Daily Archives: 2010年12月5日

有期労働契約9(高嶺清掃事件)

おはようございます。

さて、今日は、雇止めに関する裁判例を見てみましょう。

高嶺清掃事件(東京地裁平成21年9月30日・労判994号85頁)

【事案の概要】

Y社は、一般及び産業廃棄物収集運搬処理業等を営む会社である。

Y社の業務は、公社部門(財団法人東京都環境整備公社から委託を受けたゴミの収集業務及び清掃工場の水質検査のための検体収集業務)、産廃部門(民間企業等の委託による産業廃棄物の回収、運搬業務及び中間処理業務)、局収部門(東京23区清掃協議会から委託を受けた一般廃棄物の回収車の運転業務)の3部門に分かれていた。

Xは、Y社にアルバイト社員(雇用期間1年)として雇用され、同社公社部門の水質検査関連業務に従事していた。

Y社は、公社部門廃止に伴い、Xを解雇した。

Xは、本件解雇は無効であると主張し、争った。

【裁判所の判断】

雇止めは無効

【判例のポイント】

1 Y社においては、正社員を上回る人数のアルバイト社員が正社員とほぼ同様の業務を遂行してきていること、アルバイト社員との契約更新手続は厳格にはなされていなかったこと、Y社から、期間満了により終了するというわけではないという程度の説明を受けたに過ぎないことから、Xの労働契約は、1年間の期間の定めのある契約ではあるものの、実質的には期間の定めのない契約と異ならない状態に至っているものと認めるが相当であり、Xの労働契約の期間満了による雇止めについては、客観的に合理的な理由を要するものと解するのが相当である。

2 Y社公社部門は、大幅な経常赤字(4197万円程度)を計上し、公社部門の赤字が他部門の経常黒字を大幅に減殺することが予想された。
Y社が、公社部門の廃止を決め、当該部門に所属していた従業員全員に相当する人数の人員整理を行うと判断したことには、企業の合理的運営上やむを得ない必要性があったということができる。

3 とはいえ、公社部門以外の部門では経常利益を経常利益を計上しており、公社部門の従業員の大半は希望退職に応じ、退職しなかった正社員3名の雇用継続は確保できたこと等の事情からすると、さらなる人員整理をしなければ、倒産の危機が差し迫ったというような状態にあったとは認められない

4 Y社は、公社部門の廃止に伴う人員整理を行うに当たり、公社部門に限っていえば、まず派遣契約を打ち切り、正社員を含めて、希望退職の募集を行い、正社員2名とアルバイト社員のうちXを除く7名がこれに応じて退職し、希望退職に応じなかった正社員3名の雇用を継続し、これに応じなかったXを雇止めしたものである。
しかしながら、Y社は、Xの雇止めを回避するために、公社部門以外の2部門については、派遣契約や労働者供給契約を打ち切っていない。Y社が公社部門に限っていえば、派遣契約を打ち切っていることを踏まえれば、かかる一貫しない措置の合理性は乏しいものと言わざるを得ない。

5 希望退職の募集は、解雇回避のために有効な手段であったと考えられるが、Y社は、公社部門以外の部門については希望退職の募集を行っていない。Y社の業務は3部門に分かれていたものの、事務職を除けば、3部門を通じて、正社員もアルバイト社員も概ね類似の業務に従事していたものであり、従事する業務や従業員のの能力・適性等との関係で、各部門と従業員の間の関連性や非代替性は希薄であったものと認められること等から、Y社が公社以外の部門について、希望退職を募集しなかった措置の合理性も乏しいと言わざるを得ない
また、Xの従前の業務遂行実績に照らせば、希望退職によって不足が生じた他の部門にXを配置換えすることに特段の不都合があったものとも認められない。

6 Y社は、再三にわたり再就職の斡旋を行ったと主張するが、飽くまで退職を前提にした提案であり、再就職先や再就職後の身分等の内容も具体性を欠き、Y社での雇用継続が確保されたのと同視しるような提案を行ったとは認められないから、これをもって、雇止めの回避努力義務を尽くしたと評価することはできない

7 X以外のアルバイト社員については1年間の定めがあって、アルバイト社員の平均的な勤続年数はXのそれと比して短く、Xのように期間の定めのない契約と異ならない状態には至っていない者や、雇用継続の合理的な期待が認められない者も相当数いた可能性が否定できないから、Y社がそうした社員の雇止めを検討することも考えられるところである。
以上の事情を考慮すると、Xが雇止めの対象とされた人選について合理性があるとはいえない

非常に参考になる裁判例です。

雇止めの理由が、実質的には整理解雇と異ならない場合です。

判決理由を読んでいると、この会社は、顧問の弁護士なり社労士にちゃんと相談して、ある程度慎重に手続を進めていたように感じます。

それでも、裁判所は、雇止めを認めませんでした。

一言でいえば、「おしい」という感じです。

会社を擁護するわけではありませんが、手続としてめちゃくちゃなことをやっているとは思いません。

ただ、整理解雇の要件は、それほどまでに厳しいということです。

有期労働契約は、雇止め、期間途中での解雇などで対応を誤ると敗訴リスクが高まります。

事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。