Category Archives: 同一労働同一賃金

同一労働同一賃金17 通勤手当の相違と同一労働同一賃金(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、通勤手当の相違を不合理とし、引っ越し作業中の破損への賠償金負担等も判断した裁判例を見てみましょう。

アートコーポレーション事件(横浜地裁令和2年6月25日・労経速2428号3頁)

【事案の概要】

本件は、引越関連事業を主な事業とする株式会社であるY社との間で雇用契約を締結し、勤務していたXらが、Y社に対し、次の(1)ないし(6)の各請求をするとともに、Y社の企業内労働組合であるZ組合に対し、次の(6)の請求をする事案である。
(1)Xらが、未払の時間外割増賃金等がある旨主張して、雇用契約に基づき、各Xらの別紙集計表(原告主張版)E欄記載の各未払残業代+遅延損害金の支払の請求
(2)Xらが、Y社に引越事故責任賠償金名目で負担させられた金員について、法律上の原因を欠く旨主張して、不当利得に基づき、X1が24万9500円、X3が37万1500円、X2が26万4500円の各返還+遅延損害金の支払の請求
(3)X1及びX2が、未払の通勤手当がある旨主張して、雇用契約に基づき、未払の通勤手当として、X1が38万3120円、X2が13万円の各支払+遅延損害金の支払の請求。なお、X2については、予備的に、アルバイトに通勤手当を支給しない旨の規定は労働契約法20条(平成30年7月6日法律第71号による改正前のもの。以下同じ。)に違反すると主張して、不法行為に基づき、損害賠償金13万円(通勤手当相当額)+遅延損害金の支払の請求
(4)X3が、Y社からは業務用携帯電話の支給がなく、個人で業務専用の携帯電話を使用していたが、この携帯電話料金はY社が負担すべきであると主張して、不当利得に基づき、4万9563円の返還+遅延損害金の支払の請求
(5)労基法114条に基づき、本件提訴日である平成29年10月10日から2年以内の上記未払割増賃金等と同額とXらが主張する付加金(X1につき38万2696円、X3につき56万3629円、X2につき52万1953円)の支払+遅延損害金の支払の請求
(6)Xらが、XらはZ組合に加入しておらず、組合費の控除について同意していないのに、賃金から組合費の控除が行われ、これがZ組合に支払われていたと主張して、Y社に対しては、雇用契約に基づき、未払の賃金として、平成27年3月分以降に賃金から控除された金員(X1が1万7000円、X3及びX2が各2万4000円)の支払+遅延損害金の支払の請求。
Z組合に対しては、不当利得に基づき、入社時から退職時までに賃金から控除されてZ組合に支払われた金員(X1が5万3000円、X3が7万3000円、X2が4万8000円)の各返還+遅延損害金の支払の請求

【裁判所の判断】

(1)Y社は、X1に対し、29万6517円+遅延損害金を支払え。
 (2)Y社は、X1に対し、24万9500円+遅延損害金を支払え。
 (3)X1のY社に対するその余の請求をいずれも棄却する。
(1)Y社は、X3に対し、31万6746円+遅延損害金を支払え。
 (2)Y社は、X3に対し、37万1500円+遅延損害金を支払え。
 (3)X3のY社に対するその余の請求をいずれも棄却する。
(1)Y社は、X2に対し、47万0070円+遅延損害金を支払え。
 (2)Y社は、X2に対し、26万4500円+遅延損害金を支払え。
 (3)X2のY社に対する通勤手当に係る主位的請求を棄却する。
  Y社は、X2に対し、13万円+遅延損害金を支払え。
 (4) 原告X2の被告会社に対するその余の請求をいずれも棄却する。
 XらのZ組合に対する請求をいずれも棄却する。

【判例のポイント】

1 Y社通勤手当支給規程によれば、通勤手当の受給にはその申請が必要であり、支給漏れがある場合に遡って受給することができるのは過去3か月分に限定されるところ、X1がこの通勤手当の受給申請をしておらず、かつ、X1の本訴請求に係る通勤手当が上記遡及可能期間を徒過していることは明らかである。これに対し、X1は、a支店においては、被告通勤手当支給規程を含む就業規則は、X1を含む労働者に周知されておらず、Y社通勤手当支給規程に定められた受給申請の手続をX1が履践していないことを理由に、Y社が通勤手当の支給を拒絶することは権利の濫用であり認められないなどと主張するが、Y社においては、少なくとも新入社員研修の際には、通勤手当の申請手続が説明されており、通勤手当制度の存在及びその受給のための手続が周知されていないということはできないし、Y社において、通勤手当について従業員に対し虚偽の事実を告げたり、通勤手当の申請を行わないよう不当な圧力を加えたりしたという事情も特段うかがわれないことを踏まえれば、X1に通勤手当を支給しなかったことを権利の濫用などということはできない
したがって、X1の通勤手当の請求は理由がない。

