Monthly Archives: 5月 2016

本の紹介553 熱狂しやがれ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
熱狂しやがれ - 転職せずに100倍楽しく働く方法 -

本の1頁目にこのように書かれています。

仕事をおもしろくする唯一の方法は、熱狂することだ!

おもしろい仕事じゃないと熱狂できない、という甘えん坊さんは、一生、仕事で熱狂することはないのでしょう。

仕事を変えるのではなく、考え方を変えるのが先です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

あなたの今は、過去の選択の結果にすぎない。そして過去から現在までの変化を人は『成長』と呼び、現在から将来への変化を『可能性』と呼ぶ。可能性を広げるためには、我々は絶えず前進しつづけなくてはいけないのだ。天才的な物理学者だった、アインシュタインのこんな言葉がある。
『いままでと同じことをしていて、違う結果を期待する人間。それを本当のばか者と言う。』」(25頁)

このアインシュタインの言葉をよく覚えておきたいと思います。

原因と結果の法則からしても、これまでとは違う結果・成果を求めるのであれば、その原因となる日々の準備を質・量ともに変える必要があります。

自分の可能性をどれだけ信じることができるかは、つまるところ、どれだけ日々、努力を続けているかにかかっています。

自分だけは知っているのです。

「俺、そんなに真剣に仕事に向き合っていないな・・・」

「人並みの努力しかしていないな・・・」と。

僕ら凡人は、突き抜ける程の努力をするしかないのです。

「これさえ飲めば1か月で10㎏痩せる!!」みたいな幻想を抱いているうちは、今の状況は一向に変わりません。

毎日、頭から煙が出るほどの努力を続けることからしか可能性は生まれないのだと確信しています。

賃金113(甲会事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、育児短時間勤務制度の利用を理由とする昇給抑制が違法とされた事例を見てみましょう。

甲会事件(東京地裁平成27年10月2日・労経速2270号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社で稼働するXらが、Y社において育児短時間勤務制度を利用したことを理由として本来昇給すべき程度の昇給が行われなかったことから、各自、Y社に対し、①このような昇給抑制は法令及び終業規則に違反して無効であるとして、昇給抑制がなければ適用されている号給の労働契約上の地位を有することの確認、②労働契約に基づく賃金請求として昇給抑制がなければ支給されるべきであった給与と現に支給された給与の差額及び遅延損害金、③このような昇給抑制は不法行為に当たりXらは精神的物質的損害を受けたとして、不法行為に基づく慰謝料(各自50万円)等の損害賠償金及び遅延損害金の支払を求めたものである。

【裁判所の判断】

本件訴えのうちXらがY社において平成26年4月1日時点で各主張に係る号俸の労働契約上の権利を有する地位にあることを確認することを求める部分をいずれも却下する。

Y社は、X1に対し、19万6149円+遅延損害金を支払え

Y社は、X2に対し、27万0799円+遅延損害金を支払え

Y社は、X3に対し、24万6315円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 ・・・このような育児・介護休業法の規定の文言や趣旨等に鑑みると、同法23条の2の規定は、前記の目的及び基本理念を実現するためにこれに反する事業主による措置を禁止する強行規定として設けられたものと解するのが相当であり、労働者につき、所定労働時間の短縮措置の申出をし、又は短縮措置が講じられたことを理由として解雇その他不利益な取扱いをすることは、その不利益な取扱いをすることが同条に違反しないと認めるに足りる合理的な特段の事情が存しない限り、同条に違反するものとして違法であり、無効であるというべきである。

2 本件昇給抑制は、本件制度の取得を理由として、労働時間が短いことによる基本給の減給(ノーワークノーぺイの原則の適用)のほかに本来与えられるべき昇給の利益を不十分にしか与えないという形態による不利益取扱いをするものであると認められるのであり、しかも、このような取扱いがX主張の指針によって許容されていると見ることはできないし、そのような不利益な取扱いをすることが同法23条の2に違反しないと認めるに足りる合理的な特段の事情が存することも証拠上うかがわれないところである。

3 育児・介護休業法23条の2が、事業主において解雇、降格、減給などの作為による不利益取扱いをする場合に、禁止規定としてこれらの事業主の行為を無効とする効果を持つのは当然であるが、本件昇給抑制のように、本来与えられるべき利益を与えないという不作為の形で不利益取扱いをする場合に、そのような不作為が違法な権利侵害行為として不法行為を構成することは格別、更に進んで本来与えられるべき利益を実現するのに必要な請求権を与え、あるいは法律関係を新たに形成ないし擬制する効力までをも持つものとは、その文言に照らし解することができない。また、あるべき号俸への昇給の決定があったとみなしてY社の「決定」の行為を擬制すべき根拠もないことも明らかである。そうすると、Xらが確認を求めるX1につき91号、X2につき73号、X3につき89号という法律関係は存在していないといわざるを得ない。

