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【岡山地判平成26年5月15日】出合頭衝突で22の症状から後遺障害9級主張の21歳女子の胸郭出口症候群を否認し14級認定

1 原告は、原告が本件事故の外傷により、胸郭出口症候群(以下「TOS」という。)にり患しており、その症状が固定したのは、平成22年2月9日であると主張し、これに沿うA医師の診断書及び意見書を提出し、証人Aも同旨を証言するので、以下検討する。

TOSとは、鎖骨と第1肋骨の間隙に、斜角筋群に挟まれて存在する腕神経叢、鎖骨下動脈及び静脈や血管成分に過度の圧迫、牽引などが慢性的に加わることにより、肩から上肢の神経症状、虚血症状などが起こる症状である。

B医師は、症状をもたらすもの(動脈、静脈、神経)により、動脈性TOS、静脈性TOS、神経性TOSに分類され、神経性TOSはさらに、客観的所見のある真の神経性TOS(realNTOS)と議論のあるNTOS(disputedTOS)に分類される。

議論のあるNTOSについては反対する医師があり、医学界でコンセンサスが得られているとはいえないとするのに対し、A医師は、10年前はともかく、今では議論のあるNTOSがTOSの大部分であるとするのが支配的見解となっている旨証言する。

証拠によれば、A医師は、原告の初診時に両側Morleyテストを行い、これが陽性であったこと、斜角筋ブロックの結果などから、原告がTOSであると診断したことが認められる。

しかし、TOSの診断基準として、①肩から上肢にかけての神経・血管圧迫状態が存在し、長時間持続するかあるいは反復性であること、②Adsonテスト、Morleyテスト、Wrightテスト、肋鎖圧迫テスト(Edenテスト)及び3分間拳上負荷試験(Roos)のうち、少なくとも1つが陽性で、その際の愁訴の誘発又は増悪が認められること、③頸椎疾患及び末梢神経結果を除外できることであり、各種誘発テストはいずれも非特異的とされ、心因的要素が関与している場合も少なくないので慎重な判断が必須であるとする文献があること、Morleyテストの陽性率が32%であるとする文献があることに照らせば、Morleyテストだけで足りるとみることには疑問を挟まざるを得ず、他にA医師において、Roosテストその他の誘発テストを実施したことを認めるに足りる証拠はないことや、斜角筋ブロックがTOSの診断に有用であることを裏付ける文献がないことに照らすと、診断根拠としての合理性についても疑いがある。

・・・以上によれば、A医師の診断書及び意見書並びにその証言をもってしても、原告が本件事故により、本件事故の外傷により、TOSにり患したと認めることはできず、他に、原告の上記主張を認めるに足りる証拠はない。

2 B医師作成の診断書には、原告が「頸椎捻挫、頭頸部外傷、バレーリウ症候群」の疾患のためにL病院を受診したこと及び同病院の入院加療について、平成17年11月4日の交通事故のため、入院加療が必要であった旨の記載があるが、L病院の診療録には、頸性神経筋症候群、自律神経失調症、めまい、頭痛の記載があるだけで、上記病名の記載がないことに照らすと、上記診断書の病名はたやすく信用することができない


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