2 X2は、正社員等とアルバイトとの間で通勤手当の支給に関して相違を設けることは不合理であり、労働契約法20条に違反する旨主張し、主位的に雇用契約に基づく賃金として、予備的に不法行為に基づく損害賠償として、通勤手当ないしそれと同額の損害賠償を請求する。
この点について検討すると、同条が有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違は「不合理と認められるものであってはならない」と規定していることや、その趣旨が有期契約労働者の公正な処遇を図ることにあること等に照らせば、同条の規定は私法上の効力を有するものと解するのが相当であるが、有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が同条に違反する場合であっても、同条の効力により当該有期契約労働者の労働条件が比較の対象である無期契約労働者の労働条件と同一のものとなるものではないと解するのが相当である。
そうすると、非正規従業員給与規程には、アルバイトに通勤手当を支給すると解釈する根拠となる規定がない以上、アルバイトであるX2に通勤手当を支給することが同人の労働契約の内容となるとはいえないから、その余の点を検討するまでもなく、X2の雇用契約に基づく賃金請求は認められない。

3 X2の予備的請求である、不法行為に基づく通勤手当と同額の損害賠償請求の可否について検討する。労働契約法20条にいう「期間の定めがあることにより」とは、有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が期間の定めの有無に関連して生じたものであることをいうものと解するのが相当であるところ、本件において、通勤手当に係る労働条件の相違は、正社員とアルバイトとでそれぞれ異なる就業規則(給与規程)が適用されることにより生じているものであることに鑑みれば、当該相違は期間の定めの有無に関連して生じたものであるということができる。したがって、正社員とアルバイトの通勤手当に関する労働条件は、同条にいう期間の定めがあることにより相違している場合に当たるということができる。
そして、Y社における通勤手当は、通勤に要する交通費を補填する趣旨で支給されるものと認められるところ、労働契約に期間の定めがあるか否かによって通勤に要する費用が異なるものではない。また、職務の内容及び配置の変更の範囲が異なることは、通勤に要する費用の多寡とは直接関連するものではない。その他、通勤手当に差異を設けることが不合理であるとの評価を妨げる事情もうかがわれない。
したがって、Y社における、正社員とアルバイトであるX2との間における通勤手当に係る労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当であり、このような通勤手当制度に基づく通勤手当の不支給は、X2に対する不法行為を構成する。

通勤手当については上記判断で落ち着いています。

まだ対応していない会社は顧問弁護士に相談しながら速やかに制度変更に着手してください。

同一労働同一賃金16 嘱託職員の基本給・賞与と同一労働同一賃金(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、嘱託職員と正社員との基本給・賞与の相違と労契法20条に関する裁判例を見てみましょう。

トーカロ事件(東京地裁令和2年5月20日・労判ジャーナル102号2頁)

【事案の概要】

本件は、金属等の表面処理加工等を業とするY社(従業員560名)に1年の期間の定めのある労働契約により雇用され、21回の更新を経ている女性従業員Xが、期間の定めのない労働契約を締結した正社員と業務の内容等が同一であったにもかかわらず、基本給及び賞与が正社員よりも低額であり、地域手当を支給されなかったことが労働契約法20条に違反するとして、Y社に対し、主位的には労働契約による賃金請求権、予備的には不法行為による損害賠償請求権に基づき、金員の支払いなどを請求した事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Aコース正社員と嘱託社員との間には、担当業務の範囲が限定され、役職への就任及び管理職への昇任が予定されていないなどの共通点がある。しかし、嘱託社員の担当業務はその一部に限られ、担当業務の範囲に相違がある上、Aコース正社員には職能資格制度が採用され、同制度を通じた職務遂行能力の向上、教育、評価等が予定されているのに対し、嘱託社員には同制度が採用されていないという点でも相違があり、人事評価の対象、項目及び評価方法並びに採用手続も異なっている。このように、Aコース正社員と嘱託社員とは、担当業務の範囲、期待される能力や役割に一定の相違がある

