Monthly Archives: 7月 2022

本の紹介1295 名言力#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から10年前に紹介した本ですが、再度読み返してみました。

タイトル通り、名言がいくつも紹介されています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

敵と戦う時間は短い。自分との戦いこそが明暗を分ける。 王貞治」(44頁)

真理です。

結果・成果を目にするのはほんの一瞬です。

でも、その背後には、人の目には見えない日々の努力の積み重ねが必ずあります。

人生は、いつだって、弱い弱い自分との戦いです。

怠惰で、飽き性で、言い訳を探すのが得意な自分との戦いに勝たなければ、何も手にすることはできません。

継続雇用制度34 無期転換直後に定年を迎えた労働者への継続雇用拒否が有効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、無期転換直後に定年を迎えた労働者への継続雇用拒否が有効とされた事案を見ていきましょう。

一般財団法人NHKサービスセンター事件(横浜地裁川崎支部令和3年11月30日・労経速2477号18頁)

【事案の概要】

本件は、平成14年4月から、1年契約更新で、NHK視聴者コールセンターにおいて、視聴者対応を行うコミュニケーターとしてY社に採用され、17回にわたり契約更新を行い、平成31年には無期労働契約への転換権を行使し、これがY社において受理されたため、令和元年8月以降契約期間の定めのない労働者となったXが、60歳の定年を迎える同年末をもってY社を退職することとされ、Xの希望に反しY社に継続雇用されなかったことが、実質的には高年法に反し、労働契約法18条の趣旨に反する雇止めであるとして、Y社に対し、XがY社との間で労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、労働契約に基づく賃金(バックペイ)+遅延損害金の支払を求めるとともに、Y社がXに対し、要注意視聴者に対する刑事や民事上の法的措置をとることなどにより、要注意視聴者によるわいせつ発言や暴言等に触れさせないようにすべき安全配慮義務を怠り、これによってXが精神的苦痛を受けたとして、雇用契約に基づく付随義務としての安全配慮義務違反に基づき損害賠償(慰謝料)100万円及び弁護士費用10万円たす遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Y社に在籍する約150人のコミュニケーターには、公平・公正、自主・自律、不偏不党を旨とするNHKの方針に則り、個人的意見を述べないことなどが要請されており、また極力均一なサービスを視聴者に提供すべく、コミュニケーターは策定された視聴者対応のためのルールに従うことが強く求められている。
しかし、Xは視聴者との電話対応で度々トラブルになっており、それもY社の作成したルールを遵守せず、ひいてはそこから逸脱して、感情的にいわゆる売り言葉に買い言葉となって口論に発展した場面が少なくない。これらのXの視聴者対応は、中にはそれ1つを取り上げれば比較的些細なものとみうる余地があるとしても、それが度々繰り返された以上、Xの電話対応の問題や不適切さを示すものにほかならず、全体を総合してみればY社が策定したルール及び就業規則に反するといわざるを得ない
また、Xは、視聴者対応について平成19年以降再三にわたりY社からルール違反等を指摘され注意・指導を受けながらも、自己の対応が正当であるとの思いから、指導を受け入れて改善する意欲に乏しく、指導を受け入れずに勤務を続けていたことが認められる。

2 「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針」が定める、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由に該当し、継続雇用しないことについて、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であるというほかはない。
そして、問題となるXの電話対応の内容及びその頻度並びにこれまでのY社のXに対する多数回にわたる注意・指導の経緯及びXの改善意思の欠如等に鑑みれば、本件継続雇用拒否が重すぎて妥当性を欠くとは認められない。

上記判例のポイント1の「中にはそれ1つを取り上げれば比較的些細なものとみうる余地があるとしても、それが度々繰り返された以上、Xの電話対応の問題や不適切さを示すものにほかならず」との理解のしかたは注意が必要です。

一般的には、些細な非違行為をたくさん寄せ集めても、それをもって解雇や雇止めの合理的理由があると認定することはありません。

また、本件同様の事案の場合には、注意・指導のエビデンスをどのように残すかに留意する必要があります。

高年法関連の紛争は、今後ますます増えてくることが予想されます。日頃から顧問弁護士に相談の上、慎重に対応することをお勧めいたします。

本の紹介1294 決断する力#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から9年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

