Monthly Archives: 3月 2023

本の紹介1374 コンサルタントの習慣術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から15年前に出版された本ですが、再度読み返してみました。

何事も習慣こそが命であることを再認識することができます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

二宮尊徳が残した名言のなかで、もっとも私が好きな言葉は、『積小為大』である。『大事を為さんと欲せば、小成ることを怠らず勤しむべし。小積もりて大となればなり』。」(27頁)

多くの偉人が、表現は違えど、日々努力をすること、それを継続すること、習慣の大切さを説いています。

無駄なことに溢れかえっているこの世の中ですから、なんやかんや雑務に追われて気がつけば1日が終わっているという繰り返しではないでしょうか。

これでは、自己投資の時間を確保することは到底できません。

いかにして「自分のための時間」を確保するかが、実のところ、極めて重要な課題なのかもしれません。

忙しい、忙しいと言っているうちに人生は終わってしまいますので。

派遣労働32 派遣先会社での雇用禁止合意と派遣法33条違反の成否(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、派遣先会社での雇用禁止合意と派遣法33条違反の成否について見ていきましょう。

バイオスほか(サハラシステムズ)事件(東京地裁平成28年5月31日・労判1275号127頁)

【事案の概要】

本件は、次の各請求が併合された事案である。
(1)Y1に対する請求
Y1と結んだ雇用契約に基づきY1を派遣労働者として派遣先の業務に従事させたXが、Xを退職した被告Y1がXとY1との間で結んだ派遣先での就業禁止の合意に反して当該派遣先で就業したことを理由に、Y1に対し、債務不履行に基づく損害賠償請求権に基づき、Y1が当該派遣先で就業したためXが逸失した利益相当損害金211万5000円+遅延損害金の支払を求めるもの
(2)Y2に対する請求
Y2と結んだ雇用契約に基づきY2を派遣労働者として派遣先の業務に従事させたXが、Xを退職したY2がXとY2との間で結んだ派遣先での就業禁止の合意に反して当該派遣先で就業したことを理由に、Y2に対し、債務不履行に基づく損害賠償請求権に基づき、Y2が当該派遣先で就業したためXが逸失した利益相当損害金188万4696円+遅延損害金の支払を求めるもの
(3)Y3に対する請求
Y3と結んだ雇用契約に基づきY3を派遣労働者として派遣先の業務に従事させたXが、Xを退職したY3がXとY3との間で結んだ競業避止義務の合意に反して競業したことを理由に、Y3に対し、債務不履行に基づく損害賠償請求権に基づき、Y3が競業したためXが逸失した利益相当損害金271万2877円+遅延損害金の支払を求めるもの
(4)Y4に対する請求
Xが、①Y4がXとY4との間で締結した平成24年1月31日付け労働者派遣取引基本契約における雇用の禁止の合意に反して、Y1、Y2及びY3を雇用したことを理由とする債務不履行に基づく損害賠償請求権、②Y4がXよりもよい条件でY1らを直ちに雇用すること、就業場所は従前と同じ事業所であること、業務も同様であること等の条件を提示して、Xから退職するようにY1らを勧誘した結果、Y1らがXを退職し、その直後にY4に雇用されたことをもって、Xと本件基本契約等を結んだY社4が信義則上負うべきXの財産権を侵害してはならないという保護義務の違反行為に当たることを理由とする債務不履行に基づく損害賠償請求権、又は③就業禁止条項による義務又は競業避止義務を負うY1らに対し、Y4が、Xを退職し、Y4と雇用契約を結ぶように誘致するといった不当な働き掛けをしたため、Y1らがXを退職し、その結果、XがY1らに対して有する債権が侵害されたという不法行為に基づく損害賠償請求権に基づき、Y4に対し、Y1らがXを退職しY4に雇用された上で従来の事業所において就業を継続していることによるXの逸失利益5年分に相当する3356万2865円+遅延損害金の支払を求めるもの

