お知らせ【フランチャイズ契約⑫】開業前研修

フランチャイズ契約における開業前研修について教えて下さい。

1.フランチャイズ契約を締結すると、多くの場合、開業前に研修が行われることになります。
 
 通常、開業前研修は、①講義研修と②実技研修(いわゆるOJT)に分かれます。

2.①講義研修はフランチャイザーの研修施設や会議室において、当該フランチャイズ・チェーンの理念、フランチャイズ・システムの基礎知識、商品知識、店舗運営方法、商品品質管理、販売およびサービスの提供方法、接客知識、クリンネス、在庫管理、発注管理、販促活動の方法、労務管理、会計管理、安全衛生管理、危機管理など、店舗経営全般に関する基礎知識の習得を目標に行われます。
 
 その際のテキストとしては、マニュアルが用いられることが多いです。

3.②実技研修としては、商品製造、調理、販売、接客、清掃、商品の仕入、販売促進、在庫管理、POSレジスター操作、日報の作成、金銭管理、会計管理、設備メンテナンス等を実際に店舗業務の中で行って実習することになります。

 多くの場合、フランチャイザーの直営店や研修施設で実施されますが、それに加えて、フランチャイジーが開店する実際の店舗において開業日前後に実施される場合もあります(実地研修)。

4 フランチャイザーの直営店での実技研修を行う際、トラブルになった事例を紹介します。
 
 フランチャイザーの直営店で実技研修が行われる場合、研修の大部分が店舗の日常業務(商品の調理、販売、接客)に費やされます。そのため、そのことがフランチャイジーに対する搾取行為に当たるのではないかと争いになった事件があります。裁判所は、フランチャイザーがフランチャイジーに対して研修において留意すべき事項を記載した研修心得が交付されていること、研修が無給であることをフランチャイジーも了解していたことを根拠に、研修内容は合理性を有し搾取行為とはいえないと判断しました(大阪地裁平成2年11月28日判決)。

 このようなトラブルを避けるためにも、フランチャイズ契約書に研修において賃金の支払いがないことを明記することが肝要です。