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【大阪地判平成26年11月25日】22歳男子の11級脊柱変形障害と逸失利益、腰椎分離症と素因減額

1 逸失利益について

原告は、脊柱変形を理由とする後遺障害11級7号の認定を受けている。

脊柱変形について労働能力喪失が認められる趣旨は、変形によって脊柱が有する支持機能、保持機能に支障が生じるということにあるところ、脊柱変形といってもその程度、状態は様々であり、変形態様が軽微である場合には必ずしも脊柱の支持機能や保持機能に対して重大かつ長期にわたる影響を与えるとはいえないこともある

そうすると、脊柱変形における労働能力喪失の有無、割合を判断するにあたっては、被害者の年齢、性別、職業、変形の部位、実際の金銭的減収の度合いの諸事情を総合的に検討して、判断すべきである

本件では、➀原告は症状固定時23歳の男性であり、肉体労働に従事していて、身体的負荷は大きい。

➁変形の程度としては腰椎分離症の悪化とそれに伴う固定術ということであり、固定術を経ているという意味では症状が重いとはいいうるが、大きな骨折等による不可逆的変化があったわけではないし、また固定術施行後に脊柱の安定性に現時点で問題が生じているような事情はない。

➂原告は事故後現在に至るまで腰痛に悩まされており、神経症状の残存はある。そして、

➃現時点で原告の減収は必ずしも明確ではないが、症状や仕事の性質に照らすと、本人の努力でカバーしている部分が少なからずあると思われる。

以上の諸事情を総合すると、原告については脊柱変形に伴って脊柱の安定性・保持性自体に重大な支障が生じているとはいえず、11級に相当する労働能力喪失率をそのまま認めることはできないが、少なくとも腰椎に生じた頑固な神経症状としての後遺症があることは否定できず、かつそれは器質的な損傷に基づくもので、長期間継続すると考えられる。

このような事情にかんがみ、原告については、14%の労働能力喪失率、及び就労年限67歳までの喪失期間を認定するのが相当である。

2 素因減額について

原告の症状に既往症としての腰椎分離症が少なからず影響を与えていたことが認められ、一定の素因減額をするのが公平である。

そして、その割合についてみると、事故態様は四輪車同士の追突であり、必ずしも類型的に腰椎分離症を生じさせるようなものとはいえず生の因果関係という意味では、腰椎分離症の寄与は小さくないと考えられる。

しかし一方で、素因減額については、必ずしも生の寄与度割合に比例するのではなく、加害行為と損害規模の乖離の観点から、加害者側に全額の賠償を命じることが公平に反する場合に、その範囲で減額を行うべきものであるところ、本件の損害の中では、逸失利益のしめる割合が相当に大きい。

そして、上記のとおり、本件では労働能力喪失率14%の範囲でしか逸失利益を認めていない。

衝突自体の衝撃がそこまで大きい場合でなくても、追突事故により頑固な神経症状としての後遺障害が残ること自体は、特段不自然ではなく、一般的に発生する事象であるといえ、その意味では、本件に関しては、上記のような逸失利益の算定がなされていることにより、加害行為と損害規模の乖離は相当程度解消されている

また、原告は症状固定時23歳の若年者であり、就労状況にも問題はなかったのであって、将来の可能性を考慮した場合には、逸失利益については男子全年齢・学歴計平均賃金(約520万円)による基礎収入認定も十分に考えられる事案であるところ、原告の主張は事故当時の実収入の範囲にとどまっており、当裁判所もその範囲で認定しているのであって、その意味でも加害行為と損害規模の乖離は抑制されている

…以上の諸事情を考慮し、本件における素因減額率は、20%を相当するとする。


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