4 不法行為により財産的な利益を侵害されたことに基づく損害賠償の請求にあっては、通常は、財産的損害が填補され回復することにより精神的苦痛も慰謝され回復するものというべきであるところである。
しかし、本件昇給抑制は、それがされた年度の号俸が抑制されるだけでなく、翌年度以降も抑制された号俸を前提に昇給するものであるから、Y社において本件昇給抑制を受けたXらの号俸数を本件昇給抑制がなければXらが受けるべきであったあるべき号俸数に是正する措置が行われない限り、給料、地域手当、期末手当、勤勉手当等といった賃金額についての不利益が退職するまで継続し続けるだけでなく、退職時には、退職の金額の算定方法のいかんによっては、退職金の金額にも不利益が及ぶ可能性があること、毎年6月及び12月に支給される期末手当、勤勉手当はその都度会長の定める支給率が決定されなければ、その数額を確定することができず、本件昇給抑制に起因する財産的損害についてあらかじめ填補を受け回復することができないことなどに鑑みると、現時点において請求可能な損害額の填補を受けたとしても、本件昇給抑制により被った精神的苦痛が慰謝され回復されるものではないから、前記認定の財産的損害とは別に、慰謝料の支払が認められるべきものといえ、その金額は、Xら各自について10万円と認めるのが相当である。

上記判例のポイント3は重要です。

また、上記判例のポイント4の理由付けは非常に納得がいくものですが、この理由からこの結論ですか・・・

あまりにも慰謝料の金額が低すぎて、何の抑止力にもなっていません。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介552 筋トレが最強のソリューションである(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
筋トレが最強のソリューションである マッチョ社長が教える究極の悩み解決法

帯には「あらゆる悩みが筋トレで解決します」と書かれています(笑)

普段、筋トレをしている人が読むと、共感できる内容であり、とてもおもしろい本ですが、筋トレの習慣がない人にとっては、「???」という本だと思います(笑)

視点・切り口が最高です。

筋トレの習慣がある方にはおすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

筋トレ→筋繊維破壊→同じ負荷では壊れないよう筋繊維太くなり復活→更に強い負荷でぶち切る→∞のループで筋肉大きくするんだけど、ジムに行くたびに限界突破していく訳ですよ。『自分の限界を知れ』なんて言ってくる大人の多い現代社会においてこんなにも限界突破の経験くれるのジムだけじゃないですか?」(96頁)

これ、本当のことですよ(笑)

筋トレと仕事は本当に似ています。

同じ負荷を掛け続けても、筋肉も人間も大きくなりません。

1日にして大きな筋肉、仕事はできません。

日々の習慣が大切なのです。

日々、超回復をして、更に上を目指すのです。

「もうこのくらいでいいにしよう」などという限界は筋トレと仕事にはありません。

スタッフに「先生、何を目指しているんですか?」と質問されますが、そんなことは鉄アレイとプロテインに聞いてみないとわかりません。

最近、ボクシングを始めて、輪を掛けてそう思われています。

解雇200(キングスオート事件)

おはようございます。

今日は、シニアマネージャーの解雇が有効とされた裁判例を見てみましょう。

キングスオート事件(東京地裁平成27年10月9日・労経速2270号17頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、試用期間満了日である平成26年3月31日付けで留保解約権の行使により解雇されたところ、Y社に対し、本件解雇の無効及び賃金の未払等を主張して、労働契約に基づき、①労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、②未払賃金の支払、③未払割増賃金の支払、及び労働基準法114条に基づき、④付加金の支払を求めるとともに、Y社従業員らのパワーハラスメント等及び違法な本件解雇により精神的苦痛を被ったなどと主張して、⑤不法行為又は労働契約上の債務不履行に基づき、損害賠償(合計220万円)の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、13万5681円+遅延損害金を支払え

Y社はXに対し、付加金として13万5681円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 Xは、管理部の責任者としての地位に見合う水準の能力を発揮することが求められていたにもかかわらず、インプット作業のような単純作業も適切に遂行することができず、管理職としての姿勢に疑問を抱かせるような態度もあったのであり、Y社において、部下の指導や評価を含む管理部門の統括業務、内部統制整備業務に係るXの業務遂行能力に疑問を抱き、Eの出向が解除される平成26年3月以降、Xに管理部の責任者としての業務を行わせることができないと判断したことには合理的な理由があるというべきである。

