Daily Archives: 2026年5月25日

賃金301 トラック運転手の乗務手当の固定残業代性及び出来高払制賃金該当性が否定された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、トラック運転手の乗務手当の固定残業代性及び出来高払制賃金該当性が否定された事案

東輪ケミカル事件(福岡地裁小倉支部令和7年3月27日・労判ジャーナル161号20頁)

【事案の概要】

本件は、第1事件において、Y社と雇用契約を締結してトラック等の運転手として稼働してきたA、B及びCが、Y社に対し、雇用契約に基づく未払割増賃金及び労働基準法114条所定の付加金等の支払を来め、第2事件において、Aらが、Aらの組合活動を理由に、令和4年1月からAらに長距離及び休日の乗務を割り当てず、時間外労働をさせない措置を執った会社の行為は不当労働行為(労働組合法7条1号、3号)であり、Aらは、令和4年1月分以降の各月の賃金と時間外労働をしていた令和3年12月分までの賃金との差額相当額の損害を被り、全国一般労働組合福岡地方本部は組合活動に対する無形の損害を被ったと主張して、Y社に対し、不法行為に基づく損害賠償等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

未払割増賃金一部認容

損害賠償等請求認容

【判例のポイント】

1 乗務手当との名称からは時間外労働の対価が含まれることが明らかでなく、給与明細にも乗務手当に時間外労働の対価を含む旨の記載はないから、雇用契約上,乗務手当時間外労働分が時間外労働の対価として支給されていたとは認められず、乗務手当は、時間外労働分も含め、全額が基礎賃金に算入される。

2 乗務手当の出来高払制賃金への該当性について、Y社が、各給与期間の走行距離と1km当たりの単価、これに応じて算出された同期間の乗務手当支給額を記載した就業明細書(計算書)を運転手らに毎月交付していたことに照らせば、走行距離に応じて乗務手当を支払うことが雇用契約の内容となっていたというべきであるから、乗務手当は、その金額を、出来高払制賃金(労基則19条1項
6号)として、基礎賃金に算入すべきである。

上記1は、固定残業制度の基本中の基本ですので、しっかりと押さえておきましょう。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。