2 地域手当は、初任給の額が全国一律であるという正社員固有の賃金制度に由来する問題を解消するための手当ということができる。これに対し、嘱託社員の賃金は、採用の目的等を勘案して個別決定され、家賃の高さその他の各嘱託社員の居住地域固有の事情も考慮して、採用した地区ごとに賃金額を決定することも可能である上、転勤も予定されていないことに照らせば、嘱託社員には、初任給額が全国一律であることから生じた関東地区における正社員の安定的確保という地域手当の支給に係る事情は妥当しない
以上に判示した地域手当導入の趣旨や労使交渉を経て同手当が廃止された経緯を総合すると、Aコース正社員と嘱託社員との間における地域手当の相違は、不合理であると評価することはできない。

各種手当については、当該手当の趣旨から合理的な説明ができるかがポイントです。

趣旨がよくわからない手当は合理性の説明が難しいので注意が必要です。

合理的説明のしかたについては顧問弁護士に相談をしてください。

同一労働同一賃金15 専任教諭と常勤講師との間の同一労働同一賃金問題(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、長期間継続していた定期昇給の慣行が法的拘束力を有すると判断された裁判例を見てみましょう。

学校法人明泉学園事件(東京地裁令和元年12月12日・労経速2417号3頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、平成3年4月1日、Y社との間で期間の定めのある教員である専任講師(常勤講師)として労働契約を締結して勤務を継続したが、上記労働契約の期間の定めは無効であるなどとして、Xは期間の定めのない教員である専任教諭の地位にあった旨主張し、Y社に対し、労働契約に基づき、平成28年9月から平成30年3月まで期間の定めのない専任教諭として別紙1専任教諭賃金表の適用を受ける地位にあったことの確認を求めるとともに、同賃金表の適用を受けることを前提として、又は、仮にXが専任教諭の地位になかったとしても、Xと専任教諭との間における賃金格差は労働契約法20条等に反し無効であるか若しくは専任講師(常勤講師)について基本給が定期昇給する労使慣行が存在するなどと主張して、労働契約に基づき、Xが専任教諭であった場合に平成25年4月から平成30年3月までに支払われるべきであった賃金と同期間に実際に支払われた賃金との差額である別紙3請求債権目録の賃金差額相当損害金欄の各請求債権額欄記載の金員の合計額1080万6480円+遅延損害金の支払を求め、また、Y社がXと専任教諭との間に賃金格差を設けたことはXに対する不法行為であるとして、不法行為による損害賠償請求権に基づき、前同様の差額1080万6480円+遅延損害金の支払を選択的に求めるとともに、弁護士費用として同差額の10パーセント相当の108万0648円+遅延損害金の支払を求め、さらに、Y社はXの専任教諭として扱われることへの期待を破壊するなどしてXの人格権を侵害したとして、不法行為による損害賠償請求権に基づき、慰謝料500万円+遅延損害金並びに弁護士費用として同慰謝料の10パーセント相当の50万円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

1 Xが平成28年9月から平成30年3月までY社との間で期間の定めのない雇用契約関係にある専任教諭として別紙1専任教諭賃金表の適用を受ける地位にあったことの確認を求める部分に係る訴えを却下する。

2 Y社はXに対し、958万2000円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Z1高校においては、遅くとも平成10年度までに、勤務形態の変更、就業規則所定の昇給停止年齢への到達、病気等による長期欠勤その他の特別の事情がない限り、常勤講師を含む全教員を、翌年度も契約が更新され又は継続する限り、毎年度少なくとも1号俸ずつ定期昇給させることが事実として慣行となっていたことが認められ、Y社の代表者理事長を含む労使双方が、同慣行を規範として意識し、これに従ってきたとみることができる、そうすると、同慣行は、遅くとも同年度の時点で、法的拘束力を有する労使慣行となっていたものというべきである。

2 専任教諭は、長期間の雇用が制度上予定されている上、管理職を含めた各役職の大部分に就いて重い職責を負っており、重要な業務を担っていたのに対し、常勤講師は、長期間の雇用が制度上予定されていなかっただけでなく、管理職を含めた各役職の職責を恒常的に担うことも予定されておらず、重要業務のうち担当しないものもあることが認められ、無期契約労働者である専任教諭と有期契約労働者である常勤講師のそれぞれについて基本給をどのように設定するかにおいて考慮すべき各事情に相当な差異があるものというべきである。以上の事情に加え、専任教諭と常勤講師との調整手当の差額が基本給の3パーセントにとどまることも併せ考慮すれば、Xを含む常勤講師が教科教育、クラス担任、クラブ活動の指導等について専任教諭と同様の職務に従事していたことなどの事情を考慮しても、Xを含む常勤講師と専任教諭との間の調整手当の相違は、不合理であると評価することはできないから、労契法20条にいう不合理と認められるものには当たらないというべきである。