帯には「『いざ』というとき、立ち止まるな!走りながら考えろ。」と書かれています。

立ち止まっている暇など残されていません。

人生はあっという間に終わってしまいます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

週末は体力をつくる。これ、あたりまえの備え。もうひとつ週末しかできないこと、本や資料を読み込む集中力。ある意味では月~金より土日のほうが仕事密度が高いと思ったほうがよいです。仕事は、発想があるかないかですから。」(91頁)

休日の使い方で仕事における中長期的なパフォーマンスは天と地ほど変わってくると確信しています。

いわゆる「自分のための投資の時間」をどれだけ持てるかが極めて重要です。

ジムで体を鍛えるもよし、資格試験の勉強をするもよし。

しかしながら、現実は、休日とはいえ、多くの方が、様々な雑務等に追われ、自分のための投資の時間が持てないのではないでしょうか。

減価償却に負けない自己投資を継続することが、自分の価値を高める唯一の方法です。

労働時間78 ラブホテル従業員の休憩時間の労働時間該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、ラブホテル従業員の休憩時間の労働時間該当性に関する裁判例を見ていきましょう。

ホテルステーショングループ事件(東京地裁令和3年11月29日・労経速2476号29頁)

【事案の概要】

Xは、平成26年4月、Y社(都内で16店舗のラブホテルを経営)との間で労働契約を締結し、以降Y社の経営する複数の店舗において、客室清掃などを担当する「ルーム係」として勤務していた。
Xは、平成30年8月から令和2年8月頃までは、Y社の店舗の一つであるA(11部屋の客室を有する)で勤務し、通常は出勤してタイムカードを打刻した後、所定始業時刻以前の労働時間については賃金が支払われていなかった。

Xは、令和2年12月にY社を退職したが、令和3年2月に、未払賃金及び休業手当の支払を求めて本件訴訟を提起した。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、合計148万5130円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 Xは、タイムカードを打刻してから所定始業時刻の午前10時までの間、リネン類の準備作業などを行っており、Xのこれらの作業の性質はY社の業務遂行そのものである。このことに加え、その作業がY社が労務管理のために導入したタイムカードの打刻後に行われていたこと、Y社の管理が及ぶ店舗内で行われていたものであること、ほぼ全ての出勤日で同じように行われ続けていたことなどからすると、Y社はこのような常態的な所定始業時刻前の作業の実態を当然に把握していたというべきところ、これを黙認し、業務遂行として利用していたともいえるから、上記作業はY社の包括的で黙示的な指示によって行われていたものと評価すべきである。

2 Xにおいては、ルーム係として客室清掃等の業務を行うことが労働契約上定められた業務であるところ、その業務を行う態様としては、Y社からの包括的な指揮命令に基づいて、フロント係からの連絡が客室の煙草処理や忘れ物の確認を行ったり、客室の空き状況や当日の混雑状況などを踏まえて必要があると自身らが判断すれば、客室清掃を行うといった状況であった。
そうすると、Xは、所定就業時間内においては、実作業に従事していない時間であっても、状況に応じてこれらの業務に取り掛からなければならない可能性がある状態に置かれていたというべきであり、その結果、原則的にルーム係控室に常に在室することを余儀なくされていたものと認められる。
そうすると、労働契約上の形式的な45分間の休憩時間や実際に昼食をとっていた時間を含めて、所定就業時間内は、Xには労働契約上の役務の提供が義務付けられていたというべきであり、労働からの解放が保障されていたとはいえない
したがって、所定就業時間内は、全て労基法上の労働時間に当たるものと認められる。

上記判例のポイント2については、仕事の性質上、仮に実作業に従事していない時間があったとしても、1人体制では、労働からの解放は否定されてしまうのはやむを得ないところです。

日頃から顧問弁護士に相談の上、労働時間の考え方について正しく理解することが肝要です。

本の紹介1293 解決する力#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から9年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

タイトルにある「解決する力」というのは、生きていく上で本当に大切です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

よく『準備が足りません』と言い訳する人がいますが、準備が足りないのはあたりまえ。準備があり余っている人などいません。準備不足のギリギリの状態のなかで、どうやって事態を切り抜けるかを考えることが大事だと思います。」(209頁)

すべてのことを完璧に準備するなんて、そもそも時間がいくらあっても足りません。

マルチタスクが当たり前の時代に、そんな悠長なことをやっていたら、準備しているうちに状況が変わってしまいます。

のんびり屋さんには大変な時代かもしれませんが、複数の結果を同時に出している人たちの共通点は「動きながら準備する」です。

準備はほどほどに、とにかく動き出すことが大切なのです。

動きながら修正を繰り返す。

これが何事にもスピードが求められる時代のやり方です。

解雇369 事業縮小に伴う解雇が手続きに妥当性を欠くため無効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、事業縮小に伴う解雇が手続きに妥当性を欠くため無効とされた事案を見ていきましょう。

