「日頃から効果的な予防策の実施」+「不祥事発生時の迅速かつ適切な対応」がキモです。

「企業不祥事」にはさまざまな種類があり、当然、その原因もさまざまです。

これまでに世間を賑わせた企業不祥事には、例えば、製品事故、偽装・不当表示、データ改ざん、不公正な取引、個人情報流出、不正会計・不実開示、インサイダー取引、反社会的勢力との関与、贈賄、業務上横領・背任等があります。

その多くは、いわゆる有名企業での不祥事であり、上場企業における不祥事も数多く存在します。

一般に、中小企業よりはるかにコンプライアンス、ガバナンスが厳格に求められる大企業においてすら、上記のような不祥事が後を絶ちません。

この世は「原因と結果の法則」に支配されています。

企業不祥事はある日突然、何の前触れもなく発覚します。

しかしながら、水面下では長期間にわたりその原因が継続して存在してきたのです。

結果を変えるためには、その原因を把握し、改善するほかありません。

一朝一夕にはいきませんが、これ以外に方法はありません。

一般に、弁護士の仕事の主戦場は、実際に紛争やトラブルが発生した際の「事後処理」であることは否定できません。

しかし、企業法務の中核は、言うまでもなく「予防法務」です。

すなわち、いかに紛争やトラブルを予防するかこそが企業法務の中核なのです。

会社の規模にかかわらず、経営者は、常に「リスクの把握」及び「リスクの管理」を徹底し、その上で、全従業員に対して相互監視をベースとした、法令遵守に関する「周知・指導・教育」を行うことが求められます。

もっとも、これら多種多様な対応について、すべて自前で行うというのは、あまりにも非効率であると言わざるを得ません。

まずは顧問弁護士を置き、常時、速やかに相談できる体制を整えるとともに、定期的な社内セミナーの開催により、企業不祥事対策を徹底することが効率的かつ効果的です。

内部通報制度の活用により企業不祥事の発見と抑止を!

これまでに耳目を集めた企業不祥事の多くが従業員の内部通報により発覚したことは多言を要しません。

このように内部通報制度を活用することは、企業不祥事の発見に資することは言うまでもありませんが、これに加えて、不正行為者に対する牽制となり、ひいては不正行為の抑止につながるものと言えます。

しかしながら、内部通報制度のこのような効果は、あくまでも同制度が十分に機能していることが大前提です。

逆に言えば、いくら内部通報に関する規程をつくり、内部窓口及び外部窓口を設置したとしても、従業員が同制度を利用する意思・意欲がなければ絵に描いた餅です。

過去の企業不祥事案件を見ても、継続的・組織的に行われてきた不正行為について、複数の従業員がその不正を認識していたにもかかわらず、誰も通報に至らなかったというのが内部通報制度の機能不全の典型例です。

実際、法令違反や基準違反等の不正発覚後に行われた外部調査委員会の調査報告書には、複数の従業員が不正を認識しながら通報に至らなかった理由について、以下のとおり記載されています。

内部通報しても是正されないと思った。
内部通報をすると、報復される可能性があると思った。
匿名で通報したとしても、通報内容から通報者が特定されてしまうので、働き続けるつもりであれば内部通報はできない。
通報窓口は原則として実名を記載する必要があるため使いにくい。

いかがでしょうか。

これらの従業員の意見を見ると、いかに内部通報制度の機能不全が企業不祥事発見・抑止に対して無力か、おわかりいただけるかと思います。

内部通報制度の機能不全を解消するためには、内部通報に対する正しい理解・認識を全従業員に周知させるとともに、報復(不利益取扱い)への不安感の徹底的に払拭すること、通報後のフローを明確化することが必要不可欠です。

これらは、いずれも言うは易しですが、実際に行うことは想像以上に大変なことです。

しかしながら、動き出さなければ状況は何も変わりません。

効果的な内部通報制度の導入・運用をお考えでしたら、一度、弁護士法人栗田勇法律事務所にご相談ください。

不祥事発生時の初動対応の重要性

これは企業不祥事に限ったことではありませんが、トラブル対応において初動対応は極めて重要です。

初動対応は、その後の問題解決の命運を握っているといっても過言ではないでしょう。

初動対応を誤ったばかりに、被害を拡大させ、かえって解決を困難にしてしまうという例は枚挙に暇がありません。

また、原因究明、犯人や加害者の特定をする上で証拠の収集・保全は必要不可欠ですが、この点においても、初動対応のミスから証拠が滅失・毀損させてしまうという状況に陥りがちです。

