訪問販売会社を経営されている社長の皆様! いまのやり方で本当に会社を守れますか?

訪問販売事業はリスクが高い!では、どうやってリスクヘッジするか?

突然ですが、屋根、瓦、外壁等の補修や塗装等の住宅リフォーム工事、排水管等の洗浄・詰まりの解消、水回りの修繕、床下工事等といった訪問販売事業を行っていらっしゃる社長、1つ質問してもいいですか?

御社の従業員の皆様全員、特商法に違反しない営業活動ができていると言い切れますか?

「絶対に大丈夫!」「全く問題ないよ!」と思われる社長はさすがです。素晴らしいです!

そのような社長は、この先の内容をお読みいただく必要はありません。

ご存じのとおり、訪問販売には、消費者契約法のほかに、特定商取引法(略して「特商法」)が適用されます。

この特商法では、消費者を保護するために、訪問販売事業者に対する数多くの厳しいルールが詳細に定められています

もしルールに違反した場合には、一定期間の業務停止命令等の行政処分のほかに、懲役刑や罰金といった刑事罰が科されることもあります。

加えて、特商法違反会社として会社名、違反内容、処分結果等がインターネットにおいて閲覧可能であることを考えますと、従業員の営業活動が特商法に違反する態様であった場合に、会社が被る経済的ダメージは計り知れません(場合によっては再起不能になることも十分あり得ます。)。

このように訪問販売事業は、極めてリスクが高い事業形態と言えることから、訪問販売事業を行う経営者としては、可能な限り、これらのリスクをヘッジすべきであることは言うまでもありません。

さて、御社では、従業員に対して、特商法のルールを適切に指導・教育できていますか?

また、顧客とのやりとりの中で、特商法に関わる問題が発生した場合に、適切に判断し、対応できていますか?

例えば、以下のような事案が発生した場合、どのように対応すべきか判断できますか?

「自宅をリフォームしようか検討していた消費者が、友人から紹介された事業者に自分から電話をかけ、『リフォームをしようか検討中である。一度、相談をしたい。』と伝えた。後日、事業者が消費者宅を訪問した際に消費者は自分の希望を伝えた。その後改めて、事業者が消費者宅を訪問し、その際に見積書の依頼をした。数日後、事業者が見積書を自宅に届けに来た際に、リフォームの契約を自宅で締結した。 しかし、よくよく考えてみると高額な契約であるし、今すぐに大規模なリフォームは必要ではないと思うようになり、このリフォームの契約をやめたいと思った。この場合、クーリング・オフはできるか?」

この事案において、「クーリング・オフはできない」と判断された社長は、要注意です!

「これまで特に問題が起こっていないから、たぶん大丈夫だと思うよ」なんて考えていませんか?

弁護士の立場からすると、「こわっ!・・・社長、大丈夫ですか(苦笑)」というのが本音です。

「処分を受けたら、会社名を変えて、またテキトーにやるから大丈夫っしょ。」とお考えの社長はさておき、法令を遵守してしっかり会社経営を行うという高い理念と志をお持ちの社長は、訪問販売事業のリスクの高さはすでに十分ご理解されていることと思います。

事業運営におけるリスクヘッジにおいて最も大切なことは「日頃の準備」です。

今すぐにできる「準備」は2つです。

従業員に対して、顧問弁護士による特商法に関する定期的かつ継続的な教育(研修会)を実施する。

顧客とのやりとりの中で特商法に関連する問題が生じた場合に、速やかに顧問弁護士に相談できる体制を整備する。

この2つは、社長がやる気になれば、明日にでも実現可能なことです。

たったこれだけのことで、事業運営におけるリスクは、大幅に減少することは明白です。

ここまでお読みいただいた社長、この2つの「準備」に少しでも興味を持たれ、「もう少し詳しく話が聞きたいんだけど」と思われたら、是非、一度、弁護士法人栗田勇法律事務所にご連絡ください。

栗田自らご説明させていただきます。

 

行政処分事案から読み解く!絶対に押さえておくべき特定商取引法の核心

第1 氏名・勧誘目的不明示(法第3条)

勧誘に先立って事業者名や氏名を名乗らず、身分証や名刺の提示もしなかったため、消費者は契約書を見るまで事業者名等を知らなかった。(水回り修繕・令和3年愛知県)

「近くの工事で車をとめるのでご迷惑かけます。」などと告げるのみで、その勧誘に先立って、住宅リフォーム工事等の役務提供契約の締結について勧誘する目的である旨を明らかにしていなかった。(住宅リフォーム・令和3年神奈川県)

