不当労働行為308 組合員に対する業務委託契約の解除通知を協議事項とする団体交渉に応じなかったことの不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、組合員に対する業務委託契約の解除通知を協議事項とする団体交渉に応じなかったことの不当労働行為該当性について見ていきましょう。

セントラルメディエンス事件(大阪府労委令和5年1月13日・労判1291号98頁)

【事案の概要】

本件は、組合員に対する業務委託契約の解除通知を協議事項とする団体交渉に応じなかったことの不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社は、Aが労働組合法上の労働者に当たるか否かについては主張も立証もしていないが、労働基準法上の労働者に当たらない旨主張するので、念のため、AがY社との関係で労働組合法上の労働者に当たるかについて、労働組合法上の労働者性の基本的判断要素である①事業組織への組入れ、②契約内容の一方的・定型的決定、③報酬の労務対価性に即して検討する。
・・・以上のことを考え合わせると、Aは、労働組合法上の労働者に当たるとみるのが相当である。

2 一般に、団交において労使が協議を尽くした結果、議論が平行線をたどり、交渉が決裂して、再度交渉したとしても進展が見込めない状態に至った場合には、使用者が団交申入れを拒否しても、正当な理由のない団交拒否には当たらない。
この点、8.25団交におけるやり取りについては、本件団交申入れの協議事項について、議論の余地がなくなっていたと認めるに足りる事実の疎明はない。むしろ、その後も団交申入れの協議事項に関連するやり取りがなされていたことからすれば8.25団交が終了した時点において、本件団交申入れの協議事項について、交渉が決裂して、再度交渉したとしても進展が見込めない状態に至っていたとはいえない。

労基法上の労働者性と労組法上の労働者性の判断は微妙に異なりますので注意しましょう。

また、使用者側から上記命令のポイント2のような理由で団交を拒否する場合には、慎重に判断をする必要があります。多くの事案で不当労働行為と認定されています。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。