重要判例【京都地判平成26年7月11日】41歳男子の頸椎捻挫等併合12級後遺障害、経年変性を超えるヘルニアから素因減額30%認定

1 後遺障害について

…以上によれば、本件事故による原告の後遺障害は併合12級に該当するものと認められる。

もっとも、頸椎捻挫に伴う神経症状が、経年性のヘルニアに起因するものであることは前記のとおり明らかである。

そして、原告は本件事故当時41歳と未だ若く、ヘルニア像に明らかな外傷性所見はないのに、ヘルニアは複数の椎間板に及び、かつ脊髄硬膜のうへの圧排や骨棘が生じていることにかんがみれば、本件事故前から原告には、加齢に伴う一般的な経年変性を越える程度のヘルニアの既往があったものと窺われ、このヘルニアの存在が本件事故による治療期間の長さや後遺障害の程度に相当程度影響していることを否定できない

そして、損害の公平な分担の見地から、損害賠償の額を定めるに当たっては、民法722条2項を類推適用し、その損害の拡大に寄与した原告の上記ヘルニアによる影響の程度を斟酌し、30%の素因減額を施すのが相当である。

2 労働能力喪失率及び喪失期間について

原告は、昭和43年11月生まれの男性であり、症状固定時42歳であること、有限会社Eの従業員として一般電気工事を担当しており、その内容は、天井内の配線、照明器具の取付、空調機の設置など、頸を反らしての作業や肩より上での作業が多く、左手でないとドライバーを回せない箇所など作業方法が限定されるものも多いことが認められる。

原告の後遺障害の内容及び程度に、原告の年齢、職業及び作業内容を併せ考慮すれば、原告は14%の労働能力を7年間にわたり喪失するものと認めるのが相当であり、上記期間に対応するライプニッツ係数は5.7864である。