「親方が隣で作業に来ているのですが、お宅の屋根の瓦に不具合があることに気が付いたので、差し出がましいようですが教えに来ました。」などと告げるのみで、その勧誘に先立って、住宅リフォーム工事等の役務提供契約の締結について勧誘する目的である旨を明らかにしていなかった。(住宅リフォーム・令和3年神奈川県)

「こんにちは。今、〇〇(注:特定の氏)さんの所の屋根の工事をしてるんですけど。」、「上から見ると、お宅の瓦もヒビが入っているようでした。」、「向こうの通りの屋根工事を行ってるんですけど、その屋根から、この家の屋根瓦が割れてるのが見えました。」、「こんにちは、こんにちは。お母さんの家、屋根の漆喰が悪いみたいですよ。」などと告げるのみで、同社の名称を告げなかった。(屋根瓦、漆喰修理・令和4年宮崎県)

●SNS等を通じて、学生などの若年者に「一度会って話をしよう。」等と告げて呼び出した喫茶店等において、「ビジネスで成功に導いてくれた〇〇さんと会ってみないか。」等と告げるのみで、勧誘に先立って、同事業者の名称、Wと称する教材の売買契約及び同契約と一体のコンサルティング契約の締結について勧誘することが本来の目的であることを明らかにしなかった。(情報商材販売・令和3年福岡県)

●「シロアリの無料点検に伺います。」などと電話で告げて訪問の約束をとりつけ、「シロアリの無料点検に伺いました。」などと告げて消費者宅を訪問しており、勧誘に先立って、リフォーム工事の契約について勧誘をする目的である旨を明らかにしなかった。(住宅リフォーム・令和3年東京都)

「私、この家を建てた大工なんですよ。」、「近所で工事するから挨拶にきました。」などと告げるだけで、住宅リフォーム工事等の役務提供契約の締結について勧誘する目的であることを明らかにしなかった。(住宅リフォーム・令和3年千葉県)

●「排水溝の掃除をしませんか。」、「排水溝の点検をしませんか。」、「排水管の点検をさせてください。」などと告げるのみで、その勧誘に先立って、その相手方に対し、本来の勧誘目的である床下白蟻防除及び床下調湿材散布等の役務提供契約の締結について勧誘をする目的である旨を明らかにしなかった。(床下白蟻防除・令和3年香川県)

【One Point Check】 「無料で床下を点検している。」等と勧誘目的を偽り点検形態を装って消費者宅に上がり込み、点検の後「このままでは家が倒れてしまう。」等と消費者の不安をあおって契約をさせることは禁止されています。 具体的な告げ方としては、「水道管の無料点検にまいりました。損傷等があった場合には、有料になりますが修理工事をおすすめしております。」等が考えられます。もっとも、この例においても、「有料の修理工事」を意識させないように「無料点検」を格別に強調しているような場合には、勧誘をする目的である旨を告げたことにはなりません。

第2 再勧誘(法第3条の2第2項)

●住宅の外壁塗装を勧誘するに当たり、消費者が「お金がないので結構です」「必要ありません」などと、契約の意思がないことをはっきりと告げたにもかかわらず、勝手に外壁を塗り始めるなど強引に勧誘を続けた。(住宅外壁塗装・令和3年広島県)

●消費者に、当初契約の建材を高品質・高額な建材へ変更することを勧誘し、断られたにもかかわらず、その2日後に再び勧誘したほか、契約書に「追加はありません。」と記載・押印した後に、複数回にわたり工事を勧誘するなどした。また、消費者が、「今は契約しなくてもよい。」、「夫に相談してからにしてもらいたい。」と断ったのに、そのまま居座って勧誘した。(住宅リフォーム・令和4年鹿児島県)

●「いつもお願いしている瓦屋さんがいるので、結構です。」、「うちはしなくて大丈夫ですから。主任を呼ばれても工事はしませんけど。」、「瓦が浮いていても、瓦の下にはルーフィングがしてあるから、雨漏りはしないんですよ。だいたい30万もする工事なんてそんな高い工事しませんよ。」などと訪問販売に係る本件役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した消費者に対し、「今から主任に連絡を取って見積りさせますから。」、「主任を呼んできます。」、「でも、屋根瓦が浮いてるから、瓦はぺらぺらと飛んでいきますよ。そうなったら、補修工事どころか屋根の葺き替え工事をしないといけなくなる。お金がもっとかかりますよ。」などと告げて、引き続き本件役務提供契約の締結について勧誘をした。(屋根瓦、漆喰修理・令和4年宮崎県)