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 労働者派遣法は、労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を構ずるとともに、派遣労働者の保護等を図り、もって派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資することを目的とする(1条参照)。
そして、労働者派遣法33条1項は「派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者との間で、正当な理由がなく、その者に係る派遣先である者に当該派遣元事業主との雇用関係の終了後雇用されることを禁ずる旨の契約を締結してはならない。」と、同条2項は「派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者に係る派遣先である者との間で、正当な理由がなく、その者が当該派遣労働者を当該派遣元事業主との雇用関係の終了後雇用することを禁ずる旨の契約を締結してはならない。」とそれぞれ規定するところ、これらの規定の趣旨は、派遣元事業主と派遣労働者との間又は派遣元事業主と派遣先との間で、派遣元事業主との雇用関係の終了後に派遣労働者が派遣先であった者に雇用されることを制限する趣旨の契約を締結することが無制限に認められることになると、派遣労働者の就業の機会が制限され、憲法22条により保障される派遣労働者の職業選択の自由が実質的に制限される結果となって、労働者派遣法の立法目的にそぐわなくなることから、派遣元事業主と派遣労働者の間又は派遣元事業主と派遣先との間において、そのような契約を締結することを禁止し、もって派遣労働者の職業選択の自由を特に雇用制限の禁止という面から実質的に保障しようとするものであって、労働者派遣法33条に違反して締結された契約条項は、私法上の効力が否定され、無効であると解される。

2 もっとも、その一方で、派遣先であった者が派遣労働者であった者を無限定に雇用できることとすると、派遣元事業主が独自に有し、他の事業主は有しない特殊な知識、技術又は経験であって、派遣労働者が派遣就業をする上で必要であるため当該派遣元事業主が特別に当該派遣労働者に習得させたものがある場合にも、雇用契約終了後は当該派遣労働者が派遣先と雇用契約を結んでそうした特殊で普遍的でない知識等を勝手に利用することが可能となる結果、特殊で普遍的ではない知識等を有することによる当該派遣元事業主の利益が侵害される事態が発生しかねない
そこで、労働者派遣法33条は、そうした知識等を有することによる当該派遣元事業主の利益を保護するといった正当な理由がある場合に限り、上記の雇用制限の禁止を解除することとしたものと解される。
以上によれば、上記の雇用制限をすることは原則として禁止され、これに反して結ばれた雇用制限条項は無効であるが、当該雇用制限条項を設けることに正当な理由があることの主張立証があった場合に限り、例外的にその禁止が解除されて当該雇用制限条項の効力が認められることになると解される。

派遣法33条の解釈が展開されています。

あまり論点として登場する機会は多くないので、この事案を通じて押さえておきましょう。

日頃から労務管理については、顧問弁護士に相談しながら行うことが大切です。

本の紹介1373 資産15億円男が調べまくった成功者たちの(秘)習慣#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

著者は、大阪のタレントの方です。

本の内容としては、偉人や成功者の言葉を紹介し、著者自身の解釈が書かれているものです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

1日の98%は今日、明日のために使う。あとの2%は10年、20年先のために使う-糸川英夫」(150頁)

個人的には、将来のための種蒔き、水やりの時間は2%では足りないと思います。

感覚的には、私自身は20%くらいの時間を割いていると思います。

毎日決まって早朝の数時間は種蒔き、水やりのための勉強時間としています。

もうここ10年以上ずっとです。

時間がないのではなく、やる気がないのです。

毎朝4時に起きれば、大抵のことはできます。

不当労働行為299 会社による退職勧奨の態様は極めて問題であるにもかかわらず不当労働行為にあたらないとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間がんばりましょう。

今日は、会社による退職勧奨の態様は極めて問題であるにもかかわらず不当労働行為にあたらないとされた事案を見ていきましょう。

テイケイ事件(東京都労委令和4年6月21日・労判1275号139頁)

【事案の概要】

本件は、会社による①退職勧奨、②団交拒否、③組合非難・抗議の文書送付が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

