財団法人産業医学振興財団から「中小規模事業場におけるメンタルヘルス対策の進め方に関する研究」(平成21年度研究報告書)が発表されています。
内容は、かなり詳しいです。
メンタルヘルス対策は、顧問弁護士に相談をしながら、1つ1つ丁寧に進めていくことが求められます。
静岡市葵区の弁護士・社会保険労務士 栗田勇(くりたいさむ)のブログです。労働問題に関する最近の判例を取り上げています。
財団法人産業医学振興財団から「中小規模事業場におけるメンタルヘルス対策の進め方に関する研究」(平成21年度研究報告書)が発表されています。
内容は、かなり詳しいです。
メンタルヘルス対策は、顧問弁護士に相談をしながら、1つ1つ丁寧に進めていくことが求められます。
おはようございます。
今日取り上げるのは、ブックローン事件(東京地裁平成22年2月10日判決・労判1002号20頁)です。
この事件は、直接的には、不当労働行為性が問題となっているケースです。
【事案の概要】
会社は、60歳を定年とし、継続雇用制度を採用していた。
会社には、3つの労働組合があり、いずれも過半数組合ではない(つまり、組合はいずれも労使協定の締結資格がない)。
そこで、会社は、過半数代表との間で、労使協定を締結し、選定基準を設けた。
継続雇用の具体的な手続きとしては、従業員は、定年到達日の3か月前までに継続雇用希望の申込みを行い、会社と協議すると流れ。
ここからが問題。
組合の1つが、会社に対し、度々、継続雇用制度を交渉課題として団体交渉を申し入れたが、会社は、一度もこれに応じなかった。
会社の言い分は、次のとおり。
「組合には、継続雇用に関する労使協定の締結資格がないから、団体交渉をしても無意味である」
また、組合員の1人は、会社の継続雇用制度に異議があるとして、継続雇用希望の申込みをしなかったため、この従業員は、定年退職となった。
①組合は、会社の団交拒否は、労組法7条2号の不当労働行為にあたる、
②定年退職となった従業員は、会社が継続雇用の措置をとらなかったことが同法1号または3号の不当労働行為にあたる、
として、大阪府労委に救済申立てをした。
府労委は、①については不当労働行為と認めたが、②については認めなかった。
その後、当事者双方から再審査の申立てがされたが、中労委は、いずれも棄却した。
そのため、当事者双方が中労委命令の取消しを求め、提訴した。
【裁判所の判断】
①は、不当労働行為にあたる。
②は、不当労働行為にあたらない。
【判例のポイント】
1 ①について
会社が組合との間で、継続雇用に関する労使協定などや就業規則における継続雇用規定に定める基準よりも組合員にとって有利な基準を労働協約で別個に定めることは何ら妨げないのであるから、組合に労使協定の締結資格がないことが、団交拒否の正当な理由とはならない。
2 ②について
従業員は、継続雇用規定に基づく継続雇用希望の申込みをしなかった結果、定年退職となったものであるから、会社が継続雇用しなかったことは不当労働行為にはあたらない。
以下、感想。
①については、会社側が労働組合法、高年齢者雇用安定法の解釈を誤ったと言わざるを得ません。
②については、上記事実関係からすれば、裁判所の判断は妥当。
この従業員が継続雇用制度に異議がありつつも、継続雇用希望の申込みをしていたとしたら、どうなっていたか?