アンドモア事件(東京地裁令和3年12月21日・労経速2476号36頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で期間の定めのない労働契約を締結していたXが、令和2年7月20日付けでされた解雇は解雇権を濫用したものとして無効であるとして、Y社に対し、労働契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、令和2年5月分から同年8月分までの未払賃金合計101万8162円+遅延損害金の支払等を求め、さらに、本件解雇は違法であり不法行為に当たると主張して、不法行為に基づき慰謝料100万円及び弁護士費用相当額10万円の合計110万円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効

【判例のポイント】

1 本件解雇当時、Y社には相当高度の人員削減の必要性があったと認められ、当時の状況に照らすと、解雇回避のために現実的にとることが期待される措置は限定されていたことがうかがえ、被解雇者の選定も不合理であったとは認められない。
しかしながら、Y社は、休業を命じていたXに対し、一方的に本件解雇予告通知書を送り付けただけであって、整理解雇の必要性やその時期・規模・方法等について全く説明をしておらず、その努力をした形跡もうかがわれない
上記のとおり相当高度な人員削減の必要性があり、かつ、そのような経営危機とも称すべき事態が、主として新型コロナウイルス感染症の流行という労働者側だけでなく使用者側にとっても帰責性のない出来事に起因していることを考慮しても、本件解雇に当たって、本件解雇予告通知書を送付する直前にその予告の電話を入れただけで、それ以外に何らの説明も協議もしなかったのは、手続として著しく妥当性を欠いていたといわざるを得ず、信義に従い誠実に解雇権を行使したとはいえない
したがって、本件解雇は、社会通念上相当であるとは認められず、解雇権を濫用したものとして、無効である。

整理解雇の必要性等を説明したところで、状況的に大きく変わるわけではないとしても、プロセスを軽視すると、このような結論になってしまいます。

整理解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

本の紹介1292 若者よ、天下を取れ。#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度読み返してみました。

タイトルがすでにいいですね。

このご時世、天下を取るなんて豪語している若者、ほとんど見かけないですけどね(笑)

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

いくつもりだった。見るつもりだった。聞くつもりだった。会うつもりだった。『つもり人間』で大成した人間はいない。」(104頁)

そりゃそうだ、という話です。

どれだけ「つもり」が積もり積もっても、結果、行動しなければ状況は一つも変わりません。

やるつもり。

やってもすぐにやめてしまう。

それでは、結果が出るわけがない。

仕事も勉強も運動も、例外なく、やり続けることでしか結果は出ません。

不当労働行為289 団交拒否にかかる審査申立てと「一連の継続する行為」の意義(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、団交拒否にかかる審査申立てと「一連の継続する行為」の意義に関する事案を見ていきましょう。

一般社団法人日本港運協会事件(東京都労委令和3年7月20日・労判1260号93頁)

【事案の概要】

本件は、団交拒否にかかる審査申立てに関連して「一連の継続する行為」の意義が争点となった事案を見ていきましょう。

【労働委員会の判断】

本件申立ての1年以上前の団交にかかる申立ては却下

【命令のポイント】

1 組合は、平成30年2月7日付団体交渉申入れに対し、法人が同月19日に会員に文書を交付したことは本件申立てよりも1年以上前であるが、申立て前1年以内の団体交渉と一連の継続する行為に当たることから、本件審査の対象となると主張する。
しかし、団体交渉の申入れや団体交渉は、その都度別個の行為であり、同様の行為が続いているからといって、全体を1つの継続する行為とみることはできない
したがって、組合の主張は採用することができず、本件申立てより1年以降前の平成31年2月9日以前の団体交渉に係る申立ては、却下せざるを得ない。

不当労働行為の救済申立ては、不当労働行為と思われる行為がなされてから1年以内に行う必要があります。

同様の行為が繰り返し行われている場合は、「一連の行為」が最後に行われた時点を基準にして、1年以内かどうかを判断します。

「一連の行為」の判断は、解釈に委ねられますので、予測可能性が高くありませんので注意が必要です。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介1291 負けない力#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