このような状況に陥らないためにも、日頃から顧問弁護士と連絡を取りあい、事前予防・事後対応に隙がないように準備をしておくべきです。

内部通報制度における社外窓口の意義及び必要性

弁護士法人栗田勇法律事務所では、内部通報制度における社外窓口を受託しております。

内部通報制度の社外窓口は、企業内で発生している各種問題(例えば、従業員や顧客の健康、財産、安全、信頼を損なう行為、調達先、納入先、委託先などの取引先に対する信義に反する行為、法令や社内規程への違反、人権侵害行為、重大な倫理違反、不正な会計処理、これらの事象が生じるおそれや疑いがある場合)について、従業員が弁護士法人栗田勇法律事務所に対して通報できるシステムをいいます。

当該制度を導入することにより、企業は、従業員が日頃感じていても上司や社長に面と向かって言えない問題点・改善点を知ることができ、当該問題について調査・検討・対策を講じることができるようになります

それより、問題点・改善点を放置することにより発生し得た従業員の退職や休職、従業員からの損害賠償請求訴訟等のリスクを減らすことができるわけです。

企業が、公益通報者保護法を踏まえ、実効性のある内部通報制度を整備・運用することは、組織の自浄作用の向上やコンプライアンス経営の推進に寄与し、消費者、取引先、株主・投資家、地域社会等を始めとするステークホルダーからの信頼獲得に資する等、企業価値の向上や事業者の持続的発展にもつながることは言うまでもありません。

実際、多くの消費者・事業者・労働者が、下記のとおり、自らと関係を有する事業者の内部通報制度の実効性に高い関心を有しています。

すなわち、「平成28年度 民間事業者における内部通報制度の実態調査報告書」(消費者庁)によれば、「実効性の高い内部通報制度を整備している企業の商品・役務を購入したい」と回答した者は86%を占め、「実効性の高い内部通報制度を整備している企業と取引したい」と回答した事業者の割合は89%を占め、「実効性の高い内部通報制度を整備している企業に就職・転職したい」と回答した者の割合は82%とそれぞれ極めて高い割合を占めています。

社外窓口の設置場所(顧問弁護士に社外窓口を依頼することの適否)

一般に、内部通報制度の社外窓口を設ける場合の選択肢としては、法律事務所や民間の専門会社等が考えられます。

「平成28年度 民間事業者における内部通報制度の実態調査報告書」(消費者庁)によれば、社外窓口の委託先として最も多いのは法律事務所(顧問弁護士)の49.2%、次いで法律事務所(顧問でない弁護士)の21.6%、そして通報受付の専門会社14.9%となっています。

このように社外窓口を採用する企業の約半数が社外窓口を顧問弁護士に委託しているわけですが、一般的に、内部通報の社外窓口を顧問弁護士にすることは以下の理由から推奨されていません。

すなわち、顧問弁護士は、契約上、当該企業の利益を擁護する立場にあるため、通報者(従業員)からすると中立性・公正性に疑義(通報したって結局、会社の味方をして有耶無耶にされてしまうのではないかという不信感)が生じうること、仮に内部通報を契機として通報者と会社との間で紛争が生じた場合、通報者から当該紛争に関して詳細に話を聞いているため、その後、当該紛争について会社の代理人として活動することは利益相反に該当しうることなどがその理由です(「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」(消費者庁))。

例えば、同報告書によると、通報窓口に寄せられた通報の内容としては「職場環境を害する行為(パワハラ・セクハラなど)」が55.0%と最も多いとされていますが、このような通報を顧問弁護士が受けた場合、その後、仮に通報者(従業員)が加害者及び会社を相手に損害賠償請求訴訟を提起した場合、顧問弁護士は会社の訴訟代理人として対応すると利益相反に該当するおそれがあります。

以上の理由から、もし御社が内部通報制度を「絵に描いた餅」にせず、実効性のある制度にするお気持ちがありましたら、顧問弁護士とは別に社外窓口を設けることをお勧めいたします