できることならば、申込みだけはしておいてほしかったところ。
実際の対応は、顧問弁護士に相談をしながら慎重に進めましょう。
メンタルヘルスについて、(財)日本生産性本部メンタルヘルス研究所が、「第5回『メンタルヘルスの取り組み』に関する企業アンケート調査結果」を発表しています。
是非、参考にしてください。
この中で、上場企業での具体的取り組み内容について紹介されています。
1 管理職向けの教育 70.0%
2 長時間労働者への面接相談 63.8%
3 休職者の職場復帰に向けた支援体制の整備 49.5%
4 一般社員向けの教育 48.6%
5 社外の相談機関への委嘱 48.0%
会社として、取り組みやすいところから始めることが大切だと思います。
メンタルヘルス対策については、顧問弁護士に相談をしながら、1つ1つ丁寧に進めましょう。
おはようございます。
今日は、労使協定の当事者についての話です。
労使協定の一般的な話ですので、継続雇用制度に限った話ではありません。
労使協定の労働者側当事者は、
1 「当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合」
2 1のような労働組合がない場合は、「当該事業場の労働者の過半数を代表する者」です。
労働組合が優先される理由は、労働組合の方が過半数代表よりも、労働者の利益をより有効に代表するであろうという判断によります。
なお、1の「労働者の過半数を組織する労働組合」とは、当該事業場を単位に組織された労働組合(事業所別組合)や当該事業所における支部組織である必要はありません。企業全体を単位とする企業別労働組合や企業外の単一組合であっても構いません。
では、2の過半数代表の適格性・選出方法ですが、この点については、労働基準法施行規則が平成10年に改正されており、同規則6条の2第1項は、過半数代表者について、以下の2点を要求しています。
①「法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと」
②「法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること」
トーコロ事件(最二小判平成13年6月22日労判808号11頁)は、労基法上のいわゆる三六協定の締結をめぐり、親睦団体の代表者が自動的に過半数代表になることはできないと判示しています。
労基法施行規則との関係でいえば、②の要件をみたしていませんよ、ということです。
過半数代表と労使協定を結ぶ場合には、上記①、②をみたしているかに注意しましょう。
へたしたら労使協定そのものが無効になってしまいます。
実際の対応は、顧問弁護士に相談をしながら慎重に進めましょう。
おはようございます。
継続雇用制度に関し、問題となった事件をもう1つ紹介します。
京濱交通事件(横浜地裁川崎支部平成22年2月25日判決・労判1002号7頁)です。
【事案の概要】
会社(タクシー会社)は、で、定年を60歳とし、再雇用制度を採用していた。
従業員は、タクシー乗務員として勤務していたが、会社の就業規則に定める再雇用基準を満たしていないことを理由とする再雇用を拒否された。
会社の各事業所のいずれにも労働者の過半数で組織する労働組合はなかった。
継続雇用制度の導入にあたり、労働者の過半数を代表する者は選出されておらず、会社が労働者側に対し、労働者の過半数代表者を選出するように要請したこともなかった。
会社は、「複数の労働組合の全組合員数の過半数との間で協定を結べば労使協定として有効に成立する」という労使慣行に則って協定を結んだと主張した。
再雇用を拒否された従業員は、再雇用拒否が無効であるなどと主張して、会社に対し、労働契約上の地位確認等を求めた。
【裁判所の判断】
請求認容(確定)
【判例のポイント】
1 会社には、労働者の過半数で組織する労働組合がなかった以上、高年齢者雇用安定法9条2項により継続雇用制度の導入措置を講じたとみなされるためには、各事業所ごとに全労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)との書面による協定により制度対象者の基準を定めて制度導入することが必要である。
2 会社において過半数代表者は選出されておらず、会社がなした労働者の過半数に満たない複数の労働組合との労使協定をもって制度導入に当たっての労使慣行として有効であるとはいえず、同法9条2項の要件を満たしていない。
結局、文言解釈をしたということです。
会社側代理人としても、なかなか厳しいところだったと思います。
過半数代表の適格性・選出方法についての問題は、最高裁判例(トーコロ事件)があります。
実際の対応は、顧問弁護士に相談をしながら慎重に進めましょう。
Q2 職種別に異なる選定基準や管理職であるか否かにより異なる選定基準を定めることはできますか?
A できます。
選定基準については、労使協定で定める定める必要があります。
労使間で十分協議し、労使納得の上で定められたものであれば、高年齢者雇用安定法違反とはなりません。
実際の対応は、顧問弁護士に相談をしながら慎重に進めましょう。
おはようございます。
今日は、継続雇用制度に関する裁判例を見てみましょう。
NTT西日本(高齢者雇用・第1)事件(大阪高裁平成21年11月27日判決・労判1004号118頁)です。
【事案の概要】
会社は、定年を60歳とし、63歳または64歳までの継続雇用制度を採用していた。
会社は、労使協定を結び、地域会社への転籍を選択した従業員のみ、 定年後も再雇用され得るとした。
これに対し、転籍せず、会社にとどまることを選択し、定年退職したものとして扱われた従業員7名が、会社に対し、定年後の継続的雇用確保義務違反等を主張して損害賠償を請求した。
【裁判所の判断】
一審、控訴審ともに請求棄却。 現在、上告中。
【判例のポイント】
1 高年齢者雇用安定法は、社会政策誘導立法ないし政策実現型立法として公法的性格を有しており、その作為義務の内容は抽象的であってただちに私法的強行性ないし私法上の効力を発生させるほどの具体性を備えているとは認めがたい。
2 会社が同法9条1項に基づいて、私法上の義務として継続雇用制度の導入義務ないし継続雇用義務まで負っているとまではいえない。
3 継続雇用制度によって確保されるべき雇用の形態は、必ずしも労働者の希望に合致した職種・労働条件による雇用であることを要せず、労働者の希望や会社の実情等を踏まえた常用雇用や短時間勤務、隔日勤務等の多様な雇用形態を含むもの解するのが相当であり、継続雇用制度に転籍による雇用継続がおよそ含まれないと解することはできない。
実際の対応は、顧問弁護士に相談をしながら慎重に進めましょう。
Q1 従業員と会社との間で、賃金と労働時間は合致できず、継続雇用を拒否した場合も違反となりますか?
