Monthly Archives: 7月 2026

労働時間123 事業場外みなし労働時間制の適用が否定された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間がんばりましょう。

今日は、事業場外みなし労働時間制の適用が否定された事案について見ていきましょう。

西原商会事件(福岡高裁宮崎支部令和7年8月27日・労判ジャーナル165頁22頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員Xが、Y社に対し、未払割増賞金及び労働基準法114条に基づく付加金等の支払を求めたところ、原審が、1年単位の変形労働時間制は無効であること等からXの未払割増賃金及び付加金等支払請求を一部認容したため、Y社及びXが原判決中敗訴部分の取消しを求めて控訴、附帯控訴をそれぞれ提起した事実である。

【事案の概要】

一部認容(認容額減額)

【裁判所の判断】

1 Xの休日出勤の予定については、人事部採用チームの業務内容及びスケジュール管理等をするための勤務カレンダーにおいて共有されていたこと、同カレンダーには、会場への移動時間や手段、同イベントの開始時間及び終了時間、開催場所などが記載されており、出張先の業務については、上記イベントの内容、時間帯や場所により、業務内容、開始時間及び終了時間等があらかじめ具体的に確定されていたということができ、これに加え、就活生向けイベントは、これを行うことや参加すること自体はY社が決定するものであり、イベントの参加者も会社が決定した式次第に従って参加し、行動したと考えられること、Y社がXに対し、社用携帯を支給しており、業務について指示をしたり、上記カレンダーで予定されていた業務内容や業務時間が実際の業務内容や時間と異なるかどうかについて確認したりすることも可能であったことを考慮すると、Xの休日出勤時の出張につき、事業場外みなし労働時間制の適用があると解することは困難というべきである。

本件に限らず、ここ最近の裁判例を見る限り、もはや事業場外みなし労働時間制は適用場面がほぼないと考えるのが妥当ではないでしょうか。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

 

本の紹介2250 これも修行のうち。#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れ様でした。

今日は、本の紹介です。

今から8年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

サブタイトルは「実践!あらゆる悩みに『反応しない』生活」です。

いろんなことにすぐに反応して落ち込んでしまう方向けの本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

今あらためて思うのは、人間は何も知らない小さな生き物で、しかも与えられた時間は限られているということ。だからこそ、つまらないこだわりはいさぎよく捨てて、できなかったことができるようになる喜びを大事にしようではないか、ということです。」(216頁)

これも解釈の問題ですね。

half fullと考えるか、half emptyと考えるか。

みんな解釈という眼鏡を通して、人生のあらゆること・ものを見聞きしています。

ものごとそれ自体には意味はありません。

自分で意味付けをしているだけです。

解雇438 酒気帯び運転を理由とする解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れ様でした。

今日は、酒気帯び運転を理由とする解雇の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

静岡鐵工所事件(大阪地裁令和7年9月26日・労判ジャーナル165頁16頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社による解雇は無効であるとして、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認請求並びに労働契約に基づく未払賃金等の支払及び不法行為に基づく慰謝料等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件酒気帯び運転は、本件就業規則所定の懲戒解雇事由に該当するところ、本件酒気帯び運転は、長時間にわたり相当量の飲酒をした後に行われたものであり、Xの血中アルコール濃度が本件酒気帯び運転から約8時間経過した時点でも高濃度であったこと、運転中の異常な運転態様及び警察官から職務質問を受けた際の異常な対応に照らせば、運転中のアルコールによる影響は非常に強いものであったというべきであり、交通事故を起こす可能性の高い非常に危険なものであったと評価するのが相当であり、本件酒気帯び運転は、Y社の業務終了後に行われたものであるものの、社用車を運転するものであり、その運転中に交通事故を起こした場合、Y社に自動車損害賠償保障法3条の運行供用者責任等による民事上の損害賠償責任が発生し得るものであったといえるから、単なる私生活上の行為にとどまるものであったとはいえず、加えて、警察官に対し、怒鳴りつけたり、暴言を吐いたりしたものであるから、近隣住民に与えた不安及び迷惑並びに警察官の職務を遅滞させたことは軽視できず、本件酒気帯び運転後の事情も悪質であるから、本件解雇は、懲戒権を濫用したものとは認められない。

この事案だけを見れば、結論に疑問を持つ方は多くはないと思いますが、裁判例の中には、類似の事案でも、解雇を無効と判断する例があるため、現場の判断を悩ませます。

これに退職金請求が加わるとさらに悩ませることになります。

日頃から顧問弁護士に相談をすることを習慣化しましょう。