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今日は、賃金仮払仮処分申立却下決定が相当とされた裁判例を見てみましょう。
コンチネンタル・オートモーティブ事件(東京高裁平成28年7月7日・労経速2291号3頁)
【事案の概要】
本件は、Xが、Y社に対し、Y社がXに対して行った解雇が無効であるとして、労働契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位にあることを仮に定めるとともに、1か月当たり73万2452円の月例給与として、平成26年7月から平成27年11月までの支給分に当たる合計1245万1684円及び同月12月以降毎月25日限り73万2452円を仮に支払うことを求める事案である。
【裁判所の判断】
抗告棄却
【判例のポイント】
1 Xは、不動産事業収入について、所得金額は36万6335円であって、家計に入ってくる収入は1か月3万0530円であると主張するが、不動産事業に係る経費には減価償却費などがあり、一概に所得金額が手取りの収入金額であるとはいえないところ、Xはその内訳について明らかにしていないことに照らし、Xの主張は採用しない。
また、Xは、平成28年3月時点で、債権者世帯の預貯金額は269万円程度となっていると主張するが、本件解雇から既に2年以上が経過しているのであって、Xとしては、これまでの間、本案訴訟を提起することは十分可能な状態であったのであることに照らすと、Xの主張する前記事情を考慮しても、仮の地位を定める仮処分命令における保全の必要性の有無についての前記判断を左右するものではない。
解雇から2年以上が経過していることを考慮し、保全の必要性を否定したものです。
その間に本訴を提起できたでしょ、ということです。
解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。