お知らせ【フランチャイズ契約⑲】販売促進活動・宣伝広告活動
2.販促宣伝活動は、店舗の売上げに大きな影響を与えるため、フランチャイジーに対して適切な販促指導を行うことはフランチャイザーの経営指導義務の一部です。
この点、フランチャイザーがフランチャイジーに対して、使用対象・個数・使用期限の制限がない割引券を、特に説明することもなく大量に配布するように指示した事案で、フランチャイザーの営業指導義務違反が認定された事案があります(千葉地裁平成19年8月30日判決)。
3.全国一斉の販促企画は、一時的なキャンペーンから毎年定期的に実施され一種のチェーン・イメージとなっているものまでさまざまです。
こうしたチェーン全体の支店からの営業政策はフランチャイザーでなければ判断できないので、多くの場合、全国一斉販促企画には一応の合理性が認められます。ただ、企画としての有効性に疑問があるにもかかわらず、フランチャイジーに過度な負担を求めるような企画は、独占禁止法やフランチャイズ・ガイドラインに抵触する場合もあり得ます。
4.この点、フランチャイザーの営業政策の私法上の効力が問題となったものとして、東京地裁平成18年2月21日判決(マクドナルド事件)があります。
この事案では、全国規模のハンバーガー・チェーンであるマクドナルドにおいて、フランチャイザーが展開した「100円マック政策」がフランチャイジーの売上げを圧迫したとして、フランチャイジーがフランチャイザーの債務不履行を追及しました。
これに対して、裁判所は、「100円マック政策は、原告(フランチャイザー)のスケールメリットを生かすために、既存の客以外の新規顧客を広く取り込んで、その顧客をリピータにすることによって、利益を増加させようとするものであり、現実にも、原告は、このような政策によって、TC(レジの作動回数。来客店数の目安となる。)を増加させ、本件店舗に隣接する4店舗全店においては、これ以上の割合でTCを増加させることに成功している」として、フランチャイザーの政策的判断を尊重し、「100円マック政策を採ったことがフランチャイズ契約の本質に反するものと認めるに足りず、本件契約の債務不履行に当たるということはできない」と判断しました。