●消費者が「いいです。結構です。やりません。」、「屋根に上がったらもっと瓦がずれることになるので、点検も見積りも結構です。」などと訪問販売に係る契約を締結しない旨の意思を表示したにもかかわらず、「いったい、いくらだったらこの工事をやるんですか。」、「私たちはプロですので、そんなことにはなりません。見るだけです。」などと引き続き勧誘を行った。(屋根修繕・令和2年埼玉県)

●貴金属について、「一切興味ないので、ないです。」、「売りたいものはないですよ。」等と、訪問購入に係る本件売買契約を締結しない旨の意思を表示した者に対して、「なんか片方なくなったピアスなどはないんですか。」、「こちらも売ってくださいよ。」と告げるなど、当該売買契約の締結について続けて勧誘をした。(貴金属等購入・令和元年兵庫県)

【One Point Check】 消費者が「いりません」「関心ありません」「お断りします」「結構です」「間に合っています」など明示的に契約締結の意思がないことを表示した場合には、それ以上の勧誘は禁止されています。 これに対して、「今は忙しいので後日にして欲しい」とのみ告げた場合など、その場、その時点での勧誘行為に対する拒絶意思の表示は、「契約を締結しない旨の意思」の表示には当たりません。また、例えば、家の門戸に「訪問販売お断り」とのみ記載された張り紙等を貼っておくことは、意思表示の対象や内容が不明瞭であるため、「契約を締結しない旨の意思」の表示には該当しません

第3 契約書面不交付・記載不備(法第5条第1項)

●契約書には「玄関廻り立横柱 基礎コンクリートOP仕上げ」と記載されているだけで、具体的な工事の内容が記載されていない。(住宅外壁塗装・令和3年広島県)

契約書面を交付しないまま、顧客の承諾もなく補修工事に着工したほか、外壁塗装の契約書を未作成のまま、当該役務に関する前金の支払いを要求した。(住宅リフォーム・令和4年鹿児島県)

●本件役務提供における役務の種類を特定するための具体的な工事内容や施工する面積等の数量,使用資材の商品名等の記載がない契約書を多数交付したほか、解体と新設など複数の役務を「一式」として対価を記載した契約書を交付していた。(住宅リフォーム・令和4年鹿児島県)

●契約書に見積項目を表記し、消費者は当該項目を含んだ契約金額と誤認して契約したものにつき後日、業者自身の見積金額の記載漏れであることを告げ、追加の支払いを求めた。(住宅リフォーム・令和4年鹿児島県)

●本件役務提供契約を締結した際、消費者に対し本件役務提供契約の内容を明らかにする書面を交付しているが、当該書面に、特定商取引法第5条第1項の規定に基づく特定商取引に関する法律施行規則第5条第2項が記載を義務付ける書面の内容を十分に読むべき旨を赤枠の中に赤字で記載していない。(屋根瓦、漆喰修理・令和4年宮崎県)

●契約の内容を明らかにする書面を直ちに交付しなかった。(住宅リフォーム・令和4年千葉県)

●契約の内容を明らかにする書面を交付したが、当該書面には「役務の提供時期」、「対価の支払時期及び方法」についての事項が記載されていなかった。(住宅リフォーム・令和3年千葉県)

【One Point Check】 申込書面・契約書面に記載しなければならない事項は以下のとおりです。 ①書面の内容を十分に読むべき旨*赤字で記載し、赤枠で囲む ②商品等の種類 ③商品の販売価格・権利の販売価格・役務の対価 ④代金・耐火の支払時期及び方法 ⑤商品の引渡時期・権利の移転時期・役務の提供時期 ⑥クーリング・オフに関する事項*赤字で記載し、赤枠で囲む ⑦販売業者等の氏名または名称、住所及び電話番号並びに法人にあっては代表者名 ⑧担当者氏名*必ずフルネーム(姓名)を記載 ⑨申込みまたは契約締結年月日 ⑩商品名及び商品の商標または製造者名 ⑪商品に型式がある場合には当該型式 ⑫商品の数量 ⑬商品に隠れた瑕疵がある場合の販売業者の責任についての定めがあるときはその内容 *ただし、この場合に、販売業者は当該瑕疵について責任を負わない旨が定められていないこと。 ⑭契約の解除に関する定めがあるときはその内容 *ただし、この場合に、消費者からの契約解除ができない旨が定められていないこと及び販売業者等の責めに帰すべき事由により契約が解除された場合における販売業者等の責務に関し、民法545条に規定するものより消費者に不利な内容が定められていないこと。 ⑮上記⑬⑭の他、特約があるときはその内容 *ただし、法令に違反する特約でないこと。 なお、申込書面・契約書は、クーリング・オフ期間の起算点となります。「書面が渡されていない」、「内容が不十分」である場合には、消費者はいつまででもクーリング・オフができることになります。

