Daily Archives: 2014年5月1日

解雇137(イーハート事件)

おはようございます。 

さて、今日は、パチスロ店アソシエイトの解雇の有効性と反訴損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

イーハート事件(東京地裁平成25年4月24日・労判1084号84頁)

【事案の概要】

Y社は、Xに対し、Xが平成22年6月頃、本件店舗の高設定台の情報を顧客に漏えいしたことを理由に、同年7月16日付で懲戒解雇した。

Xは、本件情報漏洩をしておらず、本件懲戒解雇が無効であると主張し地位確認等を求め、合わせて時間外手当の支払いを求めて本訴を提起し、他方、Y社は、Xが本件情報漏洩をしたことを前提に、これによってY社が損害を被ったと主張し、不法行為に基づく損害賠償を求めて反訴を提起した事案である。

【裁判所の判断】

懲戒解雇は無効

Y社に対し、慰謝料100万円、未払残業代約150万円及び同額の付加金の支払いを命じた

反訴請求はいずれも棄却

【判例のポイント】

1 Xの聴取は、本社地下会議室で、C及びD2名によって行われた。同月4日は、午後7時頃から午後11時頃まで、翌5日は午前11時頃から午後7時ころまで行われ、Xは、翌5日の午後、本件上申書等を作成するに至った。C及びDのXに対する調査は、C自身、約90%、100%、Xが本件情報漏洩を行ったと考えていたと証言しており、他の可能性や、共犯の可能性について、十分吟味した調査であったとは認められない
Xは、上記2日間の長時間にわたる、またXが本件情報漏洩を行ったものであるとの前提にたった聴取の中で、本件上申書等の作成に至ったものとうかがわれる
そして、Y社は、同日より後、Xに対する更なる聴取や本件上申書等の裏付け調査等を行うことなく、同月16日、本件懲戒解雇の意思表示をした。 

2 本件上申書等は、裏付けがないことや、記載内容、作成経緯等に照らし、信用することができない。そして、Y社は、本件上申書等の作成以外に、X及び外の従業員に対する更なる聴取調査等の調査を尽くしておらず、本件全証拠によっても、Xが本件情報漏洩を行ったと認めるに足りない。Y社は、本件情報漏洩以外にも懲戒事由に該当する事実を主張しているが、これらの事実を前提としても、これらの行為の性質、態様等に照らし、懲戒解雇とすることは重きに失するといわざるを得ず、結局、本件懲戒解雇は無効というべきである。

3 Y社の本件懲戒解雇に対する調査は、本件上申書等を作成させた以外に、Xに対する更なる調査を行うことなく、十分な裏付けも行っていないというもので、かかる調査状況に鑑みれば、本件懲戒解雇は不法行為の違法性を帯びるというべきである。Xは、本件懲戒解雇によって突然に職を奪われ、その後の安定した生活の途を絶たれ、多大な精神的苦痛も被ったものと認められる。以上を総合考慮すると、不法行為に基づく損害賠償として、慰謝料100万円を認めることが相当である。

懲戒解雇に限らず、例えば、セクハラ・パワハラ等でもそうですが、一方当事者が事実を否認する場合は、特に慎重に調査をする必要があります。

「こいつがやったに違いない!」という決め付けは、取り除かなければなりません。

先入観を持たず、公平な立場から調査をし、「裏付け」をとる必要があることがよくわかりますね。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。