不当労働行為281 組合加入慣行の停止と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 

今日は、組合に加入した新入社員を従業員名簿に記載して組合に交付する取扱いを停止した会社の対応を不当労働行為にあたるとした事案を見てみましょう。

くれよん事件(中労委令和3年3月3日・労判1249号95頁)

【事案の概要】

本件は、組合に加入した新入社員を従業員名簿に記載して組合に交付する取扱いを停止した会社の対応を不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【判例のポイント】

1 会社の組合拒否的な対応及び会社の組合嫌悪の強固な意思を踏まえると、会社は、組合を嫌悪する一貫した意思の下で、26年5月以降少なくとも27年3月末日までの間、組合と交渉や相談をすることなく、新入社員に対し、組合加入は任意である旨の説明をして新規組合加入者を減少させ、さらに、これに引き続き、27年4月以降、それまで続けてきた組合に加入した新入社員を従業員名簿に記載して組合に交付する取扱いを停止したのであって、同行為は組合組織の財政的・人的基盤の弱体化を招来する効果を有する行為であるといえる。
そして、上記停止行為は、それまで行ってきたユニオン・ショップの事実状態を一方的に打ち切る行為といえるものであるところ、会社が、上記停止行為にあたって、組合に相談・説明をすることは一切なかったのであるから、停止行為の合理的な理由を示して組合から合意を得るべく会社が誠実に団体交渉を尽くしたなどの事情は認められない
したがって、会社が、27年5月以降、組合に加入した新入社員を従業員名簿に記載して組合に交付する取扱いを停止したことは、労組法7条3号の支配介入にあたる。

結論としては異論がないと思います。

既得権益を奪うことはそう簡単にできません。

しっかりと手順を踏むことが重要です。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。