2 Xには管理部の責任者として高い水準の能力を発揮することが求められていたところ、十分な時間をかけて指導を受けたにもかかわらず、インプット作業のような単純作業を適切に行うことができないなど、基本的な業務遂行能力が乏しく、管理職としての適格性に疑問を抱かせる態度もあったこと、Xのインプット作業によりGらの業務が停滞して苦情が出され、インターネット閲覧についても女性従業員から苦情が出されるなど、Y社の業務に支障が生じていたこと、前任者としてXに引き継ぎ、指導を行うべきEが平成26年2月末には出向解除によりP社に戻る予定であり、上記のような状態でXが適切に管理部の統括業務を遂行することができず、管理部の業務により大きな支障が生じるおそれがあると判断されてもやむを得ない状態であったことが認められる。
これに加えて、Y社の規模やXの採用条件によれば配置転換等の措置をとるのは困難であったとも認められること、Xは当時試用期間中であり、インプット作業の問題について繰り返し指導を受けるなど、改善の必要性について十分認識し得たのであるから、改めて解雇の必要性を告げて警告することが必要であったとはいえないこと等の事情も考慮すると、本件解雇が試用期間の経過を待たずに決定されたものであること、Xが同年2月22日に抑うつ状態と診断されていること等、Xが主張する事情を考慮しても、本件解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合に当たるものとは認められない。

能力不足を理由とする解雇は、一般的にはハードルが高いですが、裁判所が求める解雇までのプロセスを経ること、能力不足を裏付けるエビデンスを揃えることという基本姿勢があれば、有効に行うことも十分可能です。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介551 お金の9割は意欲とセンスだ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
お金の9割は意欲とセンスだ ―年収がぐんぐん伸びるビジネスセンスの磨き方―

お金持ちになりたい、成功したい、と思っている若手は、読んでみましょう。

きっと参考になるはずです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

年収の低い人と、年収が高い人の共通点がある。それは気の合う人としか付き合わないことだ。・・・すでにあなたが平均的なサラリーマンの生涯賃金を稼ぎ終えた成功者であれば、気の合う人同士で平日の昼間からワイン片手に国家や人生を語って盛り上がるのもいいだろう。
だかこれから年収を上げていきたいのであれば、気の合う人より成長できる人と付き合うようにすべきだ。成長できる人というのは、必ずしも気が合うわけではない。否、むしろ気が合わない人のほうが多い。」(124~125頁)

よくいろんな本に書いてある「コンフォートゾーン」を出るということと共通する視点です。

自分のレベルを上げていきたいと思ったら、自分が快適に過ごしている現状に甘んじていてはいけないのです。

成長するときは、いつも「コンフォートゾーン」から出る勇気が必要です。

これまでの自分を変えたいのであれば、これまでとは違う生活、意識、習慣を作られなければいけないのは当然のことです。

多くの人は、人一倍変わりたい、成長したいと願うのですが、人一倍の努力はしない。

変わりたい、成長したいと願うのは自由ですが、それだけでは一生変わりません。

変わるはずがありません。

人が寝ているとき、休んでいるときにどれだけ汗をかけるか、です。

解雇199(Y社事件)

おはようございます。

今日は、法的に根拠のない大幅な給与の減額をし従業員を退職に追い込んだことが不法行為とされた事案を見てみましょう。

Y社事件(東京高裁平成25年8月28日・判タ1420号93頁)

【事案の概要】

Xは、個人でY社の保険代理店を営んでいたが、その後、同代理店を廃業してY社に入社した。その際、Xは、顧客との間の保険契約(いわゆる手持ち契約)をY社に持ち込んだ。
本件は、Xが、この保険契約は一種の無体財産権であり、その持ち込みによって、Y社が売上高を増加させて、Y社における高位の保険代理店の資格を得ることができたにもかかわらず、その後、正当な理由なくXの給与を減額して、XをY社から退社せざるを得ない状況に追い込んで、上記保険契約を奪取し、Z社もこれを補佐したなどと主張して、Y社及びZ社に対し、次のとおりの請求をした事案である。

すなわち、Xは、主位的に、①Y社及びZ会社に対し、共同不法行為に基づき、上記保険契約を失ったことによる財産的損害の損害賠償の内金として4000万円+遅延損害金の連帯支払、②Y社に対し、不法行為に基づき、慰謝料300万円及び労働契約に基づき、平成22年5月分から同年8月分までの未払給与50万円+遅延損害金の支払を求めた。
また、Xは、予備的に、Y社に対し、③Y社がXに対してした平成22年8月20日付け解雇(以下「本件解雇」という。)が無効であることの確認、④労働契約に基づき、平成22年5月分から平成23年2月分までの未払給与230万円+遅延損害金の支払、⑤平成23年3月からXが満65歳に達する月までの給与として、毎月25日限り30万円の支払を求めた。

