
そうするとXの上記期待は、労働者派遣法の趣旨に照らしても合理的なものであるとはいい難く、民法709条ににいう「法律上保護される利益」には当たらないと解すべきである

派遣法の趣旨に照らすとこのような結論となります。

有期労働契約は、雇止め、期間途中での解雇などで対応を誤ると敗訴リスクが高まります。

事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。