お知らせ【フランチャイズ契約⑱】テリトリー権
2.権利保障の程度は、契約によってさまざまです。完全な独占権を付与するものもあれば、単なる優先権にとどまるもの(すなわち、一定の条件が満たされれば、新たに直営店や加盟店の参入も可能とするもの)などがあります。このほか、「フランチャイザーは、本テリトリー内では○店舗しか出店しない」という店舗数の上限を定める場合もあります(オープン・テリトリー)。
3.テリトリー権の内容が、完全な独占権を付与するものである場合、仮にこれに違反して他のフランチャイジーが出店した場合は、フランチャイザーはフランチャイズ契約の債務不履行となります(これを認めた裁判例として、大阪地裁平成15年6月25日判決)。
4.これとは異なり、厳格な独占権ではなく、優先権にとどまる場合、例えば、フランチャイザーは、フランチャイジーの営業地域には、原則として出店できないが、競合関係に重大な変化が生じたり、著しい世帯数の変動のある場合などは、既存のフランチャイジーが新規出店を優先的に実施できるようにし、既存フランチャイジーの新規出店が不可能な場合には、フランチャイザーの出店または他のフランチャイズ店の出店を認める、といった場合には、既存フランチャイジーの優先権をどれだけ確保したかが問題となります。
この場合には、当然、各事案ごとにケースバイケースの判断となります。
5.また、テリトリー権が保障されているにもかかわらず、他のフランチャイジーが自己のテリトリーに侵入して販売行為や宣伝広告行為を行った場合、前述のとおり、まずはフランチャイザーがテリトリー条項違反による債務不履行責任を負うことになります。そして、違反発覚時の第一段階の対応としては、フランチャイザーは違反行為を行ったフランチャイジーに対して、フランチャイズ契約上の経営指導権に基づき違反行為の是正措置を促すこととなります。それでもなお、当該フランチャイジーが違反行為の是正に応じない場合には、契約解除等を検討せざるを得ません。
フランチャイザーがこのような措置を怠った場合には、フランチャイザーはテリトリー権を侵害されたフランチャイジーに対して損害賠償責任を負う場合も出てきますので、注意が必要です。