不当労働行為211 セクハラ発言を理由とする解雇と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、葬儀場のマイクロバス運転手である組合員を、セクハラの言動を理由に解雇したことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

日本セレモニー事件(福岡県労委平成30年9月21日・労判1190号92頁)

【事案の概要】

本件は、葬儀場のマイクロバス運転手である組合員を、セクハラの言動を理由に解雇したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Xに対する解雇は、相当性に欠けるものであり、他の懲戒処分を選択することも十分考えられたにもかかわらず、Y社は、Xへの直接の事情聴取も行わず、また、他の懲戒処分を検討することもないまま短期間に重い処分である解雇を選択して本件解雇を行ったものであり、このようなY社の態度は、当初からXについては解雇しか検討していなかったのではないかと考えざるを得ない

2 ・・・さらに、Xが各団交において積極的に発言していることが認められるとともに、Y社は、XがY社のパート従業員らに対して、何か困ったことがあったら自分が強い人を紹介する、などと話していることを認識していた。

3 このような本件解雇に至る経緯、これまでの労使関係及び前記のとおり本件解雇が相当性に欠けることを併せ考慮すると、本件解雇は、Y社が、労働条件の交渉において容易に譲歩しようとしない組合を嫌悪して行ったものといえる

4 以上のように、本件解雇は、労組法7条1号に該当する。また、本件解雇によって、Y社は唯一の組合員を排除したのであるから併せて労組法7条3号にも該当する。

会社が、実際には本件解雇について不当労働行為意思がなかったとしても、上記命令のポイント記載の事情があると不当労働行為意思を認定されてしまいます。

いずれにしても解雇は慎重に行う必要があります。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。