珍しく労使慣行に法的拘束力が認められました。

この論点は、思っている以上にハードルが高いので注意が必要です。

また、労契法20条の論点は、コツをしっかり掴んでポイントを押さえることがとても大切です。

顧問弁護士のアドバイスの下、正しく労務管理を行えば、それほど恐れる必要はありません。

同一労働同一賃金14 大学非常勤講師と専任教員との間の同一労働同一賃金問題(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、大学非常勤講師への賞与、家族手当、住宅手当等の不支給が労働契約法20条に違反しないとされた裁判例を見てみましょう。

学校法人C事件(東京地裁令和元年5月30日・労経速2398号3頁)

【事案の概要】

本件は、C大学等を設置し、運営する学校法人であるY社との間で期間の定めのある労働契約を締結し、当該労働契約に基づいて本件大学の非常勤講師として現に就労しているXが、Y社との間で期間の定めのない労働契約を締結している本件大学の専任教員との間に、本俸の額、賞与、年度末手当、家族手当及び住宅手当の支給に関して、労働契約法第20条の規定に違反する労働条件の相違がある旨を主張して、Y社に対し、不法行為に基づく損害賠償請求として、本件大学の専任教員に適用される就業規則等により支給されるべき賃金と実際に支給された賃金との差額の合計2308万8614円+遅延損害金並びに弁護士費用相当額230万8861円+遅延損害金の支払を求めるとともに、本件大学の法学部長であったY社補助参加人らがXを本件大学の専任教員として採用することを約束したことにより、XとY社がXを本件大学の専任教員として雇用することについての契約締結段階に入ったにもかかわらず、Y社が上記の約束を破棄した等と主張して、Y社に対し、主位的には債務不履行に基づく損害賠償請求として、予備的には不法行為に基づく損害賠償請求として、慰謝料500万円及び弁護士費用相当額50万円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xと専任教員との間には、本俸額について約3倍の差があったものと解される。しかしながら、そもそも、非常勤講師であるXと専任教員との間には、その職務の内容に数々の大きな違いがあるものである。このことに加え、一般的に経営状態が好調であるとはいえない多くの私立大学において教員の待遇を検討するに際しては、国からの補助金額も大きな考慮要素となると考えられるところ、専任教員と非常勤教員とでは補助金の基準額の算定方法が異なり、その額に相当大きな開きがあることや、Xを含む本件大学の非常勤講師の賃金水準が他の大学と比較しても特に低いものであるということができないところ、本件大学においては、団体交渉における労働組合との間の合意により、非常勤講師の年俸額を随時増額するのみならず、廃止されたコマについても給与額の8割の支給を補償する内容の本件非常勤講師給与規則第3条5項を新設したり、Xのように週5コマ以上の授業を担当する非常勤講師について私学共済への加入手続を行ったりするなど、非常勤講師の待遇についてより高水準となる方向で見直しを続けており、Xの待遇はこれらの見直しの積み重ねの結果であることからすると、Xが本件大学においてこれまで長年にわたり専任教員とほぼ遜色ないコマ数の授業を担当し、その中にXの専門外である科目も複数含まれていたことなどといったXが指摘する諸事情を考慮しても、Xと本件大学の専任教員との本俸額の相違が不合理であると評価することはできないというべきである。

2 Y社は、本件大学の専任教員のみに対して賞与及び年度末手当を支給していたものである。しかしながら、これらは、Y社の財政状態及び教職員の勤務成績に応じて支給されるものであるところ、上記において指摘した各事情に加え、本件大学の専任教員が、授業を担当するのみならず、Y社の財政状況に直結する学生募集や入学試験に関する業務を含む大学運営に関する幅広い業務を行い、これらの業務に伴う責任を負う立場にあること(それ故に、本件大学の専任教員は、Y社との間の労働契約上、職務専念義務を負い、原則として兼職が禁止されている。また、大学において一定数以上の専任教員を確保しなければならないとされていることも、専任教員がその他の教員と異なる重要な職責を負うことの現れであるということができる。)からすると、Y社において、本件大学の専任教員のみに対して賞与及び年度末手当を支給することが不合理であると評価することはできないというべきである。

私立学校という特殊性が考慮されているので、この判断をそのまま民間企業にあてはめることは難しいですが、この分野の考え方の参考にはなります。

この分野は判断が難しいので顧問弁護士に相談しながら対応しましょう。

同一労働同一賃金13 有給の病気休暇・休職制度に関する同一労働同一賃金問題(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。
37日目の栗坊トマト。成長期真っただ中です!

