Daily Archives: 2016年7月28日

不当労働行為147(日本ロール製造事件)

おはようございます。

今日はパイプ事業部縮小に伴う組合員の雇用及び労働条件に関する団交における会社の対応が不当労働行為に当たらないとされた命令を見てみましょう。

日本ロール製造事件(中労委平成28年1月6日・労判1134号94頁)

【事案の概要】

本件は、パイプ事業部縮小に伴う組合員の雇用及び労働条件に関する団交における会社の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 本件団交において、Y社は、パイプ事業部は続ける、雇用は守ると回答するだけでなく、事業契約についての説明会を行うとともに、事業計画についての書面も組合に提出し説明する等、OEM先との交渉中であることを踏まえ、本件団交当時にできる範囲の具体的な説明をしており、加えて、パイプ事業部の経営状況も可能な限り説明していたのであるから、こうしたY社の対応は、不誠実なものとはいえない。

2 Y社は、4月18日の団交において、パイプ事業部は続けていく旨回答しているが、5月9日の団交において、パイプ事業部の事業計画がはっきり決まっていない、パイプ事業部を存続させるために努力している、雇用を守べく努力している等と回答していることからすると、4月18日のパイプ事業部は続けていく旨の会社の回答は、パイプ事業部を存続させるために努力することを明言したものとみるのが相当である。

3 Y社はOEM先と交渉中であり、それが確定しないとパイプ事業部の具体的な事業計画を立てられる状況になく、組合員の労働条件や処遇への影響も不確定で十分に説明できるような状況にはなかったと認められる。このような状況の下で、パイプ事業部の存続と赤字脱却のための将来展望について、会社が本件団交でした以上の説明を求められるとすることはできないから、会社の対応が不誠実とはいえず、組合の主張は採用できない。

会社とすると「できる限り」の説明をすることが求められます。

ときに、組合から回答困難な質問が投げかけられることもありますが、会社として、回答できないと判断した場合には、その理由を説明しなければなりません。

説明に合理性が認められる場合には不当労働行為にはあたりません。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。