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【横浜地判平成26年12月2日】時速20㎞で衝突された52歳女子のPTSD否定、14級非器質性精神障害

1 PTSDについて

PTSDについて広く用いられている診断基準の1つであるDSM-Ⅳによれば、PTSDの発祥を認定するための要件の1つとして、「実際にまたは危うく死ぬまたは重唱を負うような出来事を、1度または数度、または自分または他人の身体の保全に迫る危険を、体験し、目撃し、または直面し」、「患者の反応は強い恐怖、無力感または戦慄に関するものである」というような外傷的な出来事に曝露されたことを要するとされている。

そこで、原告が上記外傷的な出来事に曝露されたといえるか否か検討するに、

①本件事故は、優先道路を走行中の原告車に交差道路から本件交差点に進入し右折進行しようとした被告車が原告車の右前輪付近に衝突した態様であること、

②本件事故時の原告車の速度は時速20㎞程度、被告車の速度は時速5ないし10km程度であったこと、

③原告車及び被告車の損傷の程度も車両が大破するような生じず、原告の外傷も頸椎捻挫にとどまること

からすれば、本件事故は、比較的軽度ないし通常の態様の事故であるといえる。

…本件事故がPTSDの発症原因となり得る外傷的な出来事に当たるとみることはできず、その余の要件について判断するまでもなく、原告が本件事故によってPTSDを発症したと認めることはできない。

2 非器質性精神障害の発症の有無と程度について

原告は、本件事故後、車の運転や車の助手席に乗ることができなくなったり、1人での外出が不安になったり、また、家事や買物が十分にできず、不眠や発作性の不安等の症状が生じ、現在まで改善が見られないことを認めることができるところ、原告の本件クリニックの診療録には、原告の所見について、…などと記載されており、原告は、本件事故後、車に対して異常な反応を示すようになったと認めることができる。

これに加えて、原告は、本件事故前には、精神疾患等の既往症はなく、社会生活に適応していたことを併せて考えれば、本件精神症状は、本件事故を原因として発生した非器質性精神障害であると認めることが相当である。

3 原告の本件精神症状は、本件事故によって生じたものとはいえるものの、本件事故は比較的軽度ないし通常の態様であり、原告の外傷も頸椎捻挫にとどまっており、このような事故態様や外傷の程度から本件精神症状が発症する機序も明らかとはいえないところ、本件飼い犬の死や母親の病気・看病等に伴う精神的な負担もこれに寄与していたと認めることができることに照らすと、原告の本件精神症状は、後遺障害等級表の第14級の限度で本件事故と相当因果関係があると認めるのが相当である。


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