Monthly Archives: 11月 2016

本の紹介620 編集者という病い(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
編集者という病い (集英社文庫)

幻冬舎の見城社長の本です。

これまで何冊か見城社長の本を読んできましたが、この本で1番で読んでほしいのは小池真理子さんの解説です。

見城社長がどのような人物かを理解するには最適です。

私は、見城社長のこれまでの本や755での言葉に強く影響を受けてきました。

心のメンターです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

小さいことにくよくよするな!なんてウソだ!小さなことにくよくよせずに、大きなことをプロデュースできるわけがない。小さな約束も守れない奴に大きなことができるわけがない。例えばトイレ掃除のおばちゃんに『永遠の仔』が読みたいと言われ、その日に在庫がなければ、おばちゃんの当番の日を手帳に書き残し、次の機会にちゃんと渡せなければダメだと思う。きちんと手帳に書き、覚えておく。果たしていないことがあれば常に書き出して、毎日クルマの中、トイレの中、ベッドの中で見る。そういうことができない人に大きなものを動かせるわけがない。」(221~222頁)

こういうことの積み重ねなのでしょうね。

たった1回であれば多くの人が意識をすればできることだと思います。

これを長きにわたって例外を設けずやり続けるとなるとどれほどの人ができるのでしょうか。

成功する人というのは、大きなことを1度だけできる人ではなく、小さなことを毎日毎日やり続けられる人なのでしょう。

小さなことを例外を設けずに継続することこそが結果として大きな成果につながるのだと確信しています。

労働災害88 安全教育を徹底していたことを理由に、会社に安全配慮義務違反が否定された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、安全教育を徹底していた等の理由により、会社に安全配慮義務違反が認められないとした裁判例を見てみましょう。

アイシン機工事件(名古屋高裁平成27年11月13日・労経速2289号3頁)

【事案の概要】

本件は、A社に派遣作業員として雇用され、Y社の工場に派遣されていたXが、同工場での作業中に右環指切断の傷害を負ったとして、A社及びY社に対し、不法行為に基づく損害賠償として、879万6077円+遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。

原審が、XのA社に対する請求を棄却し、Y社に対する請求につき、136万円+遅延損害金の限度で認容し、その余を棄却したところ、X及びY社が控訴した。

【裁判所の判断】

Xの控訴を棄却する

Y社の控訴により、Y社敗訴部分を取り消す。
→Xの請求を棄却する

【判例のポイント】

1 Y社においては、派遣社員の受入れ時に、ポルトガル語を併記した本件テキストを用いて安全教育を実施しており、異常が生じた際には、機械を止め、上司を呼び、上司を待つことを指導するほか、動いているものや動こうとするものには手を出してはならないことなどを「安全三訓」として強調し、その後、これらの点に関する理解度を測るテストを実施し、作業ラインに配属された後も、毎日の作業開始時に「安全三訓」を唱和させて、これを徹底していたことが認められる

2 本件事故後の調査の過程で、「ポルトガル語を話せる監督者がいないため、身振り手振りの伝達では、100%思いが伝わっていない」ことが問題とされたことが認められるものの、安全三訓の内容は平易なものであり、受入れ時の安全教育において、ポルトガル語でも周知され、安全教育内容の理解度テストにおいても、Xが理解していたことに照らすと、上記の問題提起は、意思疎通の充実によって、日常的に生ずる種々の問題点の解消を図るべきことを提示したにとどまり、Xに安全教育の内容が伝わっていないことを問題視したものとは解されない
そうすると、Y社が、機械操作時に機械内部に手を入れないよう指示指導する義務や、チョコ停が生じた場合に上司を呼ぶよう指示指導する義務を怠ったとはいえない。

裁判所が日頃の安全教育を評価した結果ですね。

他社においても非常に参考になる裁判例です。

日頃から労務管理については、顧問弁護士に相談しながら行うことが大切です。

本の紹介619(借金2000万円を抱えた僕にドSの宇宙さんが教えてくれた超うまくいく口ぐせ)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
借金2000万円を抱えた僕にドSの宇宙さんが教えてくれた超うまくいく口ぐせ

タイトルは、これでもかという感じですね(笑)

内容は、「口ぐせ」の重要性です。

アファメーションですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

つい口から出てしまう言葉、つまり口ぐぜっていうのは、自分が心底信じている、『人生の大前提』だと思うといい。『オレってすげえ』なのか、『オレ、やっぱりダメなんだな』なのか。口ぐせで、そいつが何を心から信じているのか、一発でわかる。口から出ている言葉は、振動している。・・・『願いがかなうしくみ』は、簡単に言うと、自分が口から出したものが、そのまま増幅されてるだけ。『口にした願いはかなう』とき、そのしくみは、自分が発した言葉の持つエネルギーを、宇宙空間が増幅、増幅、増幅して、それが返ってきているだけ。」(34~35頁)