なお、前記のとおり、当該制度は、中立性・公正性が極めて重要ですので、弁護士法人栗田勇法律事務所と顧問契約を締結されている企業様はご利用いただけません。

費用及びサービス内容

(1)費用 

①導入費用 33万円(税込)

②運用費用 月額3万3000円(税込)

(会社の規模、従業員数等にかかわらず一律の費用体系です。)

(2)サービス内容

①対応回数   無制限

②通報者からの聴取は全て弁護士が行います(*1)。

③聴取内容につき報告書を作成するとともに口頭でも説明いたします。

内部通報制度の設計・導入(社内規程の整備、従業員への周知方法及び内容等)について助言いたします。

⑤役員及び管理職に対して内部通報制度の運用上の留意点についてセミナー(研修会)を実施いたします。

*内部通報制度の運用上の留意点を一言で言うならば、「内部通報制度の機能不全要因を徹底的に除去すること」に尽きます。そのための第一歩として、まずは内部通報制度の機能不全要因を理解することが肝要です。
*特に、特定リスク(通報者が誰であるかを把握されてしまうリスク)の高い通報内容の場合(例えば、不正行為が密室で行われた場合、業務上知り得る者が限定されている場合、通報者がすでに会社に対して問題提起をしている場合等がこれにあたります。)、いかなる方法で社内調査を実施するかを理解することは極めて重要です。
内部通報者に対する不利益な取扱い(例えば、退職願の提出の強要、労働契約の更新拒否、本採用・再採用の拒否、降格、不利益な配転・出向・転籍、長期出張等の命令、昇進・昇格における不利益な取扱い、懲戒処分、減給その他の給与・一時金・退職金等における不利益な取扱い、損害賠償請求、事実上の嫌がらせ等)が禁止されていることは言うまでもありませんが、その前提として、社内において通報者の探索を禁止することもまた同様に重要となります。これらの留意点について、過去の重要判例に基づき、内部通報への対処の成功例・失敗例をご説明いたします。

⑥社内窓口担当者に対し、「通報対応フォーマット」の提供、対応する際の留意点、聴取ポイント等についてセミナー(研修会)を実施いたします。(希望制)

*ガイドラインにおいても、以下のとおり、社内窓口担当者に高度の能力を期待し、十分な教育・研修の必要性を説いています。
「実効性の高い内部通報制度を運用するためには、通報者対応、調査、事実認定、是正措置、再発防止、適正手続の確保、情報管理、周知啓発等に係る担当者の誠実・公正な取組と知識・スキルの向上が重要であるため、必要な能力・適性を有する担当者を配置するとともに、十分な教育・研修を行うことが必要である。」
*また、公益通報者保護法令和2年改正を正確にフォローすることも重要です。本改正事項は多岐にわたりますが、その中でも特に①内部通報対応体制の整備義務、②外部通報の保護要件の緩和、③通報対象事実の拡大、④通報主体・保護内容の改正を理解することが求められています。

(*1)聴取方法・利用ルール

①通報者はメールで弁護士法人栗田勇法律事務所に当該制度の利用を希望する旨のご連絡をいただきます。

その際、通報者は弁護士に対してのみ会社名及び氏名をお伝えいただきます。

弁護士は法律上守秘義務を負っております。氏名を通報者の明示の同意なく会社に伝えることは絶対にいたしません

*「公益通報者保護法に基づくヘルプライン担当弁護士が通報者の実名を本人の承諾なく、もしくは適正な承諾手続を経ずに雇用者に通知し、通報者が不利益な扱いを受けたとして、秘密保持義務違反が問われた事例において、「ヘルプライン担当弁護士は、ヘルプラインの相談業務を弁護士の業務として行うものであるから、ヘルプラインの相談によって知り得た通報者に関する個人情報や通報に関する事実は、『その職務上知り得た秘密』であり、『保持する・・・義務を負う』(弁護士職務基本規程23条)。・・・殊にヘルプラインは、相談者である弁護士の職業によって通報者の匿名性が保持されることを前提とするものであり、公益通報者保護法の根幹となるものである」として、守秘義務違反を理由として懲戒処分をした原弁護士会の決定を相当とした例がある(日弁連懲戒委平成21年10月26日)。ヘルプライン制度は企業からの依頼により弁護士がその任に就くものであるが、通報者の意思に反してその氏名を企業に伝えてはならないヘルプライン担当となった弁護士は、通報者に当該制度の趣旨を十分に説明して通報を受ける必要がある。」(解説弁護士職務基本規程第3版58頁)

