Daily Archives: 2014年6月10日

解雇141(ロイズ・ジャパン事件)

おはようございます。

さて、今日は「やむを得ない業務上の都合」を理由とする解雇に関する裁判例を見てみましょう。

ロイズ・ジャパン事件(東京地裁平成25年9月11日・労判1087号63頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、Y社による整理解雇は無効であるとともに、不法行為をも構成すると主張して、Y社に対し、地位確認ならびに解雇後の賃金および不法行為に基づく損害賠償金(慰謝料)の各支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

整理解雇は無効

慰謝料請求は棄却

【判例のポイント】

1 本件解雇は、労働者の私傷病や非違行為など労働者の責めに帰すべき事由による解雇ではなく、使用者の経営上の理由による解雇であるから、その効力は、人員削減の必要性の有無及び程度、解雇回避努力の有無及び程度、被解雇者の選定の合理性の有無及び程度、解雇手続の相当性の有無及び程度等を総合考慮して、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められるか否かによって判断することが相当である(労働契約法16条)。

2 …本件解雇当時、Y社において人員削減をする必要性があったことを認めることができる。もっとも、…一件記録を精査検討しても、この350万ポンドの削減を単年度で実現しなければY社が倒産し又は高度の経営危機に瀕することを認めるに足りないから、人員削減の必要性の程度としては、Y社が主張するような極めて高度な必要性があったものと認めることはできない

3 Y社は、平成24年1月31日に同年3月末日で失われる5つの職務を特定して発表し、本件5職務に現に従事していた5名の従業員に対し退職勧奨を行ったものの、その余の15名の従業員に対しては希望退職募集を行っていないこと、本件解雇においてXが被解雇者として人選されたのは、本件5職務に現に従事していたことによることが認められるところ、希望退職募集を行わなかった15名が従事していた職務について、人員削減の対象として特定された上記5名では代替することができないものと認めるに足りる証拠はないし、人員削減を行わざるを得ない旨の告知を受けただけで割増退職金等の退職条件の提示がない段階で自主退職を名乗り出た者がいなかったとしても、直ちに希望退職募集を実施してもこれに応じる者がいなかったなどということはできないから、解雇回避措置として希望退職募集を行うことが客観的に期待できなかった事情は認められないし、たとえ削減対象とする職務として本件5職務を選定したことに客観的合理性があったとしても、本件5職務に現に従事していたことを基準として、Xを被解雇者として人選したことに合理性があるものとは認められない

人員削減の高度の必要性が認められない場合には、かわりに高度の解雇回避努力が求められることになります。

これが総合考慮というものです。

希望退職募集などのとりうる方法を整理解雇の前にとっておくことは非常に重要なことです。

結果ではなく、プロセスが大切なのです。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。