原審は、Xの主位的請求①及び②をいずれも棄却し、予備的請求については、③及び④を認容し、⑤については、平成23年3月1日から判決確定の日まで毎月25日限り月額30万円の割合による金員+遅延損害金の支払を求める限度で認容し、その余の請求に係る訴えを却下した。

これに対して、Xは、主位的請求の認容又は予備的請求の全部認容を求めて控訴し、Y社は、Y社の敗訴部分に係るXの請求の棄却を求めて控訴した。なお、Xは、当審において、主位的請求①のうち、Y社に対し不当利得に基づく請求を追加した。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、249万3733円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 Y社は、Xが入社した後の平成21年7月付けで業務ランクがそれまでの上級代理店(現在の1級代理店)から特級代理店(現在の新特級代理店)に昇格しているところ、XがY社に移管した本件保険契約の保険料収入が加わらなければ、新特級代理店への昇格のための必要条件の1つが満たされなかったものであるから、XのY社に対する寄与は少なくなかったといえる。
それにもかかわらず、Y社は、それまで月額30万円であったXの給与を、Xの同意なく、一方的に、同年11月分から段階的に引き下げ、平成22年5月分以降は月額17万4000円と大幅な減給という労働条件の不利益変更を実施した
そして、このような法的に根拠のない大幅な労働条件の引下げが行われ、これに不満を抱いた控訴人が、Y社を退社するに至っているが、これはまさにY社が、Xを退社せざるを得ない状況に追い込んだということができるから、Y社は、このことにつき不法行為責任を免れないというべきであり、当該判断を覆すに足りる証拠はない。
なお、Y社は、Xの給与を減額したことの合理性等を縷々主張するが、それらによって上記のような一方的かつ大幅な減給の正当性が認められることにはならないのは、前記でみてきたとおりである。

2 Xは、同人が本件保険契約から得られるべき収入相当額や本件保険契約を第三者に引き継いだ場合の代償金相当額が、上記の不法行為による財産的損害又は不当利得になる旨主張している。
確かに、XがY社に入社し、その後、退社するに至るまでの前記経緯に鑑みれば、実質的に、Y社がXから本件保険契約を奪ってしまったと評価する余地があることは否定できない。
しかしながら、XからY社への本件保険契約の移管手続は適法に行われていることが認められ、また、XがY社を退社した場合の本件保険契約の取扱いについて、関係当事者間で別段の合意がされていたとは認められない以上、上記手続により、本件保険契約は、XからY社に移管され、その後、XがY社を退社したからといって、Y社がXに対して本件保険契約を返還すべき義務又は(その返還に代えて)代償金を支払うべき義務が発生する法的根拠はない
そして、Xの退社について、Y社に不法行為責任が認められる場合であっても、そのことから直ちに、上記各義務が生じるということにもならない。
そうすると、Y社の不法行為によって、Xが主張するような財産的損害が生じたということはできず、また、被Y社が法律上の原因なくして、本件保険契約に係る利益を利得し、これによってXが損失を被ったということもできないから、財産的損害及び不当利得については、いずれも認められない。
他方、Xは、Y社の不法行為によって、不本意な退社を余儀なくされた以上、精神的苦痛を受けたと認められる。そして、本件退職の原因となった本件給料減額は無効なものであること、前述したとおり、財産的損害としてはとらえられないものの、本件は、実質的に、Y社がXの本件保険契約を奪ってしまったと評価する余地のある事案であることなども勘案すると、上記精神的苦痛を慰謝するための金額は200万円とするのが相当であり、当該判断を覆すに足りる証拠は存在しない。

合理的理由を欠く大幅な給与減額により自主退職に至った場合に、不法行為に該当する可能性があることを示しています。

もっとも、いつもそうですが、慰謝料の金額がそれほど多額にならないので、あまり抑止力にはなっていません。

また、本件では、Xの保険契約がY社に移管されており、原告の請求金額から考えると、慰謝料わずか200万円だけ認められても、Xの財産的損害はほとんど填補されていないのでしょうね。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介550 日本電産 永守重信 世界一への方程式(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
日本電産 永守重信、世界一への方程式