②その後、実際にお話を伺う日時を決め、弁護士が通報者からお話を伺います。

お話を伺う方法は、通報者のご希望により、法律事務所における対面、電話又はZoomのいずれかをお選びいただきます。

(*2)聴取内容の報告後の個別具体的な対応方法(調査方針・事実認定・再発防止措置等)に関するご相談・ご依頼は中立性・公正性確保の観点から応じかねます。貴社の顧問弁護士等に別途ご相談ください。

通報受付専門会社との顧問契約もお受けいたします

弁護士法人栗田勇法律事務所では、内部通報の社外窓口をお受けされている企業との顧問契約もお受けしております。

日々の対応業務を適切に進める上で、貴社に責任が及ばないように必要な法的アドバイスをいたします。

顧問契約の内容や費用につきましては、こちらのページをご覧ください。

内部通報に関する裁判例を通じて注意点を確認しよう!

過去に内部通報者に対する対応をめぐり争われた裁判例をご紹介いたします。是非、参考にしてください!

【BAD】学校法人國士舘ほか(戒告処分等)事件(東京地裁令和2年11月12日・労判1238号30頁)

Y法人は、公益通報者が公益通報を行ったことを理由として、懲戒処分などの不利益処分をしてはならないと定める(本件公益通報規程11条1項)。同規程の公益通報は、Y法人の諸規定に違反する行為又はそのおそれのある行為を対象とするものであり(1条)、二重投稿は、Y法人が定める本件行動規範において研究者がしてはならない行為としたものであるから、Y法人の諸規定に違反する行為又はそのおそれのある行為といえ、本件公益通報は、本件公益通報規程に基づく公益通報に当たる。

Y法人は、本件行動規範が平成26年に制定されたことから、それ以前の二重投稿は本件公益通報規程の対象ではない旨主張するが、本件行動規範は、その内容からして平成26年文科省ガイドライン及び日本学術会議報告を基づき制定されたものと認められるところ、これらの制定の前から、二重投稿が不正行為であると指摘されていたこと(1(1)ア)に照らせば、本件公益通報が通報対象とする平成22年より前の二重投稿も、「被告法人の諸規定に違反するおそれのある行為」に当たるから、本件公益通報規程の保護の対象外とはいえないものである。

Y法人は、本件出来事(1)~(3)が虚偽であると判断した上,本件出来事(1)~(3)が虚偽であるから本件公益通報は不正目的のものであり、保護の埒外にあると解釈して、本件公益通報書の記載を理由とする懲戒処分を行ったものである。本件公益通報の対象となったB教員の二重投稿問題に根拠がなく、これが真実ではないがゆえに本件公益通報が不正目的であるというなら格別、二重投稿の存否を検討することなく、本件公益通報に至った事情として記載された本件出来事(1)~(3)が虚偽であるから本件公益通報も不正目的であるとの判断は、根拠があるとはいい難い

したがって、本件各処分は、本件公益通報書の記載を理由としてXらに懲戒処分を行ったものであるから、本件公益通報規程11条1項に反しており、この点でも違法といえる。

【GOOD】甲社事件(東京地裁平成27年11月11日・労経速2275号3頁)

・・・以上のとおり、懲戒事由①から③までの事実を認めることができ、これらの事由は、就業規則63条2号、4号及び5号に該当するところ、情状の程度に応じて懲戒解雇の処分を行うことができることになる。
そこで情状の程度について検討するに、懲戒事由③について、本件告発の主たる目的がXの私的な利益を図るものであったというべきことや本件告発の態様等に照らせば、労働者が負っている誠実義務に著しく違反するものと評価するべきであり、本件告発が契機となって、本件過剰請求が明らかになり、Y社による不適切なガソリン代金請求が是正されたことを十分斟酌しても、その情状は悪いというべきである。

・・・また、Y社は、本件懲戒解雇時、Xに弁明の機会を与えていたことなどを踏まえれば、本件懲戒解雇の手続は相当なものといえる。

以上の事情を総合考慮すれば、本件懲戒解雇は、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められるから、労働契約法15条に違反せず有効である。

実績