解雇400 整理解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、整理解雇の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

HES事件(東京地裁令和4年12月7日・労判ジャーナル135号60頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で期間の定めのない労働契約を締結し稼働していたXが、Y社に対し、Y社による整理解雇は無効であるとして、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、労働契約に基づき、未払賃金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 パチンコ業界全体の構造的な不況の中、Y社は主要な取引先から取引を解消されたり、大幅に縮小されたりして売上高が減少し、経常損失の計上が続き、繰越損失金額も増加していったのであるから、Y社における人員削減の必要性は高いと認められ、次に、Y社は、Y社が所有していた車両を売却して旅費交通費や地代家賃の経費としての支出を減少させたほか、Y社代表者の役員報酬をXの基本給の額を大幅に下回る月額10万円にまで引き下げた上、従業員に対する昇給停止賞与の不支給の措置をとり、経費の削減を行っているのであるから、解雇回避のための努力義務を尽くしたと認められ、また、Y社は、Y社代表者とその妻を除いたY社の役員及び従業員に対して退職勧奨をし、これに応じなかったXだけを整理解雇したのであるから、人選に合理性があると認められ、さらに、Y社は、本件解雇に及ぶまでの間、Xに対して労働条件の変更を求めたり、Xが転職できるように取引先に働きかけたりしており、いきなりXが職を失うことのないように配慮していただけでなく、Y社の経営が困難である旨説明し、X以外の退職者には退職金を支払っていなかったのに、当時のY社における現金預貯金の残高を踏まえて、支払可能な特別退職金として30万円の支払を提示して退職勧奨した上で、本件解雇に及んでいるのであるから、手続も相当と認められ、本件解雇は客観的に合理的な理由があり、社会通念上も相当と認められるから、有効である。

整理解雇を有効に行う場合のステップがよくわかると思います。

上記のような段階を踏んで最終的に整理解雇をすることがとても大切です。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。