今日は、有給の病気休暇及び休職制度に関する相違が労働契約法20条に違反しないとされた裁判例を見ていきましょう。

日本郵便(休職)事件(東京高裁平成30年10月25日・労経速2386号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の期間雇用社員として雇用されていたXが、Y社が平成27年9月30日付けでしたXに対する雇止めが違法かつ無効であるとして、Y社に対し、雇用契約に基づき、①雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、②平成27年10月から本判決確定の日までの賃金として毎月24日限り26万2565円+遅延損害金の支払、③平成28年から本判決確定の日までの臨時手当として毎年6月30日及び12月10日限り各9万0909円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

原審は、Xの請求をいずれも棄却し、Xが控訴した。

【裁判所の判断】

控訴棄却

【判例のポイント】

1 病気休暇は、労働者の健康保持のため、私傷病によって勤務することができない場合に療養に専念させるための制度であり、正社員の病気休暇に関し、これを有給のものとしている趣旨は、正社員として継続して就労をしてきたことに対する評価の観点、今後も長期にわたって就労を続けることによる貢献を期待し、有為な人材の確保、定着を図るという観点、正社員の生活保障を図るという観点によるものと解することができ、一般職の職務の内容等について、前記において説示したところに照らしても、一定の合理的な理由があるものと認められる。これに対し、時給制契約社員については、期間を6か月以内と定めて雇用し、長期間継続した雇用が当然に想定されるものではなく、上記の継続して就労をしてきたことに対する評価の観点、有為な人材の確保、定着を図るという観点が直ちに当てはまるものとはいえない。また、社員の生活保障を図るという観点について、上記認定の事情から判断することは難しいものの、Y社においては、期間雇用社員の私傷病による欠務について、私傷病による欠務の届出があり、かつ診断書が提出された場合には、承認欠勤として処理されており、欠勤ではあるものの無断欠勤ではなく、問責の対象としない取扱いがされており、Xについても、これに従って手続がされている。そして、このような場合に、社会保険に加入している期間雇用社員については、一定の要件の下で傷病手当金を受給することができるため、著しい欠務状況でない限り、事実上は、ある程度の金銭的補てんのある療養が相当な期間にわたって可能な状態にあるという事情があるものと認められる。
以上によれば、Y社において、正社員について90日又は180日までの有給の病気休暇を付与し、時給制制約社員については10日の無休の病気休暇を認めるのみであることについて、その相違が、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情に照らして、不合理であると評価することができるとまではいえない

2 さらに、休職制度の有無についても、正社員に関しては、前記に説示したところと同様の理由により、有為な人材の確保、定着を図るという観点から制度を設けているものであり、合理性を有するものと解されるところ、時給制契約社員については、6か月の契約期間を定めて雇用され、長期間継続した雇用が当然に想定されるものではないのであり、休職制度を設けないことについては、不合理なこととはいえない
したがって、この点に関しても、その相違は、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情に照らして、不合理であると評価することができるとまではいえないというべきである。

病気休暇と休職制度に関する判断です。

この分野は判断が難しいので、顧問弁護士に相談しながら慎重に対応しましょう。

同一労働同一賃金12 正社員と嘱託社員との間における同一労働同一賃金問題(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、不合理な労働条件の相違に基づく損害賠償等請求に関する裁判例を見てみましょう。

日本ビューホテル事件(東京地裁平成30年11月21日・労判ジャーナル85号46頁)

【事案の概要】

本件は、Y社を定年退職後にY社との間で期間の定めのある労働契約を締結していた元従業員Xが、当該有期労働契約と定年退職前の期間の定めのない労働契約における賃金額の相違は、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違であり労働契約法20条に違反するとして、Y社に対し、不法行為による損害賠償請求として定年退職前後の賃金の差額相当額約688万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xの定年退職時と嘱託社員及び臨時社員時の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(職務の内容)は大きく異なる上、職務の内容及び配置の変更の範囲にも差異があるから、嘱託社員及び臨時社員の基本給ないし時間給と正社員の年俸の趣旨に照らし、Xの嘱託社員及び臨時社員時の基本給及び時間給が定年退職時の年俸よりも低額であること自体不合理ということはできず、そして、その他の事情についてみるに、定年退職時の年俸額はその職務内容に照らすと激変緩和措置として高額に設定されている上、正社員の賃金制度は長期雇用を前提として年功的性格を含みながら様々な役職に就くことに対応するように設計されたものである一方で、嘱託社員及び臨時社員のそれは長期雇用を前提とせず年功的性格を含まず、原則として役職に就くことも予定されておらず、その賃金制度の前提が全く異なるのであり、このような観点からみても、正社員時の賃金額と嘱託社員及び臨時社員時の賃金額に差異があること自体をもって不合理といえないことは明らかであること等から、Xの定年退職時の年俸の月額と嘱託社員及び臨時社員時の基本給及び時間給の月額との相違が不合理であると認めることはできず、これをもって労働契約法20条に違反するということはできない。

