おはようございます。今週も1週間お疲れ様でした。
今日は、自主退職する旨の書類に署名しないのに合意退職と扱い、解雇でもあるとする会社の主張に対し、いずれも否定したうえ、不法行為が成立するとした事案を見ていきましょう。
CTW事件(東京地裁令和7年6月30日・労経速2600号48頁)
【事案の概要】
本件は、Y社と雇用契約を締結し、Y社において就労していたXが、Y社に対し、【1】上記雇用契約に基づき、令和5年9月21日から同月29日までの未払賃金34万3636円+遅延損害金の支払を求めるとともに、【2】Xが退職の意思表示をしていないにもかかわらず、Y社から退職したものと扱われたことが不法行為を構成し、これにより逸失利益として1296万円、慰謝料として100万円及び弁護士費用相当損害金として139万6000円の各損害がそれぞれ生じたと主張して、不法行為よる損害賠償請求権に基づき、損害合計1535万6000円+遅延損害金の各支払を求める事案である。
【裁判所の判断】
1 Y社は、Xに対し、34万3636円+遅延損害金を支払え。
2 Y社は、Xに対し、356万円+及び遅延損害金を支払え。
【判例のポイント】
1 Xは、令和5年9月29日、Y社を自主的に退職する旨記載された書類に署名せず、また、退職の合意に至っていないにもかかわらず、Y社から、セキュリティカード等の返却を求められ、他の従業員に伴われて退社させられ、就労を求める旨の同日付けの連絡等にも応答してもらえていないことからすれば、Xは、Y社を退職していないにもかかわらず、Y社から、同日付けで退職したものと扱われた(本件解雇)というべきである。
2 Xには当該取扱いによって逸失利益が生じたといえ、その金額は、Xが就職活動に着手した時期及び再就職先での就労開始時期等に照らし、324万円(=108万円/月×3か月)と認めるのが相当である。
また、Xは、本件訴訟を原告訴訟代理人らに委任しているところ、本件事案の内容、性質、審理経過及び認容額等に照らし、Xには当該取扱いによって32万円の弁護士費用相当額の損害が生じたと認めるのが相当である。
なお、Xは、当該取扱い(本件解雇)によって精神的苦痛を被り、金銭の支払をもって慰藉されるべき旨主張するが、本件訴訟に顕れた一切の事情を考慮しても、上記逸失利益の賠償とは別に、さらに賠償すべき精神的損害が生じたと認めることはできず、Xの上記主張を採用することはできない。
不法行為構成のため、上記金額で済んでいますが、バックペイを求められたら、金額はもっと増えていたかもしれません。
日頃から労務管理については、顧問弁護士に相談しながら行うことが大切です。