解雇437 就業時間中、会社の制服を着用した状態で、外部から見える駐車場内において、社用車に接近した状態で放尿した運転手に対する解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、会社の制服を着用した状態で、外部から見える駐車場内において、社用車に接近した状態で放尿した運転手に対する解雇の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

A東京事件(東京地裁令和6年10月4日・労経速2578号19頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と雇用契約を締結したXが、Y社に対して、Y社のXに対する解雇が無効であると主張して、次の各請求をする事案である。
(1) 雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認
(2) 雇用契約に基づき、賃金286万3450円(令和4年11月分から令和5年3月分までの賃金)+遅延損害金の支払
(3) 雇用契約に基づき、令和4年12月から本判決確定の日まで、毎年6月30日及び12月31日限り、賞与16万円+遅延損害金の支払

【裁判所の判断】

1 解雇無効
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【判例のポイント】

1 〈1〉Xは、Y社から運転マナーを身に付けるよう指導を受けていたにもかかわらず、令和4年8月2日、就業時間中、やむを得ない事情もないのに、Y社の会社ロゴが記載された被告所有の本件車両に接近した状態で本件車両に尿が掛かる可能性が高いことを認識しながら本件行為を行った(本件行為は、軽犯罪法1条26号に該当する。)。その際、本件行為を目撃した第三者からAに連絡された。
〈2〉その後、Xは、Y社に対し、本件店舗のトイレがコロナ(新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため)で使用できなかったと説明したが、かかる説明は事実に反しており、このことをXも認識していた。
〈3〉Xは、Y社からの事情聴取等に当初は応じていたものの、同年8月26日及び同年9月9日の面談を欠席し、少なくとも同年9月9日の面談の欠席に合理的な理由は認められない。
〈4〉Xは、Y社において、1か月に1回以上洗車する旨の清掃ルールが定められていたにもかかわらず、同年4月から同年8月2日までの間、本件車両の定期的な洗車を行わず、また、本件車両内の清掃を少なくとも十分に行わず業務書類13枚等を散乱させた。

2 本件行為自体は1回の行為であり、同様の行為が複数回行われる中で本件行為が行われたと認めるに足りる的確な証拠はないこと、本件行為後、Xが複数回Y社との面談に応じ、Y社に始末書を提出し、X訴訟代理人弁護士を通じ協議の意向を示していたこと、Xが本件車両内の片付け等についてY社から指導を受けたと認めるに足りる的確な証拠がなく、本件車両内部に業務書類が存在したことをもって直ちに運転手としての就業に適しないとまでは認められないこと、Xが車外を清掃しないことにより本件車両を大きく汚損したと認めるに足りる証拠がないこと、Xの運転手としての業務について、遅刻や欠勤はなく、Xが与えられた業務を行い、他に特段の問題までは認められないことからすれば、Y社が主張するその余の事情を踏まえ検討しても、Xの勤務成績が不良で就業に適さず、又は、これに準ずる重要な事由があるとして、上記各解雇事由に該当するとまでは認めるに足りない。

3 仮にXが上記各解雇事由に該当すると認められたとしても、上記の事情に加え、本件行為が、第三者によりAに連絡される事態となったものの、本件行為当時に本件車両がBの名称が記載されたトレーラーを牽引しておらず、Bとの取引に影響を及ぼしていないこと、本件行為は故意に本件車両を汚損する行為であるが、本件車両の使用が困難になるなどしたという事情までは直ちに認められないこと、Xが本件車両の清掃等を怠ったことによってY社の業務に影響を及ぼしたとまでは認められないこと、Xが過去に懲戒処分等を受けたことがないことからすれば、Y社が主張するその余の事情を踏まえ検討しても、本件解雇が社会通念上相当であるとは認められない

諸般の事情からすれば、Y社がXを解雇すると判断したことは無理もないと思いますが、裁判所の判断は上記のとおりです。

解雇のハードルの高さがよくわかります。

日頃から顧問弁護士に相談をすることを習慣化しましょう。