弁護士法人栗田勇法律事務所 > 交通事故重要判例紹介 > 【東京地判平成27年3月10日】巧緻運動障害等9級10号後遺障害を残す65歳男子につき、約5ヶ月前の事故との関係で共同不法行為責任(民719条1項後段)認定、50%の素因減額認定

【東京地判平成27年3月10日】巧緻運動障害等9級10号後遺障害を残す65歳男子につき、約5ヶ月前の事故との関係で共同不法行為責任(民719条1項後段)認定、50%の素因減額認定

1 後遺障害等級について

原告は、平成19年当時、既に、頸椎症性脊髄症を発症し、巧緻運動障害、両手の痺れ、歩行障害などの症状を生じており、手術を勧められる程度であったが、保存的加療により改善し通院をやめており、症状は一応治まっていたものと推認することができる。

そして、前回事故により頸部等を受傷し、両上肢や左手指の痺れ、両足のふらつきを含む症状が商事、接骨院における施術に、より症状は軽減したが、平成23年3月8日時点においても左手指の痺れ、両足のふらつきが残存していたことに照らすと、前回事故により、頸椎症性脊髄症の症状が再発し、施術により軽減したが本件事故直前においてなお継続していたものというべきである。

さらに、前回事故及び本件事故ではいずれも頸部を受傷し、両手の痺れや歩行障害等、症状に共通点があること、前回事故後の治療は、平成22年11月2日にF整形外科内科に通院したほかは医療機関を受診したことが窺われないのに対し、本件事故後は複数回通院し、画像所見等も取っていることなどを考慮すると、前回事故による負傷により生じた症状は、本件事故直前にはある程度軽減したが、再度本件事故により受傷したことにより悪化したものであり、本件事故後に原告が訴え、残存した症状は、前回事故の受傷による症状と本件事故の受傷による症状があいまって生じたものと認めるのが相当である。

上記受傷による後遺障害の程度は、上記認定のF整形外科内科の診断に照らすと、本件事故による脊髄の障害と捉えられ、下肢筋力の異常が認められないこと、膀胱機能は正常であり、軽度の痺れや巧緻運動障害は認められるが生活においては自立しているとされていること等を総合的に評価すれば、「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」として後遺障害等級表9級10号に該当するものと認めるのが相当である。

2 共同不法行為責任について

そして、前回事故と本件事故は別個の事故であって両事故との間に関連はないが、両事故の発生は比較的近接していること、主な受傷部位がいずれも頸部であること、症状に共通点があること等に照らすと、前回事故と本件事故のいずれが上記後遺障害の原因となり、あるいは両事故がどの程度寄与したのか証拠上確定し難いというべきであるから、民法719条1項後段により、被告は損害全額について賠償義務がある

3 素因減額について

原告は、平成19年当時、既に、頸椎症脊髄症により手術を勧められる程度の巧緻運動障害、両手の痺れ、歩行障害を生じていたこと、原告が前回事故及び本件事故により受けた衝撃は大きいとはいえないこと、平成23年当時の所見は、平成19年当時と比較して頸椎の経年的変性が進行していること、本件事故後の平成23年3月15日の初診時には巧緻運動障害は認められておらず、その後の同年6月2日に症状が認められていること、同月10日当時、ホフマン反射は陰性であり、その後に陽性となっていることなどを考慮すると、前回事故及び本件事故後に原告に発現した症状は原告がもともと有していた頸椎症性脊髄症とその経年的変化が寄与したところが極めて大きいものと推認され、損害の公平な分担の見地から、損害額の5割を減額するのが相当である。


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