日本電産永守社長に関する本です。

経営に対する姿勢を学ぶには最適の本です。

甘えなど1ミリも感じられません。

経営者及び経営者を目指す方は必読の本です。 おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

会社を創業して間もない頃、出張先のアメリカで、体調を崩して病院に運ばれたときのことである。『ハウ・アー・ユー?(調子はどう?)』と尋ねられた私は、全身にじん麻疹を出しながら『ノット・ファイン(良くない)』と答えた。すると、私がベンチャー経営者だと知った医師は、『ベンチャービジネスの経営者がそんな弱気なことを言っていたら、会社は危ないですよ。ファインと答えなさい』とアドバイスをしてくれた。ベンチャー経営者としてビジネスを成功させるには、態度も言葉も性格も消極的であってはいけない。常にファインでなければというのである。」(99頁)

態度も言葉も性格も消極的で後向きな経営者に誰がついていきたいと思うでしょうか。

最もエネルギッシュでバイタリティーに溢れているのがトップにいなくて、誰が一生懸命仕事をするでしょうか。

猪木さんが「元気があれば何でもできる」と言っていますが、そのとおりですよね。

「あなたと一緒にいると元気になる!」と言われるような人間を目指さなければいけません。

経験も実績もないのなら、せめて誰にも負けない元気とバイタリティーで勝負するのです。

不当労働行為139(廣川書店事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、組合の申し入れた春闘要求および一時金を議題とする団交に会社が誠実に対応しなかったことが不当労働行為にあたるとされた事例を見てみましょう。

廣川書店事件(東京都労委平成27年10月6日・労判1128号94頁)

【事案の概要】

本件は、組合の申し入れた春闘要求および一時金を議題とする団交に会社が誠実に対応しなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 ・・・これらの団体交渉は、いずれも、25年12月27日の本件申立ての1年以上前の行為であるから、これらの団体交渉に係る申立ては期間とかにより却下を免れない
なお、組合は、上記団体交渉に係る事実は、労働組合法27条2項に規定する継続する行為に該当すると主張するが、本件団体交渉事態は、その都度完結したものと解されるのであり、継続する行為であるということはできない

2 そもそも、Y社が、賃上げについては11年以降25年まで15年連続でゼロ回答に、一時金については16年夏季から25年冬季まで10年連続で「30万円±20万円」という回答に終始していること自体、会社回答の合理性を疑わせるものであって、会社としては、自らの回答を根拠付ける資料を開示した上で、賃上げできない理由や一時金の金額の根拠を誠実に説明し、組合との交渉に真摯に臨む必要があった
しかし、・・・会社は、団体交渉において、一環して自らの結論を述べるのみであり、組合が、会社回答の根拠を求めても、これまでの実績と同額・・・、考えを変えるつもりはない、何も言うことはないなどと応答するのみで、組合に対し何ら回答の根拠を示さず、交渉によって妥協点を見いだそうとする態度を示すことはなかった
・・・したがって、・・・会社の対応は、不誠実な団体交渉に該当する。

上記命令のポイント1はあまり見かけない判断ですね。

労働組合法27条2項 「労働委員会は、前項の申立てが、行為の日(継続する行為にあつてはその終了した日)から一年を経過した事件に係るものであるときは、これを受けることができない。

これが根拠条文です。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介549 30代で頭角を現す69の習慣(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

事務所は暦通りにGW中はお休みとさせていただきます。

もっとも、私はGW中も普通に仕事をしていますので、顧問先会社様は、何かありましたらいつでも栗田の携帯電話にご連絡ください。

今日は本の紹介です。
30代で頭角を現す69の習慣 (だいわ文庫)

本を開くと最初のページには以下の文章が大きく書かれています。

はじめの5年でついた習慣を、人は一生繰り返す。

最初が肝心だということを端的に表現していますね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

仕事がデキる人は仕事を趣味にするか趣味を仕事にしているから、趣味と仕事をいちいち分けて考えない。だから毎朝起きるのが楽しいし、常に仕事に集中できる。
ダメ30代に『趣味は何ですか?』と質問すると目を輝かせるが、デキる人は不思議そうな顔をする。これは趣味と仕事を一体化させることに成功したからだ。」(65頁)

そもそもここ最近、「趣味はなんですか?」という会話をした記憶がありません。

逆に趣味を聞かれても、「趣味ですか・・・?えーと・・・・」と焦ります(笑)

趣味は仕事です、というのも違いますよね。そんな甘くないですから、仕事は。

趣味を本格的に始めるのは、老後でいいかな、というのが私の考えです。

私の場合、今から趣味を始めても、中途半端になるのが目に見えていますので。

趣味に時間を割くと、「時間がもったいない」「仕事したい」と感じてしまううちは、趣味に手を出さないほうがいいのでしょうね。