第4 不実告知(法第6条第1項第6号)

●「お宅の屋根の一番上の合わせ目が一部はがれています。」「屋根のはがれているところから雨が入ると、屋根を支えている木が腐ってしまう。」などと、消費者が契約の締結を必要とする事情に関する事項について、不実のこと(事実と異なること)を告げていた。(住宅リフォーム・令和3年神奈川県)

●「瓦を止めている頂点の部分の漆喰が経年劣化でもうボロボロだ。瓦が止まってなくて浮いている。これから台風や強い風が吹いて瓦が飛ばされると、よその建物や人にぶつかったりして大変だ。」などと、消費者が契約の締結を必要とする事情に関する事項について、不実のこと(事実と異なること)を告げていた。(住宅リフォーム・令和3年神奈川県)

●実際には、本件役務提供契約はクーリング・オフをすることができるにもかかわらず、クーリング・オフを申し出た消費者に対し、「弊社の方では、クーリング・オフの方は受け付けられない形になってしまうんですが。」、「金額の件について、クーリング・オフの受け付けは、ちょっとやはりやっぱり難しいんですけれども。」、「お客様からご依頼があって弊社の作業員の方が伺っておりますので、こちらクーリング・オフというのが難しくなっておりまして。」、「当社としてはクーリング・オフは受け付けられないという形になっていますので。」などと、あたかも本件役務提供契約をクーリング・オフすることができないかのように告げた。(鍵の開錠修理・令和4年東京都)

工事前に工事材料を購入するため前金が必要であると告げ、消費者から契約金額の全額の支払いを契約当日又はその数日以内に受けたが、当該前金は、下請業者等による工事材料の事前購入費用には充てられていなかった。(住宅リフォーム・令和4年鹿児島県)

●実際には、勧誘の相手方である消費者宅の屋根瓦に修理を必要とする不具合が生じていないにもかかわらず、当該消費者に対し、「今、隣の屋根の修理をしていたらお宅の瓦が見えて、軒の瓦がずれていました。上を見てください。ちょっと瓦が出てるとこ。そこがずり落ちかけてます。それが2階から見えました。」、「あそこの瓦が落ちかけています。瓦止めが必要です。このままにしておくと瓦が落ちて、周りに迷惑がかかりますよ。」、「瓦が割れていますよ。このままでは瓦が落ちてきて危ないです。このままにしておくと、雨漏りがします。瓦の割れている部分から水が入り込んで、瓦の内側やその周り一帯がだめになってしまいます。」などと、あたかも当該消費者宅の屋根瓦に修理を必要とする不具合が生じているかのように告げた。(屋根瓦、漆喰修理・令和4年宮崎県)

自らが消費者の居宅を建築した施工主ではなく、建築時の図面も保管していないにもかかわらず、「私、この家建てたんですよ。」「この家の図面は残っているから。」などと不実のことを告げた。(住宅リフォーム・令和3年千葉県)

●消費者宅に上がり、部屋を見て天井等にシミの様な汚れを見つけると、屋根や天井裏等を直接見ることなく、「雨漏りの跡です。今なら、屋根の塗装だけで雨漏りを防げると思います。」などと、事実に反してあたかも消費者宅に雨漏りが発生しているかのように告げて、住宅リフォーム工事の勧誘を行った。(住宅リフォーム・令和3年愛知県)

●実際には経年劣化による家屋の損傷は火災保険等の適用対象外であるにもかかわらず、「火災保険を使えば、自己負担がなく、雨どいの工事ができます。」、「雨どい修理に火災保険の保険金が使えるので請求しませんか。」などと、あたかも家屋の全ての損傷が火災保険等の適用対象であるかのように告げた。(屋根修繕・令和2年埼玉県)

