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【遺産相続㉗】そもそも遺産であるか争いがあるのですが・・・

先日、父が亡くなりました。相続人は、母と兄と私です。父の名義となっている不動産について、兄が自分がお金を出して買ったものであり、便宜上父の名前にしてあっただけなので、自分のものだと主張しています。このような場合、どのようにして遺産分割を行えばいいでしょうか?

1 遺産の範囲を確定することは、遺産分割をするための前提問題の1つです。

2 遺産分割の対象を定める基準時については、相続開始時説と遺産分割時説がありますが、実務は、遺産分割時説を採用しています(東京家審昭和44年2月24日)。

すなわち、遺産分割は共同相続人の共有財産をその相続分に従って公平かつ合理的に分配する制度であり、新たな権利または法律関係を形成することを本質的な目的とするからです。

この立場に立つと、遺産分割時に存在しない遺産は、遺産分割の対象とならないことになります(もっとも、現存しない遺産についても、当事者の合意により、遺産分割の対象とすることは可能です。)。

3 家庭裁判所は、審判の前提要件となる事実ないし権利の存否に関し争いがある場合、審判手続で判断できるか否かについて、最高裁は、判断できると判示しています(最高裁平成41年3月2日判決)。

しかし、実務では、審判には既判力がないため、特定の財産が被相続人の遺産か否かの実体法上の問題については、民事訴訟により確定する必要があることから、申立人に遺産分割申立事件の取下げを促し、訴訟で確定してもらうという運用がなされています。

したがって、質問のケースのように、ある財産が相続財産に含まれる(あるいは含まれない)ことの確認を求める民事訴訟を提起して、裁判所の判断を待ってから遺産分割協議を進めたり、調停や審判を申し立てるとよいでしょう

また、遺産分割調停を行っている場合であっても、このような遺産の範囲について相続人間で争いがある場合には、一旦、調停を取り下げ、地方裁判所に対して遺産確認の訴え等の訴訟を提起することが多いです。


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