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【大阪地判平成27年3月3日】透析・介護を受ける夫の施設入所費等を認め77歳女子の休業損害から入所日数分控除して認定

1 過失相殺について

本件事故は、原告がバスに乗車しようとして、ステップに立って整理券を取ったところ、Aがクラッチペラル操作を誤ってバスをエンストさせ、その際にバスが大きく揺れ、その揺れによって、手すりをつかんでいなかった原告が車外に転落し転倒したものであると認められる。

バスの乗客としては、バスは一定の確率で急発進等が生じるものである以上、乗車中、あるいは乗降車の際に手すりをつかむなどして安全を確保するというのは、自分の身を守る上では必要な行為であり、その意味で本件事故が原告にとって全く避け得ないものであったとまではいえない。

しかし、本件事故は通常の運転や乗降車のプロセスの中で発生したものではなく、Aのクラッチ操作ミスという大きな過失によるものであり、バス乗車において一般的に生じる危険性に由来する事故というわけでは必ずしもない。

また、原告は整理券を取ろうとしていたのであり、その意味では必然的に片手を必要とする動作中であって、そのような段階で、原告が手すりをつかんでいなかったということを強く非難できるわけでもない。

そうすると、原告と被告側の事情を比較した場合、絶対的な意味における原告の注意義務違反が皆無であったとはいえないにせよ、少なくとも過失相殺という形で損害の一定割合を減額しなければ公平に反するといえるまでの明白な注意義務違反が原告にあったということはできず、本件において過失相殺は相当でない

2 整骨院施術費について

原告が本件事故の症状緩和及びリハビリのために整骨院で施術を受けたことは認められる。

そして、施術録の記載内容に照らし、効果がなかったわけではないと認められるし、また期間も短く、金額も小さいことに照らすと、基本的には相当性は否定されない。

しかしながら、原告が整骨院での施術を受けるに当たって医師からの明確な指示はなくその施術内容が西洋医学の観点に照らし十分に合理性が担保されたものであったかについては一定の疑問が残ること、また施術部位に本件事故によって直接に捻挫等の傷害が生じたわけではない膝関節部分が含まれていること等を考慮すると、施術費の全額について因果関係を認めることもまた相当ではない。

以上に照らし、整骨院施術費については、70%の範囲で相当因果関係を認める

3 基礎収入について

原告は夫と2人暮らしであり、人工透析を受けていた夫の介護及び家事を行っていたものと認められ、家事従事者としての基礎収入を認めるのが相当である。

もっとも、原告は事故当時77歳と、平均賃金でいう65歳以上、あるいは70歳以上の枠の中で考えても高齢に属する状況にあり、また脊椎に関する疾患を有し、そのための通院に少なからぬ時間を割いていて、その程度は年齢相応という範囲では説明がつき難いことも確かである。このような観点に照らすと、本件治療期間中、あるいはその後就労年限までの期間において、一般的な家事労働者と同水準の家事労働を継続して行うことができた蓋然性があったかどうかということについては、少なからず疑問がある。

原告の家事労働について基礎収入という形で評価する際には、これらの事情についても十分考慮する必要がある。

・・・以上の諸事情を考慮し、原告については、平成24年女子学歴計・65歳-69歳平均賃金(70歳以上の平均賃金については調査のサンプルが少なく、高齢の家事従事者の基礎収入評価には必ずしも適さない。)である285万9600円の80%である228万7680円をもって相当とする。


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