お知らせ【フランチャイズ契約⑦】フランチャイザーの情報提供義務(その1)
フランチャイザーのフランチャイジーに対する情報提供義務について教えて下さい。
1.まず、フランチャイザーの情報提供義務について、私法上、直接規定した法律はありませんが、行政上の取締法規である中小小売商業振興法(小振法)にフランチャイザーに対して、事業と契約の重要事項について契約締結前に加盟希望者に説明することを義務づけています。
しかも、説明方法として、同法の列挙事項を記載した書面(法定開示書面、情報開示書面)を加盟希望者に交付しなければなりません。
2.小振法が説明義務を課している内容は以下のとおりです。
①チェーン事業の概要(ビジネス・モデル、加盟店数の推移等)
②フランチャイザーの企業概要(事業内容、社歴、主要株主、会社業績の推移等)
③事業を開始するために要する投資額(加盟費用、設備費用、物件取得費の概算等)
④立地調査、予想売上・予想収益
⑤事業を継続するために要する費用(人件費、商品原価、賃料、水道光熱費等)
⑥フランチャイズ契約の内容(加盟金、保証金、ロイヤルティ、オープン・アカウントの有無、フランチャイジーに対する商品販売条件、経営指導の内容、フランチャイジーの義務、契約終了原因等)
⑦その他の重要情報
(なお、①~⑦は、典型的な店舗設置型事業を想定したものです。実際に提示される事項は、事業の種類やフランチャイザーの規模等によりさまざまです。)
3.このように、小売業・外食産業のフランチャイザーは、小振法列挙事項について行政法上の情報提供義務を負います。ただし、サービス・フランチャイズは小振法の適用を受けません。
なお、小振法以外では「フランチャイズ・ガイドライン」が「開示が的確に実施されることが望ましい」事項を8個列挙しています。この列挙された事項は、サービス・フランチャイズを含めてすべてのフランチャイズに適用されますので、注意が必要です。
4.前述のとおり、小振法は、あくまでも行政法規にすぎず、当事者間の私法上の権利義務を直接定めるものではないため、フランチャイザーの私法上の情報提供義務の内容について、別途検討する必要があります。