帯には「あなたはいつも勝とうとして間違えてばかりいる」と書かれています。

ホームランを打とうと空振りを連発するのではなく、小さなヒットを繰り返すことがとても大切です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『たった一つの価値観に従わないと負けで、”みんな”という共同幻想から落っこちて孤独になってしまう』という恐怖感が『みんな』というものを作り、それを強固なものにして行くのです。」(238頁)

マスク着用が良い例です。

理にかなっているか否かはひとまず措いて、みんなと同じであることを善とする方がいかに多いことか。

多くの場合、この国では、正しいかどうかはほとんど関係がありません。

いかに空気を読み、和を乱さないかが美徳とされています。

学校教育がちゃんと浸透している証左です(皮肉)。

いつまでたっても論理的思考が育たないわけです。

守秘義務・内部告発11 代表者らの背任行為の通報等を理由とする懲戒解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、代表者らの背任行為の通報等を理由とする懲戒解雇の有効性について見ていきましょう。

神社本庁事件(東京地裁令和3年3月18日・労判1260号50頁)

【事案の概要】

本件は、雇用主であるY社から平成29年8月25日付けで懲戒解雇されたXが、懲戒解雇が無効であると主張して、①Y社に対する雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、②Y社に対し、雇用契約に基づく賃金として、平成29年9月から本判決確定の日まで毎月21日限り63万5789円+遅延損害金の支払等を求めた事案である。

【裁判所の判断】

懲戒解雇無効

【判例のポイント】

1 解雇理由1にかかる行為は、庁内の秩序を保持する義務に反したものとして就業規則67条1号および3号、就業規則67条2号「社会的規範にもとる行為のあったとき」、5号の「本庁の信用を傷つけ」る行為のあったときに、それぞれ外形的に該当する行為であるといえ、Xは、Y社の神職であるから、神職懲戒規程の適用があると解されるところ、神職懲戒規程細則3条2号ハおよびニにも該当するから、この点でも就業規則67条1号の懲戒事由に外形的に該当する。

2 解雇理由1にかかる行為は、労働者が、その労務提供先である使用者の代表者、使用者の幹部職員および使用者の関係団体の代表者の共謀による背任行為という刑法に該当する犯罪行為の事実、つまり公益通報者保護法2条3項1号別表1号に該当する通報対象事実を、Y社の理事および関係者らに対し伝達する行為であるから、その懲戒事由該当性および違法性の存否、程度を判断するに際しては、公益通報者保護法による公益通報者の保護規定の適用およびその趣旨を考慮する必要がある

3 公益通報者保護法の規定の内容、および公益通報者を保護して公益通報の機会を保障することが国民生活の安定および社会経済の健全な発展に資するとの当該規定の趣旨に鑑みると、労働者が、労務提供先である使用者の役員、従業員等による法令違反行為の通報を行った場合、通報内容の真実性を証明して初めて懲戒から免責されるとすることは相当とはいえず、①通報内容が真実であるか、または真実と信じるに足りる相当な理由があり、②通報目的が、不正な利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、③通報の手段方法が相当である場合には、当該行為がY社の信用を毀損し、組織の秩序を乱すものであったとしても、懲戒事由に該当せず、または該当しても違法性が阻却されることとなり、また、①~③のすべてを満たさず懲戒事由に該当する場合であっても、①~③の成否を検討する際に考慮した事情に照らして、選択された懲戒処分が重すぎるというときは、労働契約法15条にいう客観的合理的な理由がなく、社会通念上相当性を欠くため、懲戒処分は無効となると解すべきである。

4 丙総長及びI会長が、本件売買について背任行為を行った事実、およびL課長がこれに加担した事実については、①真実であるとは認められないものの、本件文書を理事2名に交付した当時、Xが、これを真実と信じるに足りる相当の理由があったといえ、②不正の目的であったとはいえず、③手段は相当であったから、公益通報者を保護し、公益通報の機会を保障することが、国民生活の安定などに資するとの公益通報者保護法の趣旨などに照らし、本件文書の交付をもってこれらの事実を摘示した行為は、違法性が阻却されて懲戒すべき事由といえないというべきである。

公益通報・内部通報関連の懲戒事案の対応は、上記判例のポイント3を参考にして慎重に対応することが求められます。

感情的になって、詳細な調査等をせずに懲戒解雇することは避けなければいけません。

解雇を行う場合には、必ず顧問弁護士に相談をしつつ、慎重に対応していきましょう。