Daily Archives: 2014年5月23日

有期労働契約45(大阪運輸振興(嘱託自動車運転手・解雇)事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

さて、今日は、運転手としての適格性欠如を理由とする期間途中の解雇に関する裁判例を見てみましょう。

大阪運輸振興(嘱託自動車運転手・解雇)事件(大阪地裁平成25年6月20日・労判1085号87頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に嘱託社員(自動車運転手)として1年の期間で雇用されていたXが、期間途中の平成23年6月29日に解雇されたのが無効であるとして、労働契約上の地位確認及び解雇後の賃金の支払を請求する事案である。

【裁判所の判断】

解雇は無効

【判例のポイント】

1 本件解雇は、期間の定めのある労働契約の期間途中における解雇であるから、労働契約法17条1項により、やむを得ない事由がなければ無効となる。また、同条項にいう「やむを得ない事由」は、期間の定めのない労働契約における解雇に関する労働契約法16条の要件よりも厳格なものと見るべきであり、期間満了を待つことなく直ちに雇用を終了させざるを得ないような特別の重大な事由を意味すると解するのが相当である。

2 ・・・本件事故は、発信直後の車内で急に本件女性客が歩き始めたことから、安全確保のため、やむなくバスを停止させた際、本件乗客が転倒したというものであって、Xに特段の落ち度は認められず、転倒の原因がひとえにXのブレーキ操作にあると認めることもできない上、結果も軽微なものに終わったことに照らすと、本件事故をもってY社の運転手としての不適格性の顕れであるとするY社の主張は理由がない

3 ・・・X運転のバスが前方の停留所に停車するため減速しながら走行中、前方を走行していた原動機付自転車との車間距離が徐々に縮まったところ、原動機付自転車は、前方の停留所に停車中の先行するバスを右側から追い越そうとする挙動を一瞬示したものの、にわかに進路を左に切り返し、よろめくようにX運転のバスの進路を妨害したため、Xが急制動を余儀なくされ、その結果、乗客1名が捻挫の傷害を負ったことが認められる。このような状況からすれば、Xの急制動は、原動機付自転車との衝突を回避するためにはやむを得ない措置であったと認めることができる。確かに、Xは原動機付自転車との車間距離を詰め過ぎていたと評価する余地はあるものの、原動機付自転車が上記のように危険な進路妨害をすることは予見の範囲を超えており、当初挙動を示したように右側へ車線変更して先行するバスの後方に問題なく停車することができたと認められるから、運転手としての適格性を疑わせるほどの過失があるとまでは認められず、また、乗客の負傷の程度が重大であったと認めるに足りる証拠もない

もともと労働者の勤務不良を理由に解雇するのは容易なことではありません。

ましてや有期雇用の期間途中の解雇となるとさらにハードルが高くなります。

小さなミスをたくさん積み重ねても解雇が有効になるわけではありません。

会社の顧問弁護士と相談の上、慎重に対応をしてください。