①:不当労働行為にあたらない。

②:不当労働行為にあたる。

③:不当労働行為にあたる。

【命令のポイント】

1 Y社が令和元年5月9日、組合員Cに対して退職勧奨を行った事実が認められ、退職勧奨の態様は、極めて問題であるといわざるを得ないが、かかる退職勧奨は、同人が組合員であることを理由として行われたものであるとまでは認められないことから、組合員であるが故の不利益取扱いには当たらず、また、組合の運営に対する支配介入にも当たらない

2 Y社は、7名の組合員の自宅へ、郵送または持参投函により合計22通の文書を送付しているところ、いずれの文書にも、「お前らの出る幕は無い!」等の組合の組織、運営事項を嫌悪、誹謗中傷するものと認められる記載、「このゴミ野郎!」等の組合員個人を誹謗中傷するものと認められる記載、「プレカリに非難される謂れは何一つ無い!組合に利用されているのだ!」等の組合員に対して組合からの脱退を強く促すものと認められる記載、組合員個人に対する民事・刑事を問わず法的措置を講ずる旨の記載、組合員個人宅を訪問することを示唆する記載が認められる
また、住所を公開していない組合員の自宅に文書を郵送、持参投函する行為は、組合員をして組合活動を継続することへの極度の不安を抱かせるものであり、かかる文書の送付行為は、「組合事務所宛ての送付文書に比して、より一層組合員の間に精神的動揺を引き起こし、組合の組織や運営に影響を及ぼす危険があるものと認められ、いずれも支配介入に当たる。

上記命令のポイント2が不当労働行為にあたるのは明らかですが、ポイント1は、組合員であるが故の不利益取扱いと認定されなかったため、不当労働行為性が否定されました。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介1372 壁をブチ破る最強の言葉(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

「雀鬼」桜井章一さんの本です。

小手先ではなく本物の強さを手に入れるために必要なことが書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『やり方』はよかったけど『結果』が思ったようにならなかった場合、その過程の体験は財産となって次につながります。反対に『結果』はよかったけど『やり方』が正しくないとき、それはマイナスの目に見えない重石となって次第に悪い結果を生むようになっていくものなのです。つまり、長い目で見てよい結果を出そうと思えば、やはり過程がとても大事なのです。」(79頁)

結果は大事です。

でも、過程の方がもっと大事です。

仕事も運動も勉強も、1度きりの勝負ではありません。

次につながるやり方を身に付けなければ、いつも調子の良し悪しに左右され、場当たり的な対応を続けなければいけません。

また、ずるいやり方をして結果を出したという「成功体験」をしてしまうと、もう真っ当なやり方ができなくなってしまうのです。

これでは、長期的に結果を出し続けることはできません。

「やり方」はその人の癖ですから、可塑性が失われた後に変更するのは至難の業です。

やはりすべて「最初が肝心」だということです。

賃金244 賃金減額の合意が無効とされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 

今日は、賃金減額の合意が無効とされた事案を見ていきましょう。

栄大號事件(大阪地裁令和4年6月27日・労判ジャーナル129号42頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、令和2年12月31日付けで解雇されたが、同解雇は無効であるとして、雇用契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、令和3年1月分から同年3月分の未払賃金の支払、賃金減額は無効であるとして、雇用契約に基づき、平成31年2月分から令和2年12月分の未払賃金の支払等を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇有効

未払賃金等支払請求認容

【判例のポイント】

1 本件減額についての合意は黙示の合意であるというのであって、Xが本件減額を受け入れることを明らかにした行為は存在せず、また、本件減額の前で金額が判明している平成23年のXの年収が431万円であったのに対し、本件減額後の平成27年から令和2年の収入は148万2000円から196万2000円となっており、従前の約34から45%まで減額になっていることに照らせば、その不利益の程度は大きいものといわざるを得ず、さらに、Y社が、本件減額に先立ち、Xを含む従業員に対し、事前に経営状況を明らかにする資料を示すなどして説明会を開催したというような事情はうかがわせる事情もないから、本件減額に係る黙示の合意が成立したと認めることはできず、その点をさておくとしても、本件減額に合意することについて、自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するということもできない。