理屈はさておき、日頃の口ぐせを重要視することはいいことですね。

自分でできると信じられなくて、どうやって物事をやり遂げられるのでしょうか。

自分で自分のことを貶めて、何かいいことがあるのでしょうか。

誰も応援してくれても、自分で自分を励ますことを遮る理由があるでしょうか。

自分で自分にかける言葉にタブーなどないのです。

日頃の口ぐせを肯定的なものに変え、その言葉に反しない努力を続けることで道は見えてくるのだと思います。

賃金120(岩手県市町村総合事務組合事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、酒気帯び運転等を理由とする退職手当支給制限処分取消請求に関する裁判例を見てみましょう。

岩手県市町村総合事務組合事件(盛岡地裁平成28年6月10日・労判ジャーナル55号28頁)

【事案の概要】

本件は、岩手県奥州市の元職員Xが、Y社が酒気帯び運転等を理由に行った一般の退職手当等の全部を支給しない旨の退職手当支給制限処分は、裁量権の濫用により違法であるなどと主張して、本件処分の取消しを求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求認容

【判例のポイント】

1 本件非違行為(前日にグラス3杯(役450cc)の焼酎をロックで飲み、飲酒を終了してから13時間30分以上経過した時点で運転を開始した行為)は、休日に元職員が一人で自家用車を使用したものであり、職務と関連するものではなく、これによって交通事故を起こした経緯はなく、Xは、本件非違行為について、直ちに奥州市総務課長に報告し、奥州市長に顛末書や退職願を提出するなどして、一貫して謝罪と反省の態度を示しており、本件非違行為後、自宅謹慎を経て本件懲戒免職処分により退職するまでの経緯において、奥州市の指示等に従わず職場に混乱を生じさせたなどの事情は窺えず、また、Xは、奥州市の職員として、長年にわたり、市政に、その勤務期間に相応する貢献をしてきたということができること等から、本件非違行為は、元職員の過去の功績が全て否定されるほど重大なものとはいえず、退職手当の賃金の後払い的な性格や生活保障的な性格を考慮してもなお、退職手当を受ける権利の全部を否定するに値するものであったとまでは認められないから、本件処分は、違法なものとして、取消しを免れない。

非違行為の程度が重くないことは上記事情からは明らかです。

退職金の不支給もしくは大幅な減額をする場合には、顧問弁護士に判断の妥当性について意見を求めるのが賢明です。

本の紹介618 金持ちになる男、貧乏になる男(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
金持ちになる男、貧乏になる男

なんかの本で紹介されていたため読んでみました。

「金持ちになる男」と「貧乏になる男」の考え方を比較しています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

成功者は意識が伝染することを理解し、自分より成功している人と接することで刺激を受けようとする。人間はつきあっている人と似てくるから、成功者は成功者に引き寄せられるのだ。」(136頁)

結局のところ、人間はふたつの方法で知恵を得るしかない。ひとつは読書、もうひとつは自分より賢い人とのつきあいだ。」(137頁)

そのとおりです。

読書は自主トレみたいなもの。来たるべき勝負の日に備えて日頃から準備をするようなものです。

読書をしているかどうかは、会話からすぐにわかるものです。

会話の広がり、選択するボキャブラリー、適切な比喩。

自分と同じレベルの人との付き合いは、居心地はいいですが、まあ、それだけです。

成長したいなら、自分よりも成功している人と時間をともにし、居心地の悪さを経験することです。

居心地の悪さこそが、今の自分と成功者の距離を表しているのだから。

労働者性18(アド装飾事件)

おはようございます。

今日は、外注事業者の労働者性に関する裁判例を見てみましょう。

アド装飾事件(東京地裁平成28年3月31日・労判ジャーナル55号37頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の外注事業者の立場でインテリアコーディネーターとして稼働したXが、Y社に対し、①Xが労働契約上及び労働基準法が適用される労働者であり、X・Y社間の契約関係が労働契約である旨主張して、地位確認を求め、②時間外労働等をした旨主張して、賃金請求権に基づき当該賃金の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

