Daily Archives: 2012年10月25日

配転・出向・転籍16(エバークリーン事件)

おはようございます。

さて、今日は、ドライバー職から工場職への配転命令に関する裁判例を見てみましょう。

エバークリーン事件(千葉地裁松戸支部平成24年5月24日・労経速2150号3頁)

【事案の概要】

Y社は、再生油の販売、産業廃棄物の収集・運搬・処分、産業廃棄物のリサイクル等を業とする会社である。

Xは、平成20年4月、Y社と労働契約を締結し、ドライバーとして廃棄物等の収集・運搬業務に従事していた労働者である。

Y社は、Xをドライバー職から工場職へ配転命令を出した。

Xは、配転命令は、職種限定の合意違反又は権利の濫用であるから無効であると主張し争った。

【裁判所の判断】

配転命令は有効

【判例のポイント】

1 Xは、ドライバーを募集している旨の求人広告を見て応募し、Y社と労働契約を締結したこと、雇用契約書にも「ドライバー」との記載があったこと、就労の当初からドライバーとして勤務していたことが認められ、Y社においては、ドライバーとして稼働する従業員についてはその他の従業員と別途の就業規則及び賃金規程が定められていたことが認められる。
しかし、Y社のドライバー職従業員を対象とした就業規則には、Y社が業務の都合により、従業員に勤務地、所属、職務の変更を命ずることがある旨の規定があること、Y社においては従前からドライバーから工場職(製造部勤務)に異動する従業員が年間5名程度いることに照らせば、上記事実をもって、本件労働契約においてXの職種をドライバーに限る旨の合意があったと認めることはできないというべきである。

2 本件労働契約締結の経緯、Xが従前ドライバーとして就労していたこと、ドライバーと工場職(製造部勤務)の勤務内容の違いに照らせば、Y社における業務上の必要性は相当程度のものであることを要し、また、不当な動機ないし目的のもとにされたものである場合においても権利の濫用に当たると解すべきである
この点、Xは、平成20年9月6日に腰を痛めて稼働できなくなり、同月17日まで出勤せず、平成21年1月22日には業務作業中に痛風性関節炎を発症し、同年4月7日まで出勤しなかったことがあったところ、平成22年3月24日、業務作業中に右足を負傷し、同年5月8日、業務作業中に右足を負傷したことが認められる。そして、平成22年5月8日の負傷については、少なくとも2、3日程度業務に従事することを差し控えることが相当な程度であったことが推認されるところ、以上の経緯及びドライバー職が一人で客先を回ることとされ、また、重量物を一人で持つことがあり、長距離の運転を行うことから、Y社において、Xに対する安全配慮義務及びY社の業務の円滑な遂行の見地から、本件配転命令を出すべき業務上の相当程度の必要性が認められるというべきである。

3 Xは、Y社には不当な目的がある旨主張し、同主張に沿う証拠もある。しかし、従前、Y社の管理職において退職に追い込む目的をもって工場職への異動を命じた例があったとしても、直ちに本件において同様の目的が推認されるとまではいえないところ、前述したとおり、業務上の相当程度の必要性が肯定されること、・・・Xに抵抗感があることに理解を示しつつ、身体に無理をさせないように配慮する旨や収入が下がらないように配慮する旨を述べるなどをしたことが認められることに鑑みれば、Xが主張する不当な目的があったことを認めることはできないというべきである

配転命令は有効との判断です。

労働者側からすれば、ドライバー職から工場職への配転ですから、業務上の必要性はないし、不当な動機目的に基づく配転だと主張したくなる気持ちはわかります。

問題は、業務上の必要がないことや不当な動機目的を立証できるか、です。

使用者側からすれば、当然のことながら、必要性があったことを主張立証することになります。

手持ちの証拠の多さからしても、一般的には、労働者にとって、この立証の壁を超えるのは容易なことではありません。

配転命令が無効となるのは、よほど使用者側のやりかたがまずかったり、へたくそな場合ですね。

実際の対応については顧問弁護士に相談しながら行いましょう。