このように両者の業務内容等の相違点について合理的に説明ができる場合には労働条件の相違があっても法的に許容されます。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

同一労働同一賃金11 アルバイト職員への賞与不支給と同一労働同一賃金問題(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、有期契約労働者(アルバイト職員)への賞与不支給の違法性に関する裁判例を見ていきましょう。

大阪医科薬科大学(旧大阪医科大学)事件(大阪高裁平成31年2月15日・ジュリ1530号4頁)

【事案の概要】

本件は、期間の定めのある労働契約を締結してY社において勤務していたXが、期間の定めのない労働契約をY社と締結している労働者(以下「無期契約労働者」という。)とXとの間で、基本給、賞与、年末年始及び創立記念日の休日における賃金支給、年休の日数、夏期特別有給休暇、業務外の疾病(私傷病)による欠勤中の賃金、附属病院の医療費補助措置に相違があることは労働契約法20条に違反すると主張して、Y社に対し、不法行為に基づき、差額に相当する額等合計1272万1811円の損害賠償金及びこれに対する原審における請求の趣旨変更の申立書送達の日の翌日である平成28年4月29日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

原判決は、Xの請求をいずれも棄却したので、Xが本件控訴を提起した。

【判例のポイント】

1 Y社が正社員に年2回(1年で概ね基本給の4.6か月分)支給している賞与の支給額は、正職員全員を対象とし、基本給のみに連動するもので、従業員の年齢や成績に連動するものではなく、Y社の業績にも一切連動していない。このような支給額の決定方法を踏まえると、Y社における賞与は、賞与算定期間に就労していたこと自体に対する対価としての性質を有し、そこには賞与算定期間における一律の功労の趣旨も含まれるとみるのが相当である。そうである以上、同様にY社に在籍し就労していた、とりわけフルタイムのアルバイト職員に対し、賞与を全く支給しないことに合理的な理由を見出すことは困難であり、不合理というしかない
もっとも、Y社の賞与には、功労、付随的にせよ長期就労への誘因という趣旨が含まれ、使用者の経営判断を尊重すべき面があることも否定し難い。さらに、正職員とアルバイト職員とでは、実際の職務も採用に際し求められる能力にも相当の相違があり、アルバイト職員の賞与算定期間における功労も相対的に低いことは否めない。これらのことからすれば、正社員のうち平成25年4月に採用された者と比較し、その者の賞与の支給基準の60%を下回る支給しかしない場合は不合理な相違というべきである。

2 夏期特別有給休暇の趣旨は、体力的に負担の大きい夏期に休暇を付与し心身のリフレッシュを図らせることにある。アルバイト職員であってもフルタイムで勤務している者は、夏期に疲労を感ずることは想像に難くなく、正職員と同様の夏季特別有給休暇を付与しないことは不合理というほかない。

3 Y社の正職員の私傷病による欠勤時に支給される賃金(6か月間は賃金全額、6か月経過後は標準賃金の2割の休職給)の趣旨は、長期継続就労を評価・期待し生活保障を図る点にある。契約を更新して一定期間継続就労し、Y社に一定の貢献をしているアルバイト職員にも、生活保障の必要性があることは否定し難く、私傷病による欠勤中に賃金を支給しないことに合理性があるとはいい難い。もっとも、その契約期間は更新があるとしても1年が原則であり、当然に長期雇用が前提とされているわけではないことから、私傷病による賃金支給につき1か月分、休職給の支給につき2か月分(合計3か月、雇用期間1年の4分の1)を下回る支給しかしないときは不合理というべきである

4 年末年始や創立記念日の休日の賃金については、正職員の月給制、アルバイト職員は時給制を採用したことの帰結にすぎず、不合理とはいえない。年休の日数に1日の相違が生ずることも、不合理な相違とはいえない。附属病院受診の際の医療費補助措置は、恩恵的な措置であって労働条件に含まれるとはいえず、不合理な労働条件の相違とはいえない。