賃金減額事案については、書面による合意があったとしても、自由な意思に基づかないという理由から無効とされる例が多いわけですから、いわんや黙示の合意に基づき有効と判断してもらうのは至難の業です。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介1371 お金持ちが肝に銘じているちょっとした習慣#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から5年前に紹介した本ですが、再度読み返してみました。

人間は習慣の動物ですから、日々、どのような習慣に支配されているかによって、ほぼ人生は決まります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人を羨ましいと思う気持ちは、自分の現状を受け入れていない、つまり自分を否定する気持ちに端を発していることが多い。否定からは何も生まれない。これはお金に関しても同じだ。お金を否定していると、お金はしだいに遠ざかってしまうといわれていることをご存じだろうか。」(79頁)

これはお金に限った話ではなく、あらゆることにあてはまる内容です。

あらゆることに批判的・否定的な人は、そのような思考の癖がついてしまっているので、いかなる状況・環境におかれても、ダメなところ探しをしてしまうのです。

人間関係、会社、仕事、社会、政治、経済、制度・・・何から何まで不満ばかり。

これでは幸せはどんどん遠のいてしまいます。

すべては自分の解釈・選択によって感情が形成されていることに気付けるか否か、ただそれだけの話。

労働災害114 安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見ていきましょう。

第一興商事件(東京高裁令和4年6月29日・労判ジャーナル129号40頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の経営する本件店舗において、調理担当として勤務していたXが、本件店舗が入居する本件ビルに設置された、雨に濡れた屋外階段を使用して、3階店舗から本件店舗に移動しようとした際、転倒して負傷したところ、Xが、使用者であるY社は、本件階段の床面に滑り止めを施工したり、注意を促す表示をしたり、雨でも滑らない履物を用意したりするなど、本件階段が雨で濡れた際も、従業員が同階段を安全に使用することができるように配慮すべき義務があったのに、これを怠り、上記のような措置を何ら取らなかったため、Xをして、本件階段で足を滑らせて転倒させ、その右手、腰部等を負傷するに至らせた旨を主張して、上記安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償請求として、Y社に対し、傷害慰謝料等合計約1370万円等の支払を求めた事案である。

原判決は、本件事故の直接の原因は、X自身が、本件階段を降りるに当たって、本件階段の状態をよく認識せず、自らの足元を十分に注意して見て足を運ばなかったことにあり、Y社において、Xに対する安全配慮義務違反があったということはできないとして、Xの請求を棄却する旨の判決をしたため、Xが、原審の上記判断を不服として、控訴を提起した。

【裁判所の判断】

原判決変更(一部認容)

【判例のポイント】

1 Y社は、雨で濡れた階段を裏面が摩耗したサンダルで降りる場合には、滑って転倒しやすいことは容易に認識し得ることである上、本件事故が発生する以前に、本件店舗の現場責任者(F店長)も、調理担当従業員であるCが本件階段で転倒した直後に現場を見て、同人が転倒した事実を把握していたということであるから、Y社は、本件事故時において、上記のような危険が現実化することを回避すべく、調理担当従業員に対して本件階段の使用について注意を促したり、本件階段に滑り止めの加工をしたりするなどの措置を講じ、Xを含む調理担当従業員が、本件階段を安全に使用することができるよう配慮すべき義務を負っていたものと解するのが相当であるところ、Y社において、本件事故時、上記の義務を履行するために、何らかの安全対策を採っていたことを認めるに足りる証拠はないから、Y社は、Xに対する安全配慮義務に違反したものといわざるを得ない