【One Point Check】 契約の内容・条件だけでなく、契約の締結を必要とする事情に関する事項、契約に関する事項であって顧客の判断に影響を及ぼす重要事項(特に商品購入等の動機付けとなる背景・事情)も含まれます。

第5 重要事項不告知(法第6条第2項)

●下請業者の状況や瓦等の状態による追加工事や工期の大幅な延長の可能性のほか、工期の延長に伴い足場の設置期間が月をまたぐ場合に追加料金が発生することがあることを知りながら、このことを消費者には告げずに勧誘した。(住宅リフォーム・令和4年鹿児島県)

契約の解除(「クーリング・オフ」)に関する事項について、故意に事実を告げなかった。(住宅リフォーム・令和3年千葉県)

●介護保険法第45条に基づく居宅介護住宅改修費の支給を使用して2万円で住宅改修工事ができるなどと告げて、本件役務提供契約を勧誘するに際し、「保険支給の限度額が20万円であること」(平成12年2月10日厚生省告示第35号)、「限度額を超える保険支給は介護の必要の程度が著しく高くなった場合にしか認められないこと」(介護保険法施行規則第76条第2項、平成12年2月10日厚生省告示第39号)を、故意に告げず、契約を締結させた。(住宅改修工事・令和2年大阪府)

【One Point Check】 上記のほかに、例えば、18ホールのゴルフ場の会員権を販売する際に会員が1万人もいることを告げない場合、リゾートクラブ会員権について1室当たり換算会員数が100人もいることを告げない場合、床下換気扇の販売において家の広さ等からして3台で十分であることを告げずに10台の販売をする場合等も重要事項不告知に該当するものと考えられます。

第6 威迫困惑(法第6条第3項)

●クーリング・オフの通知を行った消費者に対して、非常な剣幕で「なぜクーリング・オフするのか。」と怒鳴り、「明日には足場を設置して、明後日から工事に取りかかれるよう準備を進めている。材料を購入している。どうしてくれるんだ。」と言った。(鍵の開錠修理・令和4年東京都)

●役務提供契約の解除を申し出た消費者の親族方に押しかけ、消費者の親族を威迫し、役務提供契約の解除を妨害した。(下水管洗浄・令和3年愛媛県)

【One Point Check】 上記のほかに、例えば、「買ってくれないと困る。」と声を荒げたり、勧誘の際に殊更に入墨を見せて、契約締結を迫る場合や、クーリング・オフを申し出た消費者に対し、「残金を支払わないと現住所に住めなくしてやる。」と脅し、クーリング・オフの行使を思いとどまらせた場合なども威迫困惑に該当するものと考えられます。

第7 債務履行拒否・遅延(法第7条第1項第1号)

●約束した期日までに受領済みの代金を全額返金することを書面で誓約したにもかかわらず、「もう1か月待ってほしい。」などと期限を引き延ばした上、クーリング・オフに伴う受領済みの代金の一部又は全部を返還しなかった。(住宅外壁塗装・令和3年広島県)

●消費者がリフォーム工事の契約に関し、法定期間内にクーリング・オフの手続をとったにもかかわらず、消費者の既払金の返還を不当に遅延させた。(住宅リフォーム・令和3年東京都)

●消費者が代金を支払った後、「今、フィルターが手元にないので、一週間後に持ってきます」等と、後日に納品期日を指定したにもかかわらず、その期日の納品を遅延させることを繰り返した。また、消費者が、本件売買契約についてクーリングオフをした際、返金の期日を遅延させることを繰り返した。(換気扇用フィルター販売・令和2年大阪府)

第8 過量販売(法第7条第1項第4号の規定に基づく施行規則第6条の3第1号)

●消費者宅の点検及びメンテナンス契約を締結して以来、本件役務を提供することを繰り返していたところ、正当な理由がないのに、既に小屋裏に不具合がある旨を指摘して同小屋裏内に遮熱材を設置すること等を内容とする同小屋裏工事に係る本件役務を提供しており、同小屋裏内に同工事前から存在していた断熱材を撤去し、同小屋裏内の同断熱材を設置していた箇所に新たに遮熱材を設置すること等を内容とする工事に係る本件役務の提供を勧誘した(住宅リフォーム・令和2年大阪府)

短期間に設計標準使用期限が10年間であり性能もほぼ同じである消火器を、その都度前回販売した消火器を引き取りながら繰り返し複数回販売していた。(消火器販売・令和2年鹿児島県)