前回に引き続き、労契法20条関連の裁判例です。

同種の訴訟が全国で頻発しており、まだまだ落ち着く気配はありません。

今後、どのように対応していくべきかについてはいまだ正解がないため、過去の裁判例に照らして、弁護士等と相談しながら検討するほかありません。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

同一労働同一賃金10 正社員と臨時職員との間の同一労働同一賃金問題(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、正社員との基本給の相違が労働契約法20条に反するとした裁判例を見てみましょう。

学校法人産業医科大学事件(福岡高裁平成30年11月29日・労経速2370号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の臨時職員であるXが、使用者であるY社に対し、両者間の労働契約に係る賃金の定めが有期労働契約であることによる不合理な労働条件であって、無期労働契約を締結している労働者(正規職員)との間で著しい賃金格差が生じており、労働契約法20条及び公序良俗に違反するとして、不法行為に基づき、損害金824万0750円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

原判決は、Xの請求を棄却したところ、Xが控訴をした。

【裁判所の判断】

原判決を変更する。
→Y社はXに対し、113万4000円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 これらの事情を総合考慮すると、臨時職員と対照職員との比較対象期間及びその直近の職務の内容並びに職務の内容及び配置の各変更の範囲に違いがあり、Xが大学病院内での同一の科での継続勤務を希望したといった事情を踏まえても、30年以上の長期にわたり雇用を続け、業務に対する習熟度を上げたXに対し、臨時職員であるとして人事院勧告に従った賃金の引き上げのみであって、Xと学歴が同じ短大生の正規職員が管理業務に携わるないし携わることができる地位である主任に昇格する前の賃金水準すら満たさず、現在では、同じ頃採用された正規職員との基本給の額に約2倍の格差が生じているという労働条件の相違は、同学歴の正規職員の主任昇格前の賃金水準を下回る3万円の限度において不合理であると評価することができるものであり、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。

2 Xは、Y社と正規職員との俸給の差は不合理なものであるから、本件労働契約における賃金の定めが公序良俗に反すると主張するが、労働者の賃金の定めに関する労働条件は、労働者の職務内容及び変更範囲により一義的に定まるものではなく、使用者は、雇用及び人事に関する経営判断の観点から、労働者の職務内容及び変更範囲にとどまらない様々な事情を考慮して、労働者の賃金に関する労働条件を検討するものということができるというのが相当である。そして、労働者の賃金に関する労働条件の在り方については、基本的には、団体交渉等による労使自治に委ねられるべき部分が大きいということができ、前記認定事実に加え証拠によれば、Y社は、団体交渉を経て、臨時職員の退職金についての労働条件を一部改善し、また、平成25年4月からは嘱託職員への切り替えによる3万円の基本給引上げも実施したことが認められ、これらからすれば、Xが主張する事情から、本件労働契約における賃金の定めが公序良俗に反するということはできない

高裁判決ですが、労契法20条に関する裁判例はまだもう少しの間、揺れ動くでしょう。

個々の事案ごとの判断が求められるため、前の2つの最高裁判決が出ても一向に判断が落ち着く気配がありません。

もう少し様子をみるほかないでしょう。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

同一労働同一賃金9 特別休暇に関する同一労働同一賃金問題(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、特別休暇について労働契約法20条に違反するとされた裁判例を見てみましょう。

日本郵便(佐賀)事件(福岡高裁平成30年5月24日・労経速2352号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で、有期労働契約を締結し,同社の運営する郵便局(本件郵便局)において、所属課の上司の下で郵便の集配業務に従事し、平成26年1月22日をもって退職したと主張するXが、①基本賃金・通勤費、②祝日休、③早出勤務等手当、④夏季・年末手当、⑤作業能率評価手当、⑥外務業務手当、⑦特別休暇(夏季休暇・冬期休暇)の付与の有無に関する正社員との相違について、労働契約法20条に違反し不法行為が成立するとして損害賠償を求めるなどした事案である。