2 本件階段は、本件事故当時、照明が点灯し、雨が降った後であることが分かる状況であったと認められるところ、Xは、本件階段が濡れていることに特段の注意をせずに階段を降り始めて、2、3段目のところで足を滑らせて転倒し、同転倒後、Xが来ていた白衣が濡れていたことから、本件階段が雨で濡れていたことに初めて気づいたものであることが認められ、また、本件事故当時、Xが、Y社の業務の必要上、急いで本件階段を降りなければならなかったような事情をうかがわせる証拠はないし、大量の食材等を抱えていたという事情も認められないから、Y社による安全配慮義務違反が認められるとしても、Xにおいて、本件階段が雨に濡れた状態であることに注意を払わず、漫然と本件階段を降りたことが、本件事故の発生に相当程度寄与したものであるとの評価を免れず、その態様を含め、本件に顕れた諸般の事情に照らすと、本件事故の発生に係るXの過失割合は、4割とみるのが相当である。

一審は会社の責任を否定しましたが、控訴審では、会社の安全配慮義務違反を認定しました。

同種事案を見ても、一旦、会社の責任を認めつつ、過失相殺をするという判断が多いような気がします。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介1370 今日すべきことを精一杯!(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

故日野原先生の本です。

帯には「いつか死ぬということを忘れず、今日を徹底的に生きることです。」と書かれています。

人生はあっという間に終わります。

怠惰な生活を送っている暇などありません。

ジカンガモッタイナイ

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

歳下の人にも謙虚に学びなさい。いくつになっても『アイ・ドント・ノウ』と言える心を。」(52頁)

知ったかぶりは百害あって一利なし。

少し話が逸れますが、私は質問をする際に気を付けていることがあります。

「●●ですよね?」という付加疑問文にしないということです。

このような質問のしかたをする方をよく見かけますが、私は2つの理由で避けています。

1つ目は、付加疑問文は、質問者が「はい」という答えを求めていることが回答者に伝わるため、本当は「いいえ」なのに、そのように回答しづらい雰囲気から、忖度された挙句、正しい回答が得られないおそれがあるからです。

2つ目は、単純に知ったかぶってもろくなことはないという理由です。

「あ、この人、ろくに知りもしないのに聞きかじった知識で知ったかぶる人なんだ」という印象を与えてしまいます。

質問の仕方、内容は、その人の知性を如実に表しますので、気を付けましょう。

解雇382 勤務態度不良等を理由とする解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、勤務態度不良等を理由とする解雇の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

カワサキテクノリサーチ事件(大阪地裁令和4年7月22日・労判ジャーナル129号30頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に正社員として雇用された中国人男性であるXが、Y社に対し、Y社がした解雇は無効であると主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに本件解雇後の未払賃金等の支払を求めるとともに、Y社はXの賃金をXの自由な意思による合意なしに一方的に引き下げ、かつ、本件解雇の適否を判断するために自宅待機を命じたにもかかわらず、その間の賃金の支払を怠ったと主張して、未払賃金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇有効
未払賃金請求一部認容

【判例のポイント】

1 Xが多数回にわたって遅刻及び欠勤を繰り返していたことにより、Y社の通常の事業活動が阻害されていたことは明らかであり、これに関してXに酌むべき事情があったとはいえないところ、それにもかかわらず、Xは、遅刻及び欠勤につき、自らの態度を改める意思がないことを明らかにしており、Y社において、Xには遅刻及び欠勤を繰り返す傾向を改善する意思がないものと判断するに至ってもやむを得ないというべきであり、また、Y社在籍中におけるXの勤務態度及び協調性には著しい問題があったものといわざるを得ないこと等から、Xには、就業規則所定の解雇事由があったものと認められ、本件解雇が客観的に合理的な理由を欠くものといえず、そして、Xは、本件懲戒処分を受けて作成した本件始末書においても、「反省することはない」などと記載して、勤務態度を改善することそのものを拒否し、Xの対応からすれば、Y社において、Xに対してこれ以上の注意指導を重ねても、Xの勤務態度等が改善する見込みはなく、解雇を選択する他ないと判断するに至ったとしてもやむを得ないこと等から、本件解雇に係るY社の判断は、社会通念上相当性を欠くものであったとはいえない。

珍しいケースですが、上記のような事情があれば、裁判所としても解雇を有効と判断するでしょう。

いずれにせよ、簡単には解雇できませんのでご注意ください。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。