賃金119 ストックオプションの機会喪失に基づく損害賠償請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、ストックオプションの機会喪失に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

エース損害保険事件(東京地裁平成28年6月15日・労判ジャーナル55号20頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員が、Y社との間で退職条件を協議する際、Y社の海外親会社からXに付与されていたストック・オプション等の権利行使について、Y社側から十分な説明のないまま退職するに至り、上記権利行使の機会を失ってストックオプション等の価値相当額の損害を受け、精神的苦痛も被ったとして、Y社に対し、債務不履行に基づく損害賠償金として、上記価値相当額約427万円等、並びに、不法行為に基づく慰謝料100万円等支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件ストップ・オプションのうち、X退職日までに権利確定日が到来していない分については、Xの退職により権利が失効することを原則とする定めがあるところ、Xは、退職条件を協議する際、会社担当者である部長や次長に対し、退職後も権利確定日未到来分も含めて権利行使を可能としてほしいという要望も伝えており、部長や次長は、リミテッド社と連絡を取り、その首尾を報告する旨約束していたのであるから、リミテッド社と連絡を取らず放置した部長及び次長の対応は不誠実で極めて無責任なものであるという非難を免れないが、Xは、X退職日に前後する時期において、本件ストック・オプションに係る要望につき、リミテッド社と直接連絡を取って自ら問い合わせを行うことが可能であり、そこには何ら障害がなかったものとみるのが相当であり、Y社側(部長、次長)の行為によって、Xがリミテッド社と交渉する機会・手段が封じられたと評価するのも適切ではないのであって、Xにおける損害の発生、慰謝料請求権の発生を認めるのも困難というほかならないから、部長及び次長を含め、Y社側の説明義務違反等を理由とした元従業員の損害賠償請求を認めることはできない

Xさん、かわいそうですけどね・・・。

因果関係論でいうとそういうことになりますかね。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。