Daily Archives: 2014年7月4日

セクハラ・パワハラ7(ホンダカーズA株式会社事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

さて、今日は、元従業員による未払賃金・損害賠償請求(パワハラ)に関する裁判例を見てみましょう。

ホンダカーズA株式会社事件(大阪地裁平成25年12月10日・労判1089号82頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員であるXが、Y社に対し、未払賃金(アドバイス奨励金)、労基法37条所定の時間外割増賃金、深夜割増賃金及び同法114条に基づく付加金を請求するとともに、先輩従業員から業務指導に名を借りた暴言、暴行等のパワーハラスメントを受けたと主張して、Y社に対し、民法715条又は労働契約上の安全配慮義務違反に基づき慰謝料の支払いを請求する事案である。

【裁判所の判断】

1 Y社はXに対し、割増賃金113万4799円及び付加金59万7208円の支払え。

2 その余の請求は棄却

【判例のポイント】

1 Xは、本訴で請求するアドバイス奨励金の対象となるアドバイスや作業を具体的に特定することなく、Xが作成した平成21年1月~22年12月分の「月度アドバイス」に作業実施日が記載されたアドバイス内容の項目数に単価を乗じた金額と、毎月の給与明細から把握できる実際の奨励金支給額との差額を通算して請求しているが、これをもって「月度アドバイス」記載の各項目が奨励金の支給要件を満たしているとの主張立証がなされているとはいえない。

2 Xの割増賃金計算の基礎となる賃金は、基本給、皆勤手当、資格手当、ファイトマネー及びアドバイス奨励金であること、このうちファイトマネー及びアドバイス奨励金は、一種の出来高払制の賃金として、労働基準法施行規則19条1項6号に基づき割増賃金を算定すべきであること、割増賃金算定の前提となる平成21年及び平成22年の1年間における1月平均所定労働時間は、各170.5時間であることが認められる。

3 Xのパワーハラスメントに関する主張には、X本人の供述や陳述書等の記載以外の裏付けがない。加えて、Xは、自らY社代表者宛に文書を提出し、それを契機として直接対話する機会を得た経験を有しながら、それ以降、Dの粗暴な言動に苦しめられている旨の文書は、退職に至るまで一度も提出した形跡が窺われないことX側申請証人であるB工場長も、Xに対し職場でいじめが行われていたとの認識はなく、Xに対する粗暴な言動について見聞きしたところもないことに鑑みれば、Xの供述は総じて信用することができない。
よって、X主張のパワーハラスメントについては、その事実を認めるに足りる証拠がなく、また、認められる事実関係を前提にしても、およそXに対する不法行為や安全配慮義務違反を構成するとは認め難い。

特に上記判例のポイント3は、パワハラ事案の難しさが出ていますね。

客観的な証拠をそろえるのは本当に大変です。

ましてや、原告が申請した証人が職場でいじめが行われていたとの認識がなく、原告に対する粗暴な言動を見聞きしていないと証言するのでは・・・。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。