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【大阪地判平成26年7月25日】45歳男子右上肢のCRPSを後遺障害9級と認定

1 自賠責保険は、CRPS-typeⅠ(RSD)については、症状固定時に、①関節拘縮、②骨の萎縮、③皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)という慢性期の主要な3つの症状がいずれも健側と比較して明らかに認められる場合に限り、3要件に係る所見の程度及び関節拘縮の程度等を参考にして等級を認定する、という基準を設けている

2 ・・・以上の事実を総合すれば、原告は、本件事故により、外傷性頸部症候群の傷害を負い、また、①右肩関節を中心に、本件事故の程度に比して不均衡で説明困難な持続性疼痛の訴えがある、②右肩関節に拘縮があり、右手指の関節にも可動域制限がある、③X線写真上、軽度とはいえ右上腕骨に骨萎縮が認められ、腱板断裂等それ以外の異常所見は認められない、④右上肢に浮腫が認められる、⑤右上肢に皮膚色の変化や爪の萎縮が認められるなど、自賠責保険の前記3要件を含め、CRPSタイプⅠ(RSD)の発症を基礎づける所見があり、本件事故により、右上肢にCRPSタイプⅠ(RSD)の傷害を負ったものと認めるに十分である。

これに対し、被告は、①本件事故を正確に再現した実験結果によれば、原告車は衝撃でわずかに動くだけで、ハンドルは右に回った形にならず、右肩をひねることもないから、原告が本件事故により右肩関節を捻挫することはない、②肩の拘縮の原因は不明であり、本件事故によるものとはいえない、③原告が主張するCRPSは、その発症時期も原因も不明であり、その程度も積極的に治療を受けるほどのものではないなどと主張する。

しかし、①の点については、そもそも被告が援用する再現実験で基礎とされている事故状況は、本件事故が発生してから3年以上経過した後に、本件事故現場とは違う場所で行われた実況見分であり、これをもって、原告が本件事故により右肩関節を捻挫することがないとはいえない。

次に、②の点については、本件記録を精査しても、原告が本件事故前から右肩に故障を抱え、生活に支障を来していたことを窺わせる徴憑はなく、また、右肩関節に拘縮が生じた機序ないし原因として原告が主張するところは、前記で認定した事実経過と整合性があり、特に不合理であるとはいえない。

そして、③の点については、そもそもRSDの病因は必ずしも明らかではなく、様々な説があるところであって、その発症の引き金も高度なものに限られず、打撲、捻挫等軽微なものであることが少なくないから、被告指摘の点から上記の判断が左右されるものではない。

3 以上のとおり、原告は、本件事故により、外傷性頸部症候群のほか、右上肢のCRPSタイプⅠ(RSD)の傷害を負い、前記のとおり治療を受けたが、平成20年12月25日、前記後遺障害診断書に記載されたとおりの障害を残して症状が固定したものである。

そして、前記で認定した事実のほか、前記各後遺障害診断書に記載された右肩関節、右手指の可動域制限の程度等を考慮すると、原告の後遺障害のうち右上肢のCRPSタイプⅠ(RSD)による障害は自賠法施行令別表第2の9級に相当し(上記障害と右肩関節等の機能障害は通常派生する関係にあることから、これらの併合はしない。)、頸部の神経症状は同別表の14級9号に該当するものと認めるのが相当であり、原告の後遺障害は、これらを併合して同別表の9級に当たる。


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