不当労働行為105(ヤマキ事件)

おはようございます。

今日は、組合支部長に対する配転や誠実交渉義務に関する命令を見てみましょう。

ヤマキ事件(滋賀県労委平成26年11月5日・労判1102号95頁)

【事案の概要】

Y社は、リフォーム部門の拡充を目的として組合の支部長を一般営業業務からリフォーム専従に配転した。

また、Y社は、団交において時間外労働手当は営業手当に含まれていると主張したが、主張の根拠となる資料の提示や内容の説明を十分に行わなかった。

これらのY社の行為が不当労働行為に該当するかが争われた。

【労働委員会の判断】

配転は不当労働行為にあたらない

団交における対応は不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 ・・・リフォーム部門強化の措置として最も適任と判断したA支部長を同部門に専従として配置転換させ、新たに販売促進の強化対象としたリピーター・OB顧客のフォローに主として従事させるとしたことには、新たな経営戦略を遂行するための措置として一定の合理的理由があるといえる。

2 たしかに、Y社においてはこれまで配置転換の例がなかったにもかかわらず、A支部長に初めて配置転換が行われたこと、それも、本件配置転換は、支部が結成されて団体交渉が行われ、給与体系等に関して対立が解消しきれていない状況下で行われた措置であること、・・・等からは、本件配置転換がA支部長の組合活動等の故に行われたと疑えなくもない。しかしながら、前記・・・でみた合理的理由の存在を考慮すると、これらのみをもってA支部長の組合活動等が本件は一点間の主たる理由であると断じることには、なお不十分である。

3 ・・・制度改定前の「営業手当」はいわゆる報奨的性格を有する手当であったことから、改定後の「営業手当」が25時間の時間外手当を固定額で含む趣旨の手当であるならば、その趣旨を含めた丁寧な説明が必要であると考えられるが、第1回審問でのY社社長の証言によれば、従業員に対する個別の説明はきわめて短時間(5分程度)であったこと等、Y社が主張する説明内容には不十分と思われる点や疑問が残る点があるにもかかわらず、交渉時には営業手当の算定方法等について十分な説明がされず、あるいはそれまでと同様の説明を繰り返すにとどまっている
以上から、・・・「営業手当」と25時間分の時間外手当の関係については、その根拠資料および説明内容の不十分さ等において不誠実な対応であったことが認められる。

配転命令については、一定の合理的理由が認められたため、不当労働行為とはなりませんでしたが、上記命令のポイント2からすると、反対の結論になったとしてもおかしくなかったと思います。

また、上記命令のポイント3の態様では、不誠実団交になることはしかたありません。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。