【One Point Check】 販売契約の過量販売解除権には、以下の3つの類型があります。 ①一度に過量の商品等を販売する場合(事業者の主観的要件不要) ②過去の販売累積と今回の販売によって過量となる場合で、事業者がそれを知りながら販売したとき ③過去の販売累積からすでに過量となっている場合で、事業者がそれを知りながら販売したとき したがって、当該取引が過量であるときはもちろんのこと、当該取引自体は過量でなくても、過去の取引と合算すると過量になるときや、顧客がすでに過量な取引をしているときには、顧客から過量販売解除権を行使されることがあります。

第9 迷惑勧誘・迷惑解除妨害(法第7条第1項第5号の規定に基づく施行規則第7条第1号)

●クーリング・オフをした消費者に対し、少なくとも約1か月半もの長期間にわたり、消費者からの依頼を受けて訪問しておりクーリング・オフの適用除外に該当するため、クーリング・オフには応じられない旨繰り返し主張するなど、訪問販売に係る本件役務提供契約の解除について迷惑を覚えさせるような仕方でこれを妨げた。(鍵の開錠修理・令和4年東京都)

●リフォーム工事の契約について勧誘をするに際し、消費者が契約締結を断っているにもかかわらず、「このままにしておくと、家は壊れますよ。壊れたら隣近所に迷惑が掛かりますよ。」「今であれば、私が言った値段でできます。今、決められた方がいいです。」「仕事を取らないと会社に帰れない。」などと告げて、消費者に対して執拗に迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘を行った。(住宅リフォーム・令和3年東京都)

●クーリング・オフをした消費者に対し、2日間にわたり、既に役務の提供をしてしまっているので原状回復ができないことや消費者から訪問の依頼を受けて夜間の対応をしたことを繰り返し主張するなど、執ように当初の契約金額から値引きした額で合意するよう促し、本件役務提供契約の対価の一部の支払を求め続けるなど、訪問販売に係る本件役務提供契約の解除について迷惑を覚えさせるような仕方でこれを妨げた。(水回り修繕・令和3年広島県)

●解約を申し出た消費者に対して「今回の調査費用と2人分の人件費などを払え」、「おかしいじゃないか、契約したのに断るとはなんだ」などと言い、消費者が迷惑を覚えるような方法で契約解除を妨げた。(住宅リフォーム・令和3年東京都)

夜間に、3時間を超える長時間にわたり消費者宅に滞在し、本件商品の売買契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し執拗に繰り返し勧誘を行うなど、訪問販売に係る本件商品の売買契約の締結について迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をしている。(学習教材販売・令和3年大阪府)

【One Point Check】 「迷惑を覚えさせるような仕方」とは、客観的にみて相手方が迷惑を覚えるような方法であれば良く、実際に迷惑と感じることは必要ではないとされています。 具体的には、正当な理由なく午後9時から午前8時までの間といった不適当な時間帯に勧誘をすること、長時間にわたり勧誘をすること、執拗に何度も勧誘すること等はこれに該当することが多いとされています。

第10 適合性原則違反(法第7条第1項第5号の規定に基づく施行規則第7条第3号)

●消費者が、学生であり、アルバイト以外の就業経験がなく、定期的な収入や資産に乏しいことを認識しているにもかかわらず、「月1万円で大丈夫だから。」、「クレジットカードを作って支払えばいいから。」等と告げ、代金を支払う資力のない消費者に、クレジットカードを作ってキャッシングやリボ払い等で支払うように提示するなど、顧客の財産状況に照らして不適当な33万円もの高額契約の勧誘を行った。(情報商材販売・令和3年福岡県)

学生であり、投資経験がなく、月に平均して6万円程度又はそれ以下の収入しかなく、その他特段の財産もない消費者に対して、短期間に繰り返し取引をすることにより損失額が大きくなるおそれのある投資に関する、53万7000円と高額な本件売買契約の締結について勧誘した。(投資ツール販売・令和2年東京都)

第11 意に反する金融機関への連行(法第7条第1項第5号の規定に基づく施行規則第7条第6号ロ)

●リフォーム工事の契約代金を支払わせるため、消費者の意に反して、消費者を金融機関に連行した。(住宅リフォーム・令和3年東京都)

絶対に押さえておくべき消費者契約法の核心

契約の取り消し(契約を結ぶ時の説明や勧誘に問題があった場合)