労働者性を肯定

未払賃金等支払請求(90万3523円)を一部認容

付加金として50万円の支払いを命じた

【判例のポイント】

1 Xは、Y社から依頼される仕事を専属的に行う中で、Y社により、各営業日における勤務場所、出張先等を事前に指定され、Y社から社用のメールアドレスを付与されるなど、会社の業務の遂行上、不可欠な存在として事業組織に組み込まれ、時間的、場所的拘束がある態様を受ける中で、一般的な指揮監督を受けて業務を行っており、事実上、Y社からの仕事の依頼を拒否することができない立場にあったと認められ、さらに、Xの報酬は、事務所勤務日及び販売会勤務日を問わず、日当で支払われており、これらの事実関係を前提とすると、Xは、Y社との関係で、使用者の指揮監督下において労務の提供をする者で、労務に対する対償を支払われる者であるとの要件を充足し、労働契約法及び労働基準法が適用される労働者であったと評価するのが相当である。

2 平成24年6月17日から同年12月13日までの間のメール等の証拠がない労働日におけるXの始業時刻を午前9時30分、終業時刻を午後8時と認めるのが相当であり、平成23年5月1日から平成24年6月16日までの間のメール等の証拠がない労働日については、Xの始業時刻は午前9時30分と認定し、終業時刻は、Y社従業員の所定終業時刻である午後5時30分と認めるのが相当であり、午後8時以降に、Y社から付与されたメールアドレスを用いて、メールを送信した労働日は、当該送信時刻に10分を加えた時刻を終業時刻と認めるのが相当であり、Suicaカード利用履歴がある労働日は、外出先の最寄り駅の入場時刻から当該外出先からの所要時間を引いた時刻を終業時刻と認めるのが相当である。

労働時間に算定方法については、担当裁判官によりどこまで緩やかに解するかが異なるところですが、

今回の裁判官は、上記判例のポイント2のように緩やかに判断してくれています。

使用者側が労働時間を管理する義務を負っており、十分な管理がなされていない場合には、労働者側の立証責任を緩やかに解するという判断です。

労働者性に関する判断は本当に難しいです。業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。

本の紹介617 ナポレオン・ヒル 自己実現(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
ナポレオン・ヒル 自己実現

いくつかの重要なことが書かれていますが、その中でも、潜在意識を活用のしかたとアファメーションについての記述は非常に参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

現実の世界には限界がないと、いつも自分に言い聞かせていなければならない。限界があるとすれば、自分の心の中に自分でつくったものか、他人がつくるにまかせたものにすぎない。・・・どういった経験をしようが、それは失敗ではないのだ。自分で失敗と認めるから失敗なのである。もう一つ忘れないでいただきたいのは、それを失敗とか何とか呼べるのは当の経験者だけの権限だということだ。他人がとやかく言うのを、決して許してはならない。」(179~180頁)

このような考え方は昔から言われていることです。

今になって新しく提唱されていることではありません。

考え方を知っているかどうかではなく、実践しているかどうかの問題です。

感情が先にあるわけではなく、言葉が先にあるのです。

「もうだめだ」という言葉を口にすれば、もうだめになるのです。

「まだだめだ」という言葉を口にすれば、まだいけるのです。

日頃から意識することが大切です。

発する言葉がポジティブなものか、ネガティブなのか。

耳にする言葉がポジティブなものか、ネガティブなのか。

それがそのまま自分の考え方に影響しているのだから。

有期労働契約69(学校法人目白学園事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、有期雇用の大学教員に対する雇止めが有効と判断された裁判例を見てみましょう。

学校法人目白学園事件(東京地裁平成28年6月17日・労判ジャーナル55号14頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で期間の定めのある雇用契約を締結していたXが、Y社により期間満了後の雇用契約の締結を拒絶されたことに関して、Y社に対し、主位的に、期間満了前に期間の定めのない雇用契約が黙示的に成立しており、上記の契約締結の拒絶は不当解雇に当たると主張し、また、予備的に、期間満了後の契約締結の拒絶は許されないと主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、Y社の責に期すべき事由によりXの労務遂行が不能になったと主張して(民法536条2項)、雇用契約に基づいて、賃金等の支払を求め、さらに、違法に解雇ないし契約締結の拒絶をされたと主張して、不法行為に基づいて、慰謝料等の損害金等の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 XとY社との間の平成21年度雇用契約は3年を雇用期間とする有期雇用契約が1回更新され、雇用期間を3年とする平成24年度雇用契約が締結されたにとどまっているから、その更新が多数回にわたって反復継続されたものと評価することはできず、また、Y社においては、平成24年度雇用契約を締結するに当たり、専任教員任用申請書について理事長の承認を得、Xを候補者とするY社教員予備選考報告書及びY社教員先行依頼書を添えてY社学長に発議し、Xを候補者とするY社教員資格審査答申書を同学長に提出し、最終的にXの任用について理事長の決裁を受けており、Xとの面接も行っていることが認められるから、その更新手続が形骸化し、曖昧なものであったということはできないこと等から、Xが無期の専任教員と職務内容が同様であったことを考慮しても、平成24年度雇用契約の期間満了後の契約締結の拒絶が無期雇用契約の解雇と社会通念上同視できると認めることはできない。