【裁判所の判断】

特別休暇については不合理な相違である。

【判例のポイント】

1 夏期及び冬期休暇が、主としてお盆や年末年始の慣習を背景にしたものであることに照らすと、かかる休暇が正社員に対し定年までの長期にわたり会社に貢献することへのインセンティブを与えるという面を有しているとしても、そのような時期に同様に就労している正社員と時給制契約社員との間で休暇の有無に相違があることについて、その職務内容等の違いを理由にその相違を説明することはできず、制度として時給制契約社員にこれが全く付与されないことについては、不合理な相違であるといわざるを得ない。
 時給制契約社員は、正社員と異なり当該期間が当然に勤務日となっているわけではなく、勤務日と指定されたとしても、当該期間中にその全てが正社員と同程度の日数の勤務に従事するとは限らないが、上記のとおりの休暇が設けられた趣旨を踏まえれば、正社員の夏期特別休暇に在籍日要件が設けられているように、当該期間中の実際の勤務の有無や、平均的な勤務日数などの要件を付加した上で、時給制契約社員に対し、正社員に比して一定割合の日数を付与するという方法も考えられるところであって、当該期間中に実際に勤務したにもかかわらず、正社員と異なりおよそ特別休暇が得られないというのはやはり不合理な相違といわざるを得ない。
Xが所属する労働組合と、Y社との間では、平成19年10月22日付けで、期間雇用社員の休暇に関し労働協約が締結されており、そこには夏期・年末年始休暇についての定めはないものの、そのことだけでは、不合理性を否定することはできないというべきである。
そして、本件においては、前記認定のとおり、Xが正社員とほぼ同程度の勤務日数、勤務時間で就労していたと認められることに照らすならば、Xに対しては、同程度の休暇を付与するのが相当であったというべきである
したがって、労働契約法20条が制定された平成25年4月以降、Y社が、Xに対しかかる休暇取得の機会を与えなかったことは、同条に反し、Xに対する不法行為に当たるというべきである。

労働契約法20条に関する新たな裁判例です。

上記①~⑦のうち、⑦に関する相違のみが違法とされています。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

同一労働同一賃金8 賞与の支給額の差異と同一労働同一賃金問題(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、賞与の支給額の差異について労働契約法20条違反が否定された裁判例を見てみましょう。

医療法人A会事件(新潟地裁平成30年3月15日・労経速2347号36頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に非正規(有期雇用契約)職員として雇用されていたXが、雇用期間中、正規(無期雇用契約)職員には冬期賞与として基本給2か月分の賞与が支給されるのと異なり、非正規職員には冬期賞与として基本給1か月分の賞与しか支給されないという相違があることが、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止を定めた労働契約法20条に違反すると主張して、同条に基づき、冬期賞与として支給されるべき賞与と実際に支給された賞与との差額である基本給1か月分の給与相当額17万5000円+遅延損害金の支払を求める事案である。

原審がXの請求を認容したところ、Y社が控訴した。

【裁判所の判断】

原判決を取り消す。
→請求棄却

【判例のポイント】

1 賞与には、一般に労働の対価としての意味だけでなく、功労報償的意味及び将来の労働への意欲向上策としての意味があるとされ、勤怠査定に基づいて算定されるY社における正規職員の賞与についても同様の意味合いが認められる。期間の定めがなく長期雇用を前提とし、将来にわたる勤務の継続が期待される正規職員に対し、労働に対するモチベーションや業績に対する貢献度の向上を期待してインセンティブ要素を付与することには、一定の人事施策上の合理性が認められるから、期間の定めがあり、将来にわたる勤務の継続が期待される雇用形態となっていない非正規職員との間で相違を設けること自体が不合理であるということはできない。そして、Y社においては、正規職員には、賞与を基本配分と成績配分に区分し、成績配分の額により支給総額が増減する仕組みとする一方、非正規職員には、個別労働契約によって支給額を定額化し、成績配分の額により支給総額が増減することのない仕組みとしているところ、かかる取扱いが不合理ということはできない。
また、その相違の程度についてみると、Y社において平成27年度に事務職員に対して支給された冬期賞与の額は、正規職員は平均で基本給2.1か月分、非正規職員は一律で基本給1か月分であり、その差額は基本給約1か月分にすぎず、実際に非正規職員であったXに支給された冬期賞与とY社が正規職員の常勤Iであった場合に支給される冬期賞与の差額は、17万5000円程度であり、Xによれば、Xを常勤Iで採用したと想定した場合に得られる年間収入見込額とXが現実に得た収入額の差はほぼ賞与の差によるものであるところ、その割合は約8.25パーセントというのであるから、賞与の前記目的に沿った相違として合理的に認められる限度を著しく超過しているとはいえない。したがって、Y社が、賞与について、正規職員と非正規職員との間で前記相違を設定したことが不合理であるとは認められず、労働契約法20条に違反するとはいうことはできない。

上記判例のポイント1の理由はさておき、賞与については労働契約法20条違反になりにくいことはこれまでの裁判例の流れですね。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。