第1 重要事項についての不実告知

●「持病の手先のしびれ、リウマチに効く、病院へ行く回数も減りタクシー代が助かる」と勧誘し、実際にはそのような効果のない錠剤の健康食品を販売。

●「この機械を付ければ電気代が安くなる」と勧誘し、実際にはそのような効果のない機械を販売した。

●真実に反し、「溝が大きくすり減っていて、このまま走ると危ない。タイヤ交換が必要」と告げ、新しいタイヤを販売した。

●実際は事故車であるにもかかわらず、「事故車ではない」と説明され中古車を販売した。

●自動車販売業者から中古車を購入した際、走行距離計が改ざんないし交換されていたのに故意に実際の走行距離を告げずに販売した。

【One Point Check】 消費者契約であるときには、事業者側に、民法の詐欺で求められるような故意は要件となっていないため、不実告知についての事業者の主観的認識を問題となりません

第2 不利益事実の不告知

●眺望・日照を阻害する隣接マンションの建設計画があることを知りながら、そのことを説明せずに「眺望・日照良好」と説明してマンションを販売。

●太陽光発電システムの工事請負契約において、同システムの販売業者が「土地の権利を取得でき、契約に基づく太陽光事業によって利益が得られることを告げる一方で、土地が仮差押えされ、その登記が存在していたことを故意に告げなかった。

●土地と建物の売買契約において、不動産業者が「土地と建物の販売の際に緑化率(敷地面積に対する緑化施設の面積の割合)不足という条例違反の事実を告げなかった。

【One Point Check】 不利益となる事実を故意に告げなかった場合だけでなく、重大な過失によって告げなかった場合にも取消しの対象となります。 なお、事業者が不利益な事実を告げようとしたにもかかわらず、消費者がこれを拒んだときには、理由の如何を問わず、取消しは認められません。例えば、「時間がない」とか「面倒くさいのでいいです」という理由で消費者が不利益事実の告知を拒んだ場合であっても、事業者は免責されます。

第3 断定的判断の提供

●将来値上がりすることが確実ではない金融商品を「確実に値上がりする」と説明して販売した。

●「今後も元本を割ることはあり得ない」と説明して金融商品を販売した。

【One Point Check】 「~だろう」「~かもしれない」程度の表現では断定的判断とは言えません。また、一定の前提や仮説の条件下で将来の見通しを説明している場合も、取消しの対象にはなりません。

第4 事業者の不退去、消費者の退去妨害

●消費者の自宅等において、消費者が何度も帰ってほしい旨を告げているのに勧誘を続けて販売した。

●事業者の販売店等において、消費者が何度も帰りたい旨を告げているのに勧誘を続けて販売した。

【One Point Check】 「退去してほしい」「退去したい」という意思の表示は、明確に意思表示する場合だけでなく、社会通念上、「退去してもらいたい」「退去したい」という意思の表示と評価される場合も含まれます。 そのため、「時間がありませんので」「要りません」「結構です」などと消費者が告げた場合や、帰ろうとする部屋の出口に向かうなど口頭以外の手段により消費者が意思を表示した場合も「帰りたい」という意思を示したことになります。

第5 不安をあおる告知

●就活中の学生の不安を知りつつ、「このままでは一生成功しない。この就職セミナーが必要」と勧誘した。

●加齢により判断力が低下した消費者に対し、「投資用マンションを買わなければ、定期収入がなく今のような生活を送ることは困難である」と告げて勧誘した。

第6 契約締結前に債務の内容を実施等

●さお竹の移動販売業者を呼び止めて価格を聞くと、それには答えずに「長さは?」と言うので庭に案内し、今使っているものと同じ旨を伝えたところ、先に寸法を合わせてさお竹を切られてしまった。

●マンション投資の勧誘電話があり、消費者は断ったが、「あって話だけでも聞いて。」との申出を受けて会った。そうすると、事業者は、他都市の者であり、会うために多大な労力を費やしたとして、「断るならせめて交通費を払え。」と告げて、勧誘した。

●ガソリンを入れようとガソリンスタンドに立ち寄ったところ、店員が「無料点検を実施しています」と言いながら、勝手にボンネットを開けてエンジンオイルも交換してしまった。断ることができず、エンジンオイルの費用を払ってしまった。

【One Point Check】 消費者契約法により「当該消費者が当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をする前に、当該消費者契約を締結したならば負うこととなる義務の内容の全部又は一部を実施し、その実施前の原状の回復を著しく困難にすること」が禁止されています。

不当条項の無効(契約を結ぶこと自体には問題はなくても、契約内容を事業者が一方的に定めていて、消費者に不利な場合)

