不当労働行為213 労組加入を公然化した組合員の雇止めが不当労働行為とならない場合(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、労組加入を公然化した組合員との非常勤講師契約を再締結しなかったことが不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

学校法人文際学園(非常勤講師)事件(中労委平成30年2月21日・労判1190号93頁)

【事案の概要】

本件は、労組加入を公然化した組合員との非常勤講師契約を再締結しなかったことが不当労働行為に当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にはあたらない

【命令のポイント】

1 X組合員については、①ECSで日本語を使用し、学生らが日本語を使用していても注意しないこと、学生らが授業に集中していなかったという問題が認められ、②また、これらの点についてのB専任教員からのフィードバックに関しても前向きな態度ではなかったこと、③さらに、学生満足調査における結果が悪かったことなど、24年11月中頃までに法人が把握した事情により、本件雇止めが決定されたと認められる。
そして、講義の質、学生の満足度などの点は非常勤講師契約においても再契約の考慮要素とされており、特に、X組合員の担当していたECSは、英語によるコミュニケーションを重視する授業であること、非常勤講師は原則として学期単位の有期契約であり、X組合員が当然に再契約を期待できる事情もなかったことも併せ考慮すれば、本件雇止めには相応の理由があるといえる。

2 本件雇止めの通知の時期は異例とはいえないこと、X組合員には当然に非常勤講師の再雇用を期待できるような事情も認められず、雇止めに相応の理由もあることからすれば、本件雇止めの通知が組合加入の公然化後間もない時点でされたことや、本件雇止め後の労使交渉の経緯を十分に考慮しても、本件雇止めが、組合員であるなどの労組法7条1号所定の理由によりされたものであるとは推認できないというべきである。
以上によれば、本件雇止めは組合員であるが故の不利益な取扱いであるとはいえず、労組法7条1号に規定する不当労働行為には当たらない。

従業員の組合加入の公然化と重なったことからこのような紛争が起きてしまいましたが、

上記命令のポイント1のように雇止めの理由に合理性が認められれば、不当労働行為とはなりません。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。