2 Y社の面接官は、平成21年度雇用契約の締結に先立ち、Xに対し、雇用期間が3年である旨を複数回説明し、その後、Y社は、Xとの間で、「雇用期間 平成21年4月1日から平成24年3月31日まで」、「契約更新の有無 甲において更新の可否を検討のうえ、本契約満了時に甲乙合意があった場合は、更に3年間の更新を行う」と明記された有期雇用教職員雇用契約書を取り交わしており、また、Y社において、期間の定めのある雇用契約により採用された専任教員につき、平成17年度以降、3年の雇用契約が2回以上更新された実例が存在しないことにも照らすと、Xが平成24年度雇用契約の期間満了時において有期雇用契約の更新を期待したとしても、その期待に合理的理由があると認めることはできないこと等から、Xの請求のうち予備的主張を前提とする地位確認請求、賃金請求及び損害賠償請求も、判断するまでもなく理由がない。

形式だけでなく、実質的にもしっかりと手続きを行うことの重要さがよくわかります。

どんな場合でも形式だけ整えるのでは不十分です。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介616 大切なことは、「好き嫌い」で決めろ!(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
大切なことは、「好き嫌い」で決めろ!

久しぶりに千田さんの本です。

みんながうすうす気づいていることを書いてくれています。

気づいていても言わないのが大人のルールみたいなことを言ってくれているので気持ちがいいです(笑)

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

面接は100%が面接官たちの好き嫌いで決まるものだし、それでいいのだ。なぜなら究極の話、仕事とは好き嫌いで相手を選んで進めるものだからである。・・・本音では誰だって、いくら優秀でも嫌いな相手と仕事をしたくないし、多少ドン臭くても、好きな相手と仕事をしたいものだ。お客様は好きな人にお金を払いやすいから、好かれやすい人を採用したほうが会社も儲かる。嫌いな人をわざわざ採用する理由など、どこにもないのだ。」(67頁)

全く同感です。

面接に限らず、多くのことが実際は「好き嫌い」で決められています。

でも、面接で、採用した理由を「なんか好きだから」、不採用にした理由を「なんか好きじゃないから」なんて言えないため、後付けでもっともらしい理由を言っているだけです。

人間なんてそんなものです。

だから、「かわいげ」がない人は選ばれないのです。

誰が憎たらしい人と喜んで仕事をしたいと思うでしょうか。

これがみんなが心の底ではわかっていても大人の事情で言わない真実です。

賃金119 ストックオプションの機会喪失に基づく損害賠償請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、ストックオプションの機会喪失に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

エース損害保険事件(東京地裁平成28年6月15日・労判ジャーナル55号20頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員が、Y社との間で退職条件を協議する際、Y社の海外親会社からXに付与されていたストック・オプション等の権利行使について、Y社側から十分な説明のないまま退職するに至り、上記権利行使の機会を失ってストックオプション等の価値相当額の損害を受け、精神的苦痛も被ったとして、Y社に対し、債務不履行に基づく損害賠償金として、上記価値相当額約427万円等、並びに、不法行為に基づく慰謝料100万円等支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件ストップ・オプションのうち、X退職日までに権利確定日が到来していない分については、Xの退職により権利が失効することを原則とする定めがあるところ、Xは、退職条件を協議する際、会社担当者である部長や次長に対し、退職後も権利確定日未到来分も含めて権利行使を可能としてほしいという要望も伝えており、部長や次長は、リミテッド社と連絡を取り、その首尾を報告する旨約束していたのであるから、リミテッド社と連絡を取らず放置した部長及び次長の対応は不誠実で極めて無責任なものであるという非難を免れないが、Xは、X退職日に前後する時期において、本件ストック・オプションに係る要望につき、リミテッド社と直接連絡を取って自ら問い合わせを行うことが可能であり、そこには何ら障害がなかったものとみるのが相当であり、Y社側(部長、次長)の行為によって、Xがリミテッド社と交渉する機会・手段が封じられたと評価するのも適切ではないのであって、Xにおける損害の発生、慰謝料請求権の発生を認めるのも困難というほかならないから、部長及び次長を含め、Y社側の説明義務違反等を理由とした元従業員の損害賠償請求を認めることはできない

Xさん、かわいそうですけどね・・・。

因果関係論でいうとそういうことになりますかね。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。