第1 消費者の利益を一方的に害する条項

●「販売した商品については、いかなる理由があっても、ご契約後のキャンセル・返品はできません」とする条項。

●注文した掃除機が配達されたところ、掃除機のほかに注文していない健康食品が同封されており、契約書には、消費者から事業者に「健康食品は不要である」と電話をしない限り、健康食品を継続的に購入する旨の条項が含まれていた場合。

●不動産業者との間の借地権付建物の売買契約に関する事案で「抵当権等の設定登記をすることを承諾する書面の発行前に、地主に事前承諾を得る必要がある」旨定めた条項。

●有料老人ホームの原状回復費用に関し、通常損耗についても入居者に負担させる旨定めた条項。

●進学塾の冬期講習受講契約と年間模試受験契約の解除につき、授業料等の返還を認めない旨定めた条項。

●契約書に記載された専属的合意管轄に関する条項。

【One Point Check】 事業者が、消費者の解除権の有無を自ら決定する条項も無効となります。したがって、「お客様は、当社に過失があると当社が認める場合を除き、注文のキャンセルはできません」とする条項も無効です。

第2 事業者の損害賠償責任を免除する条項

●「当社のコンピューターシステム、ソフトウェアの故障、誤作動により生じた障害については、当社は免責されるものとします」とする条項。

●「当スポーツクラブは、会員の施設利用に際し生じた傷害、盗難等の人的・物的ないかなる事故についても一切責任を負いません」とする条項。

●「当スポーツクラブの損害賠償責任は、いかなる理由があっても3万円を限度とします」とする条項。

●介護施設の利用契約書における「施設内での利用者の過失による事故については、施設は一切責任を負いません」とする条項。

【One Point Check】 事業者が、責任の有無や限度を自ら決定する条項は無効となります。したがって、「当社が過失のあることを認めた場合に限り、当社は損害賠償責任を負うものとします。」とする条項も無効です。 なお、事業者が瑕疵を修理するとか瑕疵のない商品と交換するという条項がある場合には、有効となります。したがって、例えば、ペットショップにおける動物の売買契約書に「購入したペットに生じた問題については、一切の損害賠償責任を負いません。ただし、引渡し時に罹患していた病気によって2週間以内に死亡した場合は、同種同等の代犬をお渡しします」との条項がある場合には、損害賠償請求はできず、代犬の引渡しを受けることになります。

第3 契約解除に伴う損害賠償等の平均的損害を超える分

●中古自動車販売店が契約の2日後にキャンセルしてきた人に対して、自動車注文書の裏面に、「特約条項として、消費者の都合で契約を撤回した場合には、車両価格の15パーセントの損害賠償金と作業実費を請求されても異議はない」との記載があるとして、違約金18万円を請求した。

●結婚式場等の契約において「契約後にキャンセルする場合には、以下の金額を解約料として申し受けます。実際に使用される日から1年以上前の場合:契約金額の80%」とする条項。

【One Point Check】 「平均的な損害」とは、当該事業者が締結する多数の同種契約事案について類型的に考察した場合に算定される平均的な損害の額をいい(その業種における業界の水準を指すものではありません。)、具体的には、解除の事由、時期等により同一の区分に分類される複数の同種の契約の解除に伴い、当該事業者に生じる損害の額の平均値をいうものと解されています。 なお、「平均的な損害」を超えないと判断された事案としては、宿泊前7日を過ぎた場合、50%のキャンセル料を徴収することは平均的損害の範囲内であると判断した裁判例(東京地判平成24年9月18日)や美容整形手術の当日に契約取消の意思表示をした場合に、既に支払われていた63万円の手術費全額は平均的損害の範囲内であると判断した裁判例(東京地判平成16年7月21日)等があります。

第4 金銭債務の遅延損害金の年利14.6パーセントを超える分

●賃貸借契約において「毎月の家賃は当月20日までに支払うものとする。前記期限を過ぎた場合には1か月の料金に対し年30%の遅延損害金を支払うものとする」とする条項。

【One Point Check】 レンタルビデオの延滞料について、会員規約において「期限までに返却されない場合には、1日当たり300円の延滞料を申し受けます」と規定されている場合、この延滞料はレンタルビデオという物品の返却遅延に対するものであり、「金銭債務」の支払遅延に対するものではないため、当該問題とはなりません。 また、「契約解除」に伴う損害賠償等でもないため、上記第3の問題にもなりません。

実績