Daily Archives: 2022年2月15日

有期労働契約108 有期雇用契約途中の解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、有期雇用契約途中の解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

ローデンストック・ジャパン事件(東京地裁令和3年7月28日・労判ジャーナル117号32頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で有期雇用契約を締結していたXが、Y社に対し、Y社による有期雇用期間途中の解雇は無効であるとして、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、雇用契約に基づく未払賃金等の支払を求めたほか、Y社による違法、無効な解雇により精神的苦痛を受けたとして、不法行為に基づき、慰謝料200万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、C社長から令和元年7月23日付けメールのようなメールを送信しないよう業務命令を受けていたにもかかわらず、自己の考えに固執して故意に複数回にわたってこれに反する行為に及んでおり、Y社の管理部長としての資質を欠くものといわざるを得ず、Xには就業規則所定の解雇事由に該当すると認められ、また、XはY社との間で期間を5年間とする定年後再雇用契約を締結しており、本件解雇の時点で2年6か月以上の雇用期間を残していたため、Y社は、他部署への配置転換や雇用期間の満了まで賃金を受領しつつ自宅待機とするという雇用の継続を前提とした提案をしたが、Xがこれに応じないばかりか、その後、Y社がXに対して自宅待機命令を発し、その間も賃金の支払を継続することにしたにもかかわらず、それでもなおXは業務命令に反して同年9月6日付けメールを送信したため、Y社はこれ以上Xの雇用を継続することはできないとして本件解雇に踏み切っており、このような点に照らせば、Y社としてXの雇用の継続のために可能な限りの努力をしたにもかかわらず、Xを解雇せざるを得なかったといえるから、労働契約法17条所定の「やむを得ない事由」があったというべきであるから、本件解雇は有効である。

雇用期間満了までお金あげるから会社に来なくていいとまで言われております。

有期雇用契約ですので、無期雇用契約に比べると解雇のハードルが高いですが、それでもここまでの事情があれば、裁判所もさすがに解雇を有効と判断してくれます。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。