A 高年齢者雇用安定法違反にはなりません。
法律が要求しているのは、継続雇用制度の導入です。
会社に、定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるものではありません。
高年齢者雇用安定法の趣旨は、高年齢者の安定した雇用の確保です。
従前の雇用条件をそのまま維持しなければならないということではありません。
つまり、会社としては、合理的な雇用条件を提示して継続雇用の機会を与えれば足ります。
なお、平成25年3月31日までは、会社が雇用する高年齢者等が、定年、継続雇用制度終了による退職等により離職する場合で、当該高年齢者等が再就職を希望するときは、会社は、再就職援助の措置を講ずるよう努めることとなっています。
実際の対応は、顧問弁護士に相談をしながら慎重に進めましょう。
会社は、過半数労働組合または労働者の過半数代表者と、労使協定を書面で交わすことにより、継続雇用制度の対象となる高年齢者の基準を定めることができます。
つまり、会社は、労使協定を結ぶことによって、定年となる従業員全員を継続雇用の対象としなくてもよくなります。
(なお、この労使協定は、労基署への届け出は必要ありません。)
ここまでは、よいのです。
問題は、継続雇用をする従業員の選定基準です。
厚労省が発行する「継続雇用制度の対象者に係る基準事例集」によれば、基準には、「具体性」と「客観性」が必要となります。
つまり、「会社が必要と認めた者」とか「上司の推薦がある者」ではダメです。
これでは、基準の役割を果たしていないからです。
基準が適切でない場合、ハローワークにおいて、必要な報告徴収が行われるとともに、助言・指導、勧告の対象となります。
就業規則等にどのような基準を設けるかについては、工夫が必要です。
本屋さんで売っている「就業規則作成マニュアル」系の本に書かれている選定基準では、ほとんどの会社の実態に合っておらず、使いにくいと思います。
現在、ある会社の就業規則を作成中(正確には内容の大幅変更中)のため、いろいろ考えているところです。
実際の対応は、顧問弁護士に相談しながら進めて行きましょう。
高年齢者雇用安定法により、平成18年3月31日までに定年(65歳未満のものに限る。)の定めをしている会社は、次の3つの「高齢者雇用確保措置」のうちいずれかを実施しなければならないことになっています。
みなさんの会社の就業規則は変更されていますか?
①定年年齢の引き上げ
②継続雇用制度の導入
③定年制廃止
ちなみに、①についてですが、設定できる定年年齢は、以下のとおり、平成25年4月までに段階的に引き上げられることになっています。
平成18年4月1日~平成19年3月31日・・・62歳
平成19年4月1日~平成22年3月31日・・・63歳
平成22年4月1日~平成25年3月31日・・・64歳
平成25年4月1日~ ・・・65歳
つまり、現在のところ、定年を64歳以上にしておけば問題ないわけです。
なお、②の継続雇用制度を導入する場合も、継続雇用すべき年齢は①と同じです。
この①~③のうち、多くの会社が選択しているのは、②です。
①は、65歳まで正社員として雇用することになるので、会社の負担が大きいわけです。
③は、従業員が自主的に退職するか解雇されない限り、100歳でも働くことができます。これまた会社の負担が大きいです。
正社員として雇用した従業員を途中でパートタイム従業員や嘱託社員に変更することは難しいため、残った②を選択することになるわけです。
実際の対応は顧問弁護士に相談をしながらすすめてください。