【自己破産㉚】動産や自動車を換価する際の注意点は?

動産や自動車を換価する際の注意点を教えて下さい。

1 動産について
季節物、流行性のある商品等については、売却時期を失しないように注意をします。
商品、原材料その他の在庫品や什器備品も、速やかに処分しないと換価困難になるので注意をします。また、生鮮食料品についても、腐敗等に十分注意をします。
破産者に商品などを納入した業者が、管財人の管理下にある当該動産につき動産売買の先取特権(民法321条)を主張することがあります。
この動産を管財人が売却した場合には、先取特権者からその代金債権について物上代位に基づく差押えを受けるおそれがあるので(民法304条)、管財人は、代金の支払いと引換えに売却することが望ましいです。ただし、その差押えを受ける前に代金を回収していれば、回収金は財団に帰属します(同条1項ただし書)。
2 自動車について
交通事故による運行供用者責任を避けるため、管理には注意しなければなりません。
換価できない場合には、自動車税(4月1日現在の登録名義人に課税されます。)・保険料の負担を避ける意味からも早急に廃車(登録抹消)手続までする必要があります。
所有権留保付きの場合は、残債務を完済して売却した方が有利であれば、そのように処理し、そうでなければ、取戻権を承認して売り主に引き渡すことになります(いずれの場合も、車検証の「使用者」が破産者のままとならないように注意する必要があります。)。
残債務はないが車検証上は所有者が破産者ではなく、その所有者が名義変更又は抹消登録に協力しない場合は、①解体して解体証明書を取得する、②過去の滞納自動車税を納付した上で税止め申告を財務事務所にする、③ナンバープレートは返納する、という作業を行うことにより、税負担、車両放置、運行供用者責任の問題が発生しないようにした上で放棄する方法が考えられます。
ただし、換価価値のある自動車についてはこの方法によらず、名義変更の訴訟を提起することも検討する必要があります。
次に、盗難車両は、まずその発見・回収に努めるべきですが(自動車登録原簿から発見できた例があります。)、発見できない場合は、財団から放棄します。
この場合、警察に盗難届を出し、その受理証明を添付して陸運支